Re: 君と共に! 第一章 2月9日更新 ( No.38 )
日時: 2013/02/20 20:48
名前: 李薇

どうも! 李薇です!

どうもキーボードのRの反応が悪く自分の名前が打ちづらいぜ…!

カオスなレス返しを終えてからの更新さ…! レス返しだけでワード77ページいったからね…凄いや! みなさんありがとうッ!

それはともかく修羅場ってる本編―今回はアイさんの過去ですね!

リメイク前よりは文章力が多少はついているので…多少はまともになったような…?

では、どうぞ☆

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第七話 『全てと引き換えに得たクイーンの座』


 会って最初の頃、どのパートナーも最初はこう言った。

 ―絶対に君を見捨てない、と。

 しばらく経つと、みんなこう言った。

 ―お前は化け物だ。一緒にいるとこっちの身が危なくなる、と。

 そして、しまいにはどのパートナーも自分に刃を向けてきた。

 最初はなんで…って思った。

 二度目は、ああ…またか…と思った。

 そして、3度目以降はもう痛みも何も感じなくなった。

 誰も受け入れてくれる人なんかいない。

 この強さのせいで、誰も近くに寄ってきてくれない。

 強さゆえの孤独。もうそれに対して、痛みなんかも感じなくなった……。










 アイにとって転機となったのが今から10年前のこと。

 いつも通り行われるパーティー内で、アイは地上に来て自分のパートナーである綾崎イクサと出会った。

「………神?」

 額に十字の傷を持つ青年は少し首を傾げる。

 神についての大体の説明をしても、この男の反応は至って冷静だった。

「そう。とはいっても信じがたいだろうけど…そういうものがあるのよ」

 ちなみにこの頃のアイは、かなりの人間不信だった。

 誰と話すときも笑顔を向けず、ずっとそっぽを向いている。人と目を合わせようとしない。 

 出来ることなら、誰とも関わらずにしようとしていた…そんな時期だった。

「そうか…」

 YesなのかNoなのかよく分からないイクサの半端な返事にアイは少し目を細めて、

「嫌なら嫌でいいのよ、むしろ…途中で刃を向けられるより私的にもそっちの方が楽だし」

「え?」

「…どのパートナーもそうなのよ。途中で私の強さに恐れをなして私を殺そうとするの。後からそんなことするくらいならいっそ最初からやってくれた方が楽でしょ?」

 ふっ、とそこで初めてアイは笑みを浮かべた。

 でもそれは、可愛らしい笑顔ではなく嘲笑だった。誰への嘲笑かは分からない。

 おそらくそれは、彼女自身への嘲笑だったのだろう。

 アイの言葉にイクサは、しばらく沈黙して、

「…寂しかったな」

「………、え?」

 予想外の言葉にアイは、顔をしかめる。

 が、イクサはいたって真面目な顔でそう言っていた。

 別にからかっているわけでも、ふざけているわけでもあくまで真面目に。

 こんな人外じみた化け物に対して、寂しかったな、と言ったのだ。

「…っ!」何か得体のしれない感情がアイの中を渦巻き、「何それ! 別に私は寂しくなんかない!! そんなこと思ったことはない!! ずっとこうだったんだから!! ずっと…そういうのを我慢してきたんだからっ!!!」

「そうか」

 が、イクサはそんなアイの激昂に対してもいたって冷静だった。

 いたって冷静に、でも少し笑いながら、

「…なら、もう我慢しなくていい。私は何があってもお前を見放さない。…約束しよう」

「………、」

 意味が分からない。

 なんで自分なんかに笑みを浮かべてくる?

 どうせそう言っていたって…いつかは自分に刃を向けるくせに。

 なんでそんな自信満々に言い切れる?

 我慢しなくていい? 見捨てない? 約束する?

「…そんな約束…絶対に守れないわよ。今までだって…、みんな最初はそういったわ」

「…約束っていうのは守るためにある。だから、守ろう。きっと」

「………、」

 今度もやっぱり真剣なまなざしだった。

 人間なんか信じられない。どいつもこいつも、しまいには刃を向けてくる。

 ―でも、もう一度、信じてみようと思った。

 この人なら…信じられるかもしれない、と。そう思えたんだ………。










「それが…アイとイクサの出会いだった」

 フウは、いったん話に区切りをつけた。

 この季節にも関わらず熱いのか帽子をぬいでそれでパタパタとあおぎながら彼は話を続ける。

 その瞳には真剣な色が灯っていた。

「わかるか?アイにとってイクサはさ…特別な存在だったんだよ。たぶん…恋心があった、といっても過言じゃないと思う。ま、アイに言っても否定するだろうけどな」

「………、」

 素直じゃねえんだアイツはさ、とフウは続けるが、ハヤテは別の事を考えていた。

 アイにとってイクサが特別だった。

 ―なら、何故殺したのだろうか?

 そんな疑問がハヤテの頭の中をグルグルと渦巻いていく。

「…アイツ等は、本当に相性よかったんだよ。ゴールデンコンビって言われるくらいアイツ等のコンビネーションはすごかった。普通にいけば…楽勝で勝ち抜きだっただろう」

「…普通にいけば?」

「………、ああ。アイツ等は順調に敵を倒して…いよいよ敵は残り1つってとこまできたんだよ」

 そこで、ハヤテは昨日のアイのセリフを思い出した。

 闇を司る神がアテネを誘拐した、というあのセリフを…。

 そのハヤテの表情を見てフウは判断したのか、こくりと頷き、

「ちょっと知ってるみたいだな。そう。闇を司る神は…勝つためにアイツ等がよく面倒を見ていたアテネをさらったんだ」

「…アーたんを…」

「そう、アテネが今こうやってパーティーを止めようとしているのはここからきてるわけだ。それで…」










「アテネを助けに行くって…!! これは罠よ!! もっと作戦を練ってからいかないと…!」

 アイは、イクサに対してそう言った。

 しかし、イクサはなかなか聞いてはくれない。

 無論、アテネが誘拐されたことでアイ自身も焦っている。

 普段声を荒げないにも関わらず、今はこんなに声を荒げてしまっていることからもそれは一目瞭然だ。

「そんな時間はない。向こうだって私1人で来いって要求を出しているんだ。早くいかなくては…」

「………、そうだけど…」

 理屈では分かっているのだ。

 でも、闇を司る神の本質を理解している彼女だから言える。

 ―あまりにもこの指示に従うのは危険すぎる、と。

「…大丈夫」そう言ってからイクサは笑い、「きっと…あの子と一緒に帰ってくるから。だからお前は待っていてくれ」

「………、」

 それだけ言うと、イクサは去って行った。

 アイはその場から動けなかった。…だからといって、イクサの背中から目を離すこともできなかった。

 そして、結局―その約束が守られることもなかった…。



 時間が経って、不審に思ったアイは仕方なく指定されていた場所に向かった。

 本当は自分が向かうべきでないのはわかっていた。

 なんせ、脅迫文にはイクサ1人で来るように書いてあったのだ。

 でも、だからって放っておけるわけがなかった。

 だから行った。イクサが呼び出された…廃工場のような場所に。

 そして、見てしまったのだ。

「!!」

 真っ黒い髪にコート。20代前半程の見た目の男―闇を司る神。

 そして、闇を司る神の下にあおむけに倒れているイクサがいた…。

 いや、倒れているだけならいい。―全身血だらけだったのだ。

「………イ…クサ…」

「…っ…」

 ひくっ、とのどが干上がる音がした。

 息をしているのは遠目でも確認できた。イクサはまだ生きている。

 でも…今から病院に連れて行ったとして―はたして、間に合うだろうか?

