Re: 新世界への神話 ( No.83 )
日時: 2011/03/14 16:50
名前: RIDE

更新します。
まあ、だれも続きを期待はしていないでしょうが・・・・


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「あら、稲村さん」

 大きな音を立てたので、マリアも塁がきたことに気付いた。

「あ、あんたたち、なにやってんだ・・・・」

 全速力で走ったため、息が途切れながらも塁はマリアに質問した。

「なにって、トランプですけど・・・・」
「そうじゃない!なんでそいつらと・・・・」

 呑気そうなマリアに塁は苛立ちを露にする。

 彼女は囚われの身であったはず。それが何故、敵であるものたちと一緒に鉄格子の中で遊んでいるのだろうか。

 そんな塁に、マリアは退屈そうに答えた。

「いつまでもこの中で何もできずにいるのは退屈ですし、少し相手をしてもらっていたんです」
「あ、相手って、そんな簡単に・・・・」

 確かに、捕虜に必要以上のストレスを与えさせないのも看守の仕事だと思う。捕虜が我慢できずに暴走したら大問題になるかもしれないからだ。

 しかし、その看守である陰鬱の使者たちはマリアに対して親しみを込めて接しているようだ。それも、お互い友人関係であるのかと思えるほどだ。

「ええ。快く引き受けてくださいました」

 そう言って満面の笑みを浮かべるマリア。

 塁は悟った。奴らはこの笑顔にやられてしまったのだと。彼女の笑顔は、それはそれは光り輝くような美しいものであったが、従わないと何かが怖いオーラが何処か潜んでいたよう
な気がした。

「さて、稲村さんがきてくれたことですし、ここから出ますか」

 マリアは立ち上がって、メイド服についている埃などを払った。

「開けてくれませんか?」
「あ、はい。今すぐ」

 躊躇することなく、自分たちと一緒にマリアを鉄格子の外へと出した陰鬱の使者。

 こいつらメイドさんの見張りだよな。簡単に解放していいのかと塁は思うが、手間が省けるので何も言わない。

「さあ、行きましょう」
「行きましょうって、悪いけどメイドさん、俺道わからない・・・・」

 塁は自分が道に迷った挙句ここにたどり着いたことを説明した。それを聞いたマリアは、陰鬱の使者たちの方に向き直り、満面の笑顔を見せた。

「すみませんが、地図など持ってはいませんか?」
「あ、それなら私が」

 陰鬱の使者は嬉々としてマリアに地図のようなものを差し出す。それを受け取ったマリアは、塁のもとへと戻った。

「これで問題ありませんね。では、今度こそ行きましょう」
「はい・・・・」

 あいつらは何故地図を持っているのか、それを何故安々とこちらに渡せるのだろうか。そもそも要塞は侵入者が迷うようにできているものだが、地図を持っているということは自分たちもそうなのか。それは組織の一員としてどうなのかと色々と突っ込みたかったがマリアの笑顔を見ると、その気力も失せ黙ってこの場を後にする。

 しばらくしてから、しまったー!など、閉じ込められてしまったー!などいろいろ聞こえてきたが、塁は聞こえないふりをしてマリアに言う。

「メイドさん、悪いけどこのまま雷矢のところまで付き合ってもらう。他の皆がもう奴と会っているかもしれないからな」
「構いません。むしろ、私の方からお願いするところです」

 危険であっても、自分にも雷矢を止める義務がある。

 マリアの強い意志を感じた塁は、彼女に対する印象を呆れや恐怖から一変して感心する。

「わかった。急ごう!」

 仲間と敵を目指すことから、二人は自然と駆け足になるのであった。