Re: 転生 (11月3日更新) ( No.24 ) |
- 日時: 2019/11/03 13:05
- 名前: masa
- こんにちはmasaです。
本編の更新です。
どうぞ。 -----------------------------------------------------------------------------------
前回、沙羅はルカやナギに「会いに来るべきなのか」悩んだ。
「(僕の今の両親は、前世の時とは違って過保護だ)」
「「沙羅〜」」 「もう。パパ、ママ」
夫婦揃って沙羅を抱きしめていた。
「沙羅に早く会いたくて、パパ仕事頑張っちゃったぞ〜」 「ママも頑張ったわよ〜」 「はいはい」
「(こんな風に、仕事から帰ってくれば直ぐにベッタリ。更に)」
「沙羅、今日は学校はどうだったんだ?」 「何時も通り楽しかったよ。勉強頑張ったり、友達と遊んだり」 「そう。良かったわね〜」
「(前世の時はありえなかった家族の会話も出来てるんだよね〜)」
× ×
ある日。
「それでは皆さん、明日から夏休みです。体に気を付けて楽しんでくださいね〜」 「は〜い」
帰りのホームルームで担任の先生に言われ、先生が職員室に戻った後
「ねえ、沙羅ちゃん。沙羅ちゃんは夏休みにどこかに行く予定ってあるの?」 「え!?」
帰り支度をしていると友人のヒマリに話し掛けられ、
「私、去年は遊園地とか博物館に行ったんだけど、今年は鹿児島のお婆ちゃんの所に行く位なんだよね」 「そうなんですか」
相槌を打った後、沙羅は少し考え
「パパもママもお仕事忙しいですからね。旅行とか行けるかどうか」 「そうだったの。残念だったわね〜、五月女さん」
沙羅が返事すると、突然美幸が話しに割り込んできた。
「私は家族みんなで海外旅行に行くのよ〜。ドイツにフランスにスウェーデン」 「へ〜。美幸ちゃんのお家、凄いんだね」 「まあね〜。パパもママも旅行好きだから、毎年行ってるのよ〜。飛行機なんか10回以上は乗ってるし〜」
自慢話にヒマリが素直に感心すると、更に自慢を重ねた。
「どう?羨ましいでしょ、五月女さん」
勝ち誇った様に言った途端、沙羅は美幸の両肩に手を置き
「素晴らしいじゃないですか。そう言う事は、出来る時にやっておいた方が良いですよ。ね?」 「あ、はい///////////////////////////」
素直に笑顔を向けて来る沙羅に
「(な、なんでこんなにドキドキしないといけないのよ。こんなの、タケル君だけでいいのに。なんで同じ女の五月女さんにドキドキするのよ)」
美幸の方は複雑だった。
× ×
沙羅は1人で帰路に着いていた。
「(旅行か。パパやママに頼めば、絶対に連れて行ってくれるけど、「温泉宿貸し切り」とか「観光地丸々貸し切り」とかやりそうだからな〜。普通に楽しませてはくれないだろうな〜)」
普段の両親の接し方から、これ位の想像は容易だった。
こんな風に考えながら歩いていると、半ば無意識に三千院家の前を通りかかっている事に気付き
「(ついこの間の事なのに、「懐かしい」って思っちゃうのは、僕自身の今の気持ちのせいなのかな)」
SPの人に気付かれない様に、速足でその場を後にしつつ「生まれ変わり、記憶が戻ってから初めて三千院家を訪れた時」を思い返していた。
「(正直、記憶が戻った後、会いに行くべきか悩んだけど、今思えば良かったよ。あの2人が約束を破るとは思わなかったし)」
帰宅後、何時も通りのやり取りの後、両親が寝静まった頃合いを見計らってキッチンに赴き、翌日は持って行けるルカのお弁当の仕込みを始めた。
すると
「お嬢様、こんな時間に何を?」 「あ、いや。これは」
五月女家にいるメイドさんの1人が来て聞いたが、沙羅の様子で色々と察し
「・・私は何も見なかった事にします。ですが、この事を旦那様や奥様に知られないようにしてくださいね」 「・・分かってます。前みたいになりますからね」
回想入ります。
ハヤテはルカへのお弁当を作る為に適当に理由をつけて料理をしていた。 すると
「沙羅、こんな所で何をしてるんだ」 「あ、パパにママ。何って料理を」
応えようとした瞬間、沙羅は調理台から引き離され
