Re: 女神と共に第四部 2nd (4月24日更新) ( No.36 ) |
- 日時: 2019/04/24 18:00
- 名前: masa
- こんにちはmasaです。
本編の更新です。
どうぞ。 -----------------------------------------------------------------------------------
前回、ミダスハヤテとの戦いに「七人の戦士」は全員敗れてしまい、意識が戻ったハヤテが白桜で自らを貫いた。
ここは都内某所。
現在ここに居る人達は質素な服装に身を包み、俯いていた。 そして殆どの人は泣いていた。
この場に居る人の一人である悠太は前を向き
「(・・ハヤテ)」
悠太の目の前には大きな祭壇があり、そこは豪華に飾られ、中央に大きなハヤテの写真が置かれていた。
そう、ここは葬儀会場であり、ハヤテの葬儀が執り行われていた。 何故、こんな事になっているのか。それは前回の続きに時間を巻き戻す必要がある。
× ×
ハヤテは自らを貫いた後、倒れた。 そして悠太と伊澄が言葉を失っていると、ハヤテの体から真っ黒い煙の様なものが出た後、真っ黒い球が出て
「グオオオオオオオオオッ」
「な、何だありゃ」 「あれこそ、キング・ミダス」
驚く悠太と鋭い視線の伊澄に対し
「バ、バカな。この、我が。ウォオオオオオオオ」
暫く呻き声をあげた後
「わ、忘れるな!!!例え我を倒しても、人間が強欲を持つ限り第二、第三の我が現れる。貴様らの戦いは終わらぬのだーー!!」
そう叫ぶと、ミダスは金色に光り、消滅した。
「キング・ミダスは、完全に滅しました。永久に復活する事はありません」 「そ、そうか」
悠太は安心したが、一瞬で
「って事は、まさか!!!」
先程まで動かなかったのが嘘の様に体が動き、ハヤテの元へ駆け寄った。
「悠太さん!?」
伊澄が問いかけると、悠太は首を横に数回振った。
「・・そう、ですか」
泣きだした伊澄に対し、悠太はあくまで冷静に
「皆と、ハヤテを運ぼう。このままじゃ他の皆まで死んじまう」 「そうですね」
伊澄も立ち上がった。何時の間にか伊澄の髪の色は元に戻っていた。
「取り敢えず、こいつは抜かねえと。このままにしておけねえし」
悠太がハヤテの体を刺し貫いている白桜に手をかけようとした時、白桜は金色の球になり、王族の庭城の方へ飛んで行った。
「白桜は、眠りについたようですね。新たな主が現れる、その日まで」 「・・そうか」
悠太はハヤテをおぶり、2人を両脇に抱えた。 伊澄は霊気の糸を出し、残りの3人を運んだ。
一同が王族の庭城から出て来ると、ナギが待っていた。
駆け寄ってくるナギを見ると、悠太も伊澄を気を失ってしまった。 ナギは当然驚いたが、迅速に対応し、予め待機させてあった救急隊に任せた。
幸い、「七人の戦士」は全員命を取り留め、三千院家が用意した世界最高峰の医療のお陰で傷も残らずに済んだ。 数日眠り続けたが、全員無事に目を覚まし、退院も無事に出来た。 伊澄の力は今度ばかりは結構長めに戻らなかったが、何とか完全回復を遂げた。
だが、やはりハヤテは助からなかった。 それを聞いたハヤテに好意を抱いていた面々は泣き明かし、絶望に暮れた。 だが、せめて葬式位は最高にしようと、一番良いランクの葬式を頼んだ。
葬儀当日、かなりの数の出席者が来て、大きめの会場を用意したのだが、入りきれなかった人は外でのお焼香となった。
これで冒頭に繋がるのである。
× ×
参列者の殆どが泣く中、悠太は涙が出なかった。
「(何だろうな。悲しくて仕方ねえのに、涙が一滴も出やしねえ。 理由は分かり切ってるけどよ)」
葬儀は何事も無く進行し、火葬も済ませた。 お墓は既に手配済みで、かなりいい場所、かなり良いお墓に決まっている。
× ×
それから暫く経った。
「お嬢様〜。朝だぜ〜」 「煩い!!!入って来るな!!」
悠太は溜息をつき
「ずっと引き籠りっぱなしじゃねえか。良くねえぜ」 「黙れ!!!お前に何が分かる!!!」
それっきり何を言っても応答が無く、再度溜息をつくとナギの部屋の前から離れた。
「(やれやれ。やっと引きこもりが治ったと思ったら)」
廊下を歩いているとマリアさんに会った
「また駄目でしたか?」 「ええ、まあ。じゃあ、俺はやる事あるんで」
悠太が立ち去ると
「(フフフフフフフフフフフフフ♪ナギがこのままなら色々と面白そうですね〜♪この私が三千院家を乗っ取っちゃうってのも、面白いですよね〜♪ああ♪)」
とか思っている人がいたそうだ。
× ×
悠太は天王州家に来ていた。
そしてナギ同様アテネも部屋のドアの前で何とか説得しようとしたが、駄目だった。 溜息をつきつつ歩いていると、メイド長に声を掛けられた。
「また来てくれたんですね」 「ええ、まあ。このままじゃ良くないっすからね」 「・・どうでした?アテネお嬢様は」
悠太は首を横に数回振った。
「・・すみません、殆ど毎日」 「良いっすよ。好きでやってるんで」
悠太は殆ど毎日こうやって説得に来ているのである。 だが、成果は一向に上がらなかった。
「・・真山様は、悲しくないのですか?葬式の時も、泣いて無かったようですが」
悠太は頭を数回掻いた後
「そりゃ、悲しいっすよ。でも、それ以上に悔しくて」 「え!?」 「俺がもっと強かったら、こんな事にならずに済んだのかなって」
メイド長が納得いってると
「それに、このままじゃあいつも安心して成仏出来ないんじゃないