Re: 君と共に! 第一章 2月3日更新 ( No.19 ) |
- 日時: 2013/02/04 19:28
- 名前: 李薇
- ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第四話 『氷×風』
アイは「まー、朝からアンタの気配は感じてたんだけどね、」言ってから、
「まさかここで会うとは思ってなかったわ。アンタアテネのパートナーやってたのね」
「俺はお前が今日ここに来るのはわかってたぜ。転入手続きの書類で見たからな。…しかし、戸籍偽装してまでパーティーやらせるとは、創造神様様だよな」
やれやれ、と少年は2人で話しているハヤテとアテネを見ながら呟いた。
全くよね、とアイもそれに同意する。
が、少年は先ほどのアイの発言の中に疑問を見出して、「ん?」と首を傾げ、
「あれ? お前アテネのこと知ってんのか?」
そう。さっきさらっとアテネと呼んでいた。
が、フウが知っている限りこの少女たちは初対面のはずだ。…なのだが、
「知ってるわよ」アイはさらりと頷き、「…昔、イクサがよく面倒見てたから。」
「あーなるほどな」
少年もそれに賛同する。
綾崎イクサはとある事情からアテネを救い、それ以来アテネの面倒を見ていた。
そして、アイも同様にアテネとよく遊んだりしていたのだ。
遊んだりしていたのが……が。
「…けど、あんなに小さかったアテネに……まさかぬかされるとは」
「? 何が?」
きょとん、とするフウだがしばらくして気付いた。
身長はアイの方が高い。では、アイがアテネより劣ってるものは……、
気付いて目線をアイの顔からわずかに下へと落としていき、
「…そういやお前…相変わらず断崖絶壁―…、」
「ほほう? こっちはいつ戦ってもいいのよー? 風を司る神のフウくん?」
即座に殺気を感じた少年―フウはぎくっ、と肩を震わせる。
胸が断崖絶壁なこと気にしてたのか…と思いつつ、
「良いじゃねぇか。あんなのない方が匍匐前進早く出来るぜっ☆」
「一体私たちの普段の戦いにおいてそれが役に立つときが来るのかしらね…? っつか、それフォローとして間違ってるわよ?」
「はっはっは。ま、何が楽しくてお前と真っ先に当たらなきゃいけないんだよ。冗談じゃないって」フウは笑ってごまかしつつ、「歴代2位の強さを誇る女のくせに」
そう。氷を司る神のアイ。
彼女は歴代の神々の中で第2位の実力を誇る女神だ。
無論、この順位は前回のパーティーでの戦いからつけられているので、若干の誤差はあるものの、アイの実力が高いのは言うまでもない。
「それに」とフウは話をつづけ、「どうやら俺らの目的は一致してるっぽしな」
「…え?」 アイは首をかしげる。
が、フウは特に取り合わずにハヤテとアテネの方…正確にはハヤテの方を凝視していた。
「………イクサの弟…か」
フウがそういうと同時にアイがピクッ、と反応を示した。
それ以上言わないでほしげな顔だったがフウはそれを見越して尋ねる。
「―お前、大丈夫なのか?」
が、意外にも、その質問に対して、アイが返してきたのは笑顔と「何が?」という返答だった。
思わず呆気にとられつつも、逆にフウの方がたどたどしい口調で、
「あ、い、いや、だからまだあのことを気にしてるんじゃって…」
「全然?」
今度は笑顔じゃなくて、冷たい視線だった。
それ以上深く入ってくるな、といわんばかりの。
いわば、アイからの忠告のまなざしだ。
流石に歴代2位のその脅しには素直に従うことにして、フウはそれ以上何も言わない。
「………いつまでもあの事を気にしていても仕方ないでしょ。薄情だと思うならそれで結構。しょせん私はそういう奴よ」
「………、」フウは少し黙って、「よく言うぜ。お前が薄情だったら、一体ほかの奴らはどうなるんだか」
裏庭の大きな木の木陰にハヤテとアテネはいた。
アイとフウも何やら話しているようだが、こちらはこちらで色々話すことがあった。
「…そうですか。ハヤテもパートナーを…」
一通りの事情を聴き終えたアテネは、そうつぶやいた。
ハヤテも、それに対してコクリと頷く。
まさか、彼女とこんな形で再会するなんて思ってもいなかったので、驚きを隠せない気持ちはあったが、とりあえず今はそこには言及しないでおいた。
色々聞きたい気持ちがあったけど、触れにくいところもあったのだ。
「…ということは、私と同じ目的ですわね。」
「え?」
「…私も…イクサさんのためにも…この戦いを止めたいと思ってフウとパートナーになることに了承しましたのよ」
にこり、とおしとやかな笑みを浮かべつつ言うアテネ。
が、それに対して、ハヤテはきょとんとする。
「…え? アーたんって兄さんのこと知ってるの…?」
「………ええ。王族の庭城から私を出してくれたのは…紛れもなくあなたの兄のイクサさん。そのあともアイさんと一緒に私の面倒をちょくちょく見てくれたりしていたわ。でも、私のせいで…」
「え?」
最後の方が聞こえなかったのでハヤテはきょとんとしたが、アテネはそれ以上言わなかった。
ハヤテとしても根掘り葉掘り聞くつもりはないのでさほど気にしないでおいた。
大体こういう時に根掘り葉掘り聞くと、自分は地雷を掘るので…ここは黙っておく。
すると、アテネはしばらく何かを考えるような仕草をとってから、
「ハヤテ、私たち手を組みませんこと?」
「…え?」
予想外のセリフに、ハヤテは驚く。
というか、パーティー内での協力とかってありなのか? とか
そもそも協力ってどうするんだ? とか色々疑問符を浮かべていると、
「言ったまんまですわ。私たちの目的は同じなんですから、戦う必要性はないはずですわ。でしょ?」
「まあ、そうだけど…」
それでいいのかな? と疑問符を浮かべているハヤテに対してアテネは特に気にしていない表情で、
「いいのよ。あなた…アイさんから聞いてないの? 神は基本的に人間の方の決定に従うんですってよ。よほどのことがなければね。だからいいのよ」
「はあ…」
特に協力ダメ、とかいうルールもないしね、と彼女は付け足した。
じゃあ、これで良いのかな…? と首を傾げているとアテネはくすっと笑い、
「そういう優柔不断なところは相変わらずですのね」
「え…、あ、ああ…」
「ほんと、甲斐性ないですわねー」
グサッ、とアテネのセリフがハヤテに突き刺さるのを感じた。
まぁ、甲斐性なんてないさ。知ってたさそんなこと!
そう思いつつもハヤテはアテネを見つめ、
「…ごめん…」
「………、何が? 別にあなたのそういうところは…」
「そうじゃなくて。…昔…君に酷いこといって…本当にごめんなさい…」
その言葉に対して、アテネはしばらくきょとんとした。
それから、またふふっ、と笑みを浮かべて、
「…別に気にしていないわよ。でも、ありがとう。本当にハヤテは優しいわね。」
「ですから…」とアテネは言葉を続け、「…これからまた、一緒にがんばりましょう。」
それに対して、ハヤテはパアッ!と顔を輝かせて、
「ありがとう♪ アーたん♪」
と、昔のように無邪気な笑顔で微笑んだ。
ちなみにそれに対してアテネが少し頬を赤らめていたのは言うまでもない。
「………、話がついたようね。」
「!」
気付くと、後ろにアイとフウが立っていた。
…うん、やっぱり神様って神出鬼没のスキルがあるんだな。
「よかったー。さすがにクイーンとは戦うのはキツいしな〜…」
やれやれだぜ、と汗をぬぐう仕草をするフウ。
それに対してハヤテは「クイーン…さっきもいってたな」と首を傾げた。
「ああ…」と、先ほどはスルーしたのに今回はアイが反応し、「私のことよ」
「…え? なんでクイーン?」
「前回の勝ち抜き者をそう呼ぶのよ」
クイーン、ってネーミングセンスどうなんだ? と首をひねるハヤテ。
いや、クイーンは良いが男性神が勝ち抜いたらキングになるのか?