「沙羅の綺麗な手とかが包丁で切れちゃったらどうするんだ」 「それに、火を使って火傷しちゃったらどうするのよ」
沙羅が理由を説明しようとするより早く
「何をしてる!!沙羅にもしもの事があったら」 「し、しかし。お嬢様がどうしてもとおっしゃったので」 「言い訳無用!!」
怒鳴られたメイドはビクリッとし
「沙羅、行きましょう。貴女は料理なんてしなくていいのよ〜」 「来月の給料、少し減らしておくからな」 「は、はい」
ハヤテは自分のせいで怒られてしまったメイドにジェスチャーで謝った。
回想終わります。
「(あの事があったから、パパやママが朝早く家を出る時しかルカさんにお弁当を作ってあげられないんだよね。やれやれ)」
ハヤテは呆れ交じりの溜息をつきつつも料理を続けた。
× ×
翌日の夜。
「ねえナギ。ハヤテ君の学校も夏休みに入ったみたいだし、3人でどっか出掛けようよ」 「3人で!?別に2人でも・・あ、お前には立場があったか」
ナギは直ぐに察し、
「ごめんね、こういう時に引っ張り出しちゃって」 「構わんよ。お前の為なら、お邪魔虫だろうが何だろうが、なってやるよ」 「ありがと」
礼を伝えると、直ぐに
「でさ、何処に行こうか?私は旅行に行きたいな〜。何とか数日位休み取れると思うし」 「あのなあ。泊りがけなんて、沙羅のご両親が許す訳無いだろ。忘れたのか?」 「そうだけどさ〜。チェ〜」
心底つまらなさそうなルカにナギは溜息をついた。
「まあいいや。日帰りでも、旅行は旅行だもんね。ハヤテ君に予定聞いて、出かけようよ」 「だな」
× ×
一方のハヤテは入浴後、自室で寛いでいた。 すると、ナギに買ってもらった携帯端末が鳴り、
「夏休み中、何処かで日帰りでも良いから出掛けられる時ある?」
っとルカからメッセージが来ていた。
「(どうしよう。今の両親の事を考えると、ルカさんやナギさんと内緒で会うのは、「裏切り」になる気がする)」
こう思うと直ぐには返信出来ず、部屋を出た。
廊下を歩いていると居間から両親の話声が聞こえて来た。
「沙羅も夏休み入ったし、何処か出掛けるか」 「そうね。家族3人水入らずでね」
「そうなると、ホテルとか観光地を貸し切りにする必要があるな」 「そうね。沙羅に何かあったらいけないし、遊園地だったとしたら沙羅を待たせちゃうなんて、問題外だものね」
予想通りの会話にハヤテが溜息をつくと
「なるべく早く、仕事を片付けないとな。じゃないと沙羅と出かけられないもんな」 「ええ。私達が仕事仕事で寂しい思いをさせるのは、絶対にダメだからね」
「あの子には私達が出来る事は全部やろう」 「例え世界中の人を敵に回しても、あの子だけは守りたいわね」
「お前とは勿論だが、沙羅ともずっとずっと一緒にいたい、愛したい」 「私も、貴方とは勿論、沙羅ともずっとずっと一緒にいたいわ、愛したいわ」 「「私達は家族だからね」」
物音を立てない様にハヤテは自室に戻った。
× ×
一方。
「あ、ハヤテ君から返信来たよ。 今週末なら、何とかなるみたい」 「・・私も何とかなるな。お前は?」 「えっと。 うん、私もお休みだ」
お互いにスケジュール帳を確認し、笑みをこぼし合った。
「さて。早速計画を立てよう」 「うん。楽しみだね〜」
一方のハヤテは返信した後携帯端末を隠し、
「(ルカさんやナギさんの事がばれれば、今の両親ならたとえ相手がナギさんでも意地でも立ち向かうだろうな。そんな事になれば、色んな人に迷惑がかかる)」
沙羅はベッドに寝転がり
「(それに、あんなに僕の事を愛してくれてる両親を、裏切っているっと言う事実に変わりはない。だから、次に会った時に伝えよう。「もう2人に会う事は出来ない」って)」
ルカやナギにも罪悪感は感じるのだが、最悪な事態を避けるためにはやむを得ないと自身に言い聞かせ、決意を固めた。
----------------------------------------------------------------------------------- 以上です。
次回は続きです。
では。
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