Re: 新世界への神話 ( No.6 )
日時: 2009/09/19 17:48
名前: RIDE

お久しぶりです。
待っている人はほとんどいなかったと思いますが
約1か月ぶりに更新します。


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「かつて異なる次元に二つの世界を創った者がいた。二つの世界は一人一人が力を持ち、望みが実現できる世界であった。だが人々は己の力を過信し、覇権をめぐって絶えず争っていた。それを憂いた創造主は、もうひとつ世界を創った。一人の意思によって全てが左右される世界、この精霊界を」

 ハヤテ達はまるで雲の上のような話についていけなくなってきたが、賢明大聖は続ける。

「元々存在していた二つの世界にもその影響が出始めてきた。一つの世界には人の心から生まれ、心を癒す存在である妖精と、それが力をつけて神変した精霊が精霊界から出入りするようになったため、神話の残る世界となった。もう一方の世界は創造主と彼の仲間たちが創った究極の生物兵器、クロノスの騎士が監視した中で機械文明を発達させていった。その世界はクロノスの騎士と彼の母星クロノス星の技術が宇宙を浸透していった。だが最後の騎士はクロノスによる時代を終わらせ、人間に世界を渡した」

 賢明大聖はお茶を楽しんでいるダイたちを指す。

「ダイ・タカスギらはその世界から私が呼んだのだ」
「そうだったんですか。でも、なんのために?」

 そこでダイはティーカップを置き、真剣な目で話に参加する。

「今、俺たちの世界は空間が歪み出している。賢明大聖によれば、おまえたちの世界に俺たちの世界の住人が侵入して、事を起こしていることが原因であるため、そいつを追い出せばいいということだった。だが・・・・」

 ダイはポケットから銃弾を取り出し、賢明大聖を睨む。

「この銃弾は俺たちの世界の技術で作られた物だ。そこにいる綾崎ハヤテは昨日、この銃弾に貫かれるところだった。それだけではなく今日、奴の主ははじめ数人が何者かにさらわれちまった。俺たちの世界の住人が関わっていて、そいつが何者かはわかったけど、なぜこんなことしたのか納得いかねえ。何か隠していることがあるんじゃねえのか?」

 ダイの追及する眼差しを受け、賢明大聖は彼に向かって頷いた。

「確かに私は君に話していないことがある。しかし隠していたわけではない。正体を現した時に話そうと思っていた」
「どうだか」

 言い訳のような言葉に胡散臭そうな態度のダイを無視して、賢明大聖は再び話し始めた。

「この精霊界も、一年程前に人間たちが築く世界へと変わり始めた。だがそのころ、とある女が人知れず精霊を使って三界を征服しようと企て、この霊神宮から人員を引抜などを行っていた。つい最近になってダイ・タカスギたちの世界の住人を引き込んだ。女はそれだけではなく、この霊神宮に宣戦布告し、封印していた八体の精霊の奪取を企んだ。かろうじて一体は守り抜いたが、一体はその時の混乱で行方不明となってしまい、残りの6体は女に奪い去られてしまった」
「つまり、空間の歪みはその女のせいでもあると?」

 ジムが慎重な様子で訊ねると、賢明大聖は強く頷いた。

「ダイ・タカスギ、君たちにやってもらいたいのは、その女、艶麗と彼女の手下を倒してもらいたい」

 賢明大聖は一歩左に動いた。彼の背後に隠れていた卓が露わになる。卓上には、万華鏡みたいな大きさの筒のような物が置いてあった。

「これはリダートという。艶麗の手下のほとんどは精霊の使者だ。その精霊を倒せばこれが自動的に精霊を封印できる。精霊を失えば使者は戦闘不能になる。ダイ・タカスギ、これを持って艶麗たちを倒してほしい」

 しかしダイはこう言った。

「断る」

 その答えはこの場にいるもの全員を驚かせた。それまで無機的な感じであった賢明大聖でさえ声を荒げる。

「な、何故だ!?」
「あんたたちが総力をあげてやっつけりゃいい話じゃねえか。何で俺がやらなくちゃいけない」
「一年前、この世界を人間たちが築き始めてから、霊神宮はなるべく人間の世界に干渉しないと決めたのだ。艶麗はまだ本格的に動いていないが、我々も表立って動ける訳ではない。それに先ほどの話しにでてきた、君の世界の住人も艶麗側にいるのだ」
「だからって別に俺がやるまでもないだろ。白子、おかわり」

 あまりのダイの態度の悪さに、腹を立てたものが数名いた。

「ダイ様!」
「わっ!」

 突然ジムが顔を近づけてきたので、驚いてお茶をひっくり返すダイ。ジェットとドリルも目を吊り上げている。

「ダメですよ、ちゃんとやらなくては!あの方たちと約束したのでしょう?」

 言われて、かつて自分が大事な人から課された使命を思い出したダイ。

「・・・・そうだな」

 深く反省したような様子を見せるダイ。そのまま首を縦に振るのかと思われたが、彼はジェットが愛用している物と思われているサングラスをひったくってそれをかけ、ジェットには自分を思わせるような変装をさせる。

「そういうわけだ。ダイ、しっかりやれよな」

 ジェットの口調を真似て、扮したつもりでいるダイ。全員呆れて何も言えなくなる。

「この馬鹿者!いい加減にしないか!!」

 突然そんな声が聞こえたかと思うと、次の瞬間ダイは電流を流されているかのようにしびれ出した。

「あああああっ!わかった、やるよーっ!」

 何が起こったのかハヤテたちには解らないが、とりあえずダイは引き受けることを承諾したのであった。