 地面は彼のものと思われる鮮血で真っ赤に染まっていた。

「…遅かったな。氷を司る神、アイ」

「……ぁ…」

 闇を司る神の声に、何も声が出せない。

 こんなにも、何かを失うことの恐怖を感じたことは今までなかった。

 ましてや、この自分が…恐怖で声を出せなくなるなんて、そんなこと今までなかった。

 闇を司る神はアイの目線に気付いたのか、

「あ、コイツか? 面白い男だ。あのガキの安全を保障してほしければ動くな、といえば素直に従ってくれた。おかげですんなり倒せたよ」

「………ッ!」

 ギリッ、と歯ぎしりの音がした。

 その歯ぎしりから表れる感情は―間違いなく怒り。

 アイは知っている。イクサがどれだけ優しい人間であるのかを。

 どんなに自分に不利益でも、彼は助けを求める人には誰でも手を差し伸べる。

 …いや、助けを求められなくても彼は助けに行く。

 そういう類の人間なのだ。本当に優しい人間なのだ。そして、

 そして―優しいからこそ、彼は今アテネを守るために血まみれになっていた。

 アイにはそれが許せなかった。

 親切な人間が、優しい人間が、その気持ちを踏みにじられ倒され、

 そんな状況、これっぽっちも許そうなんて思えるはずがなかった。

「…イクサの…親切な…優しい心を………」

 ぐっ…と氷の剣を持つ手に力が入る。

 ギンッ! と殺気のこもった瞳を闇の神へと向ける。

「…踏みにじるんじゃないわよ―――ッ!!!」

 いっきに、6メートルくらいあった距離をアイは詰めていく。

 戸惑いはなかった。今の彼女には斬るだけの理由も覚悟も存在していた。

 ぶんっ、と真っ直ぐ頭上に掲げられた氷の剣を見て、闇を司る神はふっと笑ってから…、

 足元に立っているイクサを自分の盾にするように、前に突き出した。

「ッ!?」

 瞬間、アイの剣はイクサを真っ二つにする寸前で止まった。

 斬れない。こんな気持ちを経験するのも初めてだった。

「…う…」

 斬れない。斬れるはずがなかった。

 だって、イクサは―…初めて自分の事を受け入れてくれたパートナーなのだ。

 手が、震える。これもまた初めての経験だった。

 そんなアイを見て闇を司どる神は嘲笑、という名の笑みを浮かべて、

「…はっ、面白い。冷酷なお前が…たかが人間のために剣を止めた…? それとも、このお人好しに感化されて…冷酷な性格が抜けたのか?」

「………ッ!」

 ダメだ。

 下手に斬ろうとすれば確実にダメージを受けるのはイクサだ。

 闇を司る神は自分の剣を完璧に読むだけの能力は持ち合わせている。

 下手に剣を振ればイクサを剣の軌跡にあわせてずらしてくるだろう。

「さて…、生憎俺にも色々と事情があってな……。倒すぞ、氷神」

 次の瞬間。

 アイの小さな体が後方に10メートル程吹っ飛んだ。

 勢い的にはそれ以上に飛んでもおかしくなかったが、後ろにあった壁にぶつかることで止められた。

「ぐぅっ…!!」

 ミシミシッ…! と背骨がなる音がした。

 情けない。今の一撃でもかなりのダメージだった。

 流石に本気ではなかっただろうが、神の腕力だ。十分強い一撃だった。

 痛む全身を引きずりながら、それでもアイが立ち上がろうとしたところで、

「な…何をする貴様…ッ!」

「!」

 今までぐったりしていたイクサがガシッ! と闇を司る神を後ろから羽交い絞めにした。

 どこにそんな力が隠されていたのか、とアイは思う。

 それと同時に、もうやめてほしかった。これ以上動いたら、―本当に死んでしまう…!

「アイ…!! 今のうちに早くコイツを…!!」

「なっ…何言って…! そんなことをしたら…アンタだって一緒に死ぬのよ…!!」

 そう。

 闇を司る神に剣を突き刺せば、後ろから羽交い絞めしているイクサだってタダではすまない。

 そもそも今にでも倒れてしまいそうな体だというのに…。

 今こうやって羽交い絞めにするだけでキツいはずなのに。

「私は…お前が傷つくところなどは見たくない…。だから…早く!」

「ッ!!」

「貴様…ッ」

 分かってない。

 アイが1番傷つくのはイクサがいなくなることなのに。

 それなのに、―何でこういうときだけ鈍感なんだこの少年は。

『もしこのチャンスをダメにして…私が倒されたら…きっとイクサは…悲しむんだろうな…。自分のせいだって…。自分だけ助かって…喜ぶ奴じゃない…』

 闇を司る神を羽交い絞めしていられるのはあと少し。

 もし、イクサを避けて攻撃しようとしても、それではダメージとしては不十分だろう。

 そして、一発で確実なダメージを与えられなければ、それは間違いなく負けの2文字をさすのだろう。

 もしそうなったとしたら、それはきっとイクサの心に残る。

 自分のせいだと思って傷をずっと心に残し続けるかもしれない。

 だったら。

「………、」

 その痛みは――――すべて自分が背負う。

 きっ、とアイの青い瞳に強い光のようなものが宿った。

「…思えば、アンタには色々と…私の痛みを押し付けたわよね」

 アイは、すっ…と氷の剣を構えた。

 そして、儚げな―寂しげな笑みを浮かべながら、

「だからさ、この痛みは…私がもらってくね」

 パーティーでの勝ちの条件は2つ。

 1つめは、相手のパートナーを殺すこと。

 でも、闇を司る神は、パートナーを使い捨ての道具としか扱っていないので気絶させて、常に近くにおいておくだけで、そもそも彼のパートナーがどこにいるのかすらわからない。

 ならばとるべきはもう1つ。神を強制的に天界に返すこと。

 これは、一定以上のダメージを相手に負わせることで可能になる。

 そして、これで―…この渾身の一撃で、―それは可能なはずだ。

「…終わりよ…闇を司る神…!!!!」

 アイは、剣をしっかりと手に持ち、ダッ! と合間を詰める。

 それに時間はいらなかった。ためらいもなかった。

 彼女は真っ直ぐ剣を頭上に突き上げて、


―振り下ろした。


 鮮血が、あふれた。それが誰の血であるのか、そんなことは考えたくもなかった。

 後ろでドサッ、と倒れる音がして、それに気を留める暇もないまま次の行為にうつる。

「が…まさか…! こんな…!」

「闇を司る神……」彼女は剣を真っ直ぐに突き立てて、「強制返還ッ!!」

 次の瞬間。

 バシュッ!!という音とともに、彼の姿はたちまち消えた。

 きっと天界に強制的に返せたのだろう。

「………、」

 静かになったその空間で、彼女は虚空を見つめる。

 残ったのは…勝利だった。でもそれは、空しい勝利だった。中身のない勝利だった。

 彼女は倒れている少年の元に近づいていく。

「…イクサ…」

 返事はない。

 確認しなくてもわかった。今度は、今度こそ、―確実に息をしていない。

 心臓が動いていない。目に生気なんてこれっぽっちもない。

「…私、初のクイーンだよ…」

 彼女はポツリ、と呟く。
 
 ぽたぽた、と彼女の目から水滴がこぼれおちる。

「…ねぇ…? 返事してよ…? アンタと引き換えにクイーンになって…何が嬉しいのよ…」
 
 返事がないことなんてわかっていた。

 それでも、彼女は問うことをやめることはできなかった。

 今ここで問う事をやめたら、―本当にイクサが死んでしまう気がしたのだ。

「…帰ってくるって…言ったじゃない…。なのに…なのに………。ッ!!」

 優しくて、バカみたいにお人好しで。

 でも、自分の事を真っ直ぐに信じで、頼って、時に助けてくれて。

 多くの痛みを、自分の分まで背負ってくれて。


「約束は…守るためにあるって…言ったじゃない…。なんで……、何で最後の最後に…約束破るのよぉ…ッ!」


 今までの約束なんてよかったのに。

 アイはただ、―イクサが生きててくれれば、嬉しかったのに。

 一番守ってほしいのは―無事に帰って来てくれること。これだったのに………。

「……いやぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああッ!!」

 1人の少女の泣き声は…しばらく止まなかった…。

 外には雨が降っていた。まるで、少女の悲しみの声をかきけすかのように。










「…ってことだ」

「………、」

 一通りの説明を聞くと、ハヤテは黙り込んだ。

「…アイさ…。ひどかったらしいよ…勝った後。死んでるイクサにすがって…コイツを助けて…救急車はまだ…って。」

 アイだってわかっていたのだ。イクサが死んだのは。

 だって、彼女は嫌ってほど知っていたから。どうしたら、自分の力で人間を殺せるかなんて。

 でも、認めたくなかった。頭以外のどこかで、それを否定したかった。

「パーティーの例の景品も、イクサを生き返らせてくれ…って上位個体にすがってさ…。まあ、上位個体は頷いてはくれなかったけどな」

「………何故…?」

「詳しくは知らないんだけど、アイツのポリシーなんだよ。一度死んだ者は戻ってこないからこそ命には価値がある、ってのがな。だからアイツはそれだけは聞き入れてくれなかったよ」

「………、」ハヤテは少し黙って、「ちなみに、その時アイさんは結局何を願ったんですか…?」

「それがさ、ホントお人好しなんだよアイツ」フウは少し笑みを浮かべて、「イクサが死んで、自分も天界に戻らなきゃいけないからアテネが一人ぼっちになっちまうだろ? アテネを支えてくれる奴を用意してくれって。どんな形でもいいから頼む、ってな」

 そうですか…、とハヤテは返事をした。

 フウは、しばらく黙ってからハヤテの顔をうかがう。

「…で、お前はどう思う?」

「え?」

「…大切な人を、誰かに殺されるのと…自分の手で殺すの。…どっちの方が…悲しいと思う?」

「………、」

 その問いに、ハヤテは答えることはできなかった。

 比べることはできない。どちらも悲しいのは確かだ。でも、少なくとも言えることが1つある。

 ―アイは確実につらい思いをしてきたのだろう、ということ。

「俺はさ、その時のアイの判断が正しかったのかはわからない」でも、とフウは続け、「少なくともアイは…自分のためではなく、イクサのためにそういう判断を選んだ。他人から見れば自分勝手だと思われるかもしれないけど…でも、だからアイはお前に対してハッキリと自分がイクサを殺したって言ったんだと思う」

 そう。

 たとえどうであろうと、自分がイクサを刺したのは確か。

 だから、彼女は否定しなかった。否定や言い訳をしないのがある意味彼女にとってのけじめだったのだ。

 自分勝手な決断を下して殺した。それは間違いないから、責任は自分がとると。

 いったい彼女は、今までどれだけつらい思いをしたのだろう。

 信じては裏切られ、ようやく出てきた信じられる人を失ってしまって…。


 ―ボロボロだった少女は、1つの心地よい場所を見つけて、

 ―本当にそこが大好きだ、と思って、

 ―そしてそこすら闇に侵食されて、

 ―でもなんとか心地よい場所を護ろうとして、

 ―そうやって自分で全て壊してしまった。

 ―もう二度と、自分が心地よい場所にいられるなんて思わずに。

 ―すべての覚悟と責任を背負ったうえで。


「………、」

 その時。

 バヂイッ!!! という音がした。

 聞き覚えがあった。―紫電が弾ける音だった。

「…この音…電光、だな。…ヤバい…。アイの奴今戦ってるぞ…」

「え?」

 フウは、険しい目つきだった。

 無論それにも理由があって、

「…アイツ…昨日からずっとお前と一緒にいないんだろ? …そうなると…アイツ今…まともに戦えるような体力…ねーぞ」

「…そうですか…」

 そうだ。

 パートナーは力の補給源。

 力の補給源がなければ、彼女が戦い続けるのはキツいだろう。

 ハヤテは、ゆっくりと歩きだす。

 後ろではフウがきょとんとしていた。

「おい、お前どこに…!」

「助けに行くんですよ」

 ハヤテは、そう一言で告げた。

 それ以上の言葉なんて、きっと必要ないと判断したから。

だから、ハヤテは今はこれだけ告げておく。

「…僕のパートナーを、ね」


                                         第七話 END


前より詳しく書いたアイの過去…つらい話ですよね

以前よりもアイのつらい心情を描けた…かな?

ちょい補足をいれますと…パーティーの景品の願い事の中で死者の復活だけは上位個体は行ってくれません

これ、説明入れ忘れてましたがねすっかり…。理由はフウの言う通りですよっと。

そしてアイが前回のパーティーの勝ち抜きで願ったのは―アテネを支えてくれる誰かを用意すること。

私の今までの作品を知っている方なら、それがどういった形で叶えられたか…わかるのではないでしょうか? まぁ、それも追々と…!

さて、では待て次回! 詳しくはそちらで! 次回はハヤテにも頑張ってもらおう♪

では、また!☆ …っても続きますがね!

ハヤテ「ちょっと!?」