それはなんか…なんとも言えないなぁ…などとどうでも良いことを思いつつ、
「…え、前回勝ち抜いたんですか?」
「ええ。まあね」
ん? と疑問符がまたいっぱいでてきた。
アイはこういっていた。―イクサは死んだと。
パートナーが死んだのに…勝ち抜いた? そんなことあるのか?
そもそも何が勝利の条件なのかすらよくわからない。
けど、なんかアイにイクサの事を聞きづらかったので、特に聞きはしなかったが。
「さてと、じゃこれからはよろしくお願いしますわね。」
「うん!」
ハヤテが元気に返事するとアテネもそれに笑い返した。
凄く和やかな雰囲気になった。
なった、のだが―………。
「………、」
険しい顔つきの神が2柱。
アイとフウだ。彼女たちは互いに顔を見合わせて、
「………どう思う?フウ?」
「………、この気配は…電光を司る神…っぽいよな。」
「チッ。私アイツは嫌いなのよね…。昨日すでに会ってるんだけど」
ぶつぶつと文句を言うアイをはは…と笑いながらフウは見る。
「でもアレはさ、あからさまにケンカ売ってるだろ」
とフウが言った次の瞬間、
バヂバヂィッ! と遠方から音がする。
こうやって、いつでも一般人に手を出すぞ、という脅しでこちらをおびき寄せようとしているのだろう。
「……相変わらずムカつくやつね。電光神ライは」
「…一応アイツは俺の先輩なんだけどな」
「じゃ、アンタ行ってきなさいよ。先輩なら戦い方わかるでしょ」
「えー。いや、俺ちょっとやらなきゃなんねぇことがあるからさ」
ん? とアイは首をひねってから、「あー」と頷いた。
フウはこっちに来てから、真っ先に行うことがあるのを思い出したのだ。
「じゃ、良いわ。私たちで行くから」
アイは、そういってからにこにこ笑っているハヤテの襟首をガシッ!! と勢いよくつかんだ。
「話は聞いてたわね? 行くわよ!」
「え。今ですか? ってか何も聞いてなかったんですけど!?」
「今じゃなきゃいつなの?」
「でええ!? でも授業は!?」
「授業と戦いどっちが大切なの?」
「いやー…成績的には授業を取りたいところなんですけど」
「いいから行くわよ」
あー…どっちにしても話を聞いてくれないんですねー…とハヤテは思う。
まぁ、なんか凄い早口でされた説明によると、一般人に手を出そうとしている疑惑が浮上しているとのことなので急いでいこう。
ハヤテとしても関係ない一般人を巻き込むのは気分が悪い。
あるビルの屋上に1人の男が立っていた。
長身で金髪の男。年は20代半ばくらいに見える男。
―電光を司る神、ライ。
「ああ、わかっている。…俺は力で言えば、クイーンには逆立ちしても敵わないだろう」
「んじゃー、どうするの?」
後ろから、少女の声が聞こえてくる。
どうせ何も考えてねーだろ、と言いたげな声だったがそれに反論はせず、
「…決まっている。頭脳戦でいけばいい」
ライはビルの上から遠方にいるハヤテとアイを見て、
「綾崎ハヤテ…。お前はその女と一緒にいる気なのか? ―その女が何をしたか、知っても…一緒にいる気になるか?」
にたり、と不敵な笑みを浮かべるライ。
刻一刻と、謎の影がハヤテとアイに迫っていた…。
第四話 END
整理。氷を司る神、アイ。電光を司る神、ライ。風を司る神、フウ。
そしてフウのパートナーがアテネです☆
アテネにしたのはね…、イクサと面識があるからですね、はい
ようするにこの世界軸ではアテネはイクサと一緒にロイヤルガーデンから脱出、アイとも面識を持つ、だからミダスは…出番なし☆ …ということですはい。
まぁ、ミダスがアテネの中にまだいても今後出てくる最凶のあの方が許さないから全く問題ないんですけどね…!
それはともかくっ、そういう時間軸の話だと思ってください。
てなわけで…次回、リメイク前を知っている方はわかるかな? アイとイクサの事情が少し明らかに…?
リメイクなのでもっと掘り下げて書いていきますよー☆ よろしくね☆
では!
|
|