Re: 続・新世界への神話(10月12日更新。ヒナギク編) ( No.87 )
日時: 2011/10/19 19:55
名前: RIDE
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=3929

今週はハヤテの30巻が発売!
皆さんは限定版を買いますか?
CDドラマ、楽しみですね!

それでは、本編へいきます。


 4
 ヴァルキリオンは氷の剣を手にして少女に挑みかかった。対する少女も先程の光弾と同様の力を、今度は剣にして構える。

 氷の剣と光の剣が、真正面からぶつかり合った。そこから、ヴァルキリオンと少女は互いに剣を押し合う。

 両者はしばらくそのまま鍔迫り合いを続ける中、少女がヴァルキリオンに脚払いを仕掛けてきた。ヴァルキリオンは寸前で気付き、跳び上がってそれをかわした。

 そうやって少女の背後についた。そこから斬りかかっていくが、少女に振り向きざまに払い除けられ、更に続けられた一撃を受けてしまう。

「ヴァルキリオン、下がって!」

 このままでは相手の剣にやられてしまうと判断し、ヒナギクは命じた。

 言葉どおりに後退するヴァルキリオン。その距離を保ちながらまた少女の背後へと回りこみ、鋭利状の氷を飛ばす。

「そんな攻撃、すぐに消し飛ばしてあげるよ」

 少女はゆっくりと振り返った。そのゆっくりとした動作から、かわす気はないらしい。

「私の魔法でね」

 そして、天に向かって指を差した。すると、少女の頭上に巨大な炎が出現した。

「炎の矢!」

 少女は指先をヴァルキリオンへと向ける。同時に炎は大きな矢となり、その方向へと走っていく。

 炎は対して飛来する氷を消滅させ、ヴァルキリオンを襲った。それだけでなく、熱をもった余波がヒナギクにまで及んでしまう。

「あつい!」

 ヒナギクは腕で身を守ろうとする。

「弱いなあ。精霊の使者ってこの程度なの?」

 少女は戦っている最中も愉快に笑っていた。

 ヒナギクはもう訳がわからなくなっていた。相手の強さも、正体も、彼女自身が魔法といった力についても。

「もう、終わらせてもいいよね」

 しかし、その少女に含まれた殺気を感じると、そういった混乱は一気に吹き飛び、川って
恐怖が支配した。

 相手は、本気である。

 少女が一歩前に出た。

 このままではやられてしまう。

「ハ・・・・」

 こういう時、力になってくれる意中の人の名を口にしようとしたが、すぐに噤んでしま
う。

 自分が手も足も出ないところを、彼に見られたくない。

 自分の弱さを見られたくないという思いで、助けが呼べない。ヒナギクはどうすることも
出来なくなってしまった。

「無様ね」

 その様子に、侮蔑の言葉をかける者が。

「ここまで強情だと、呆れるのを通り越して感心するわ」

 ヒナギクの後方から、嘆息しながら花南が姿を現した。

「おまえも精霊の使者だな」

 少女は花南の腕につけてあるフラワーリングを見て目を細めた。

「仲間の助けに来たんだね」

 だが花南は、それを笑い飛ばした。

「その気はないわ。今のところは」
「え?」

 それを聞いた少女はどういうつもりなのかと首を傾げ、ヒナギクはまた自分を嘲笑いにきたのかと苛立ちを募らせる。

「それよりも、この甘ちゃんに話があるっていう人がいるから」

 そう言って、大きな茂みの方へ目をやる花南。

「出てきなさい」

 彼女に従って、身を潜めて者がゆっくりと姿を現した。

「美希!」




美希の話とは一体・・・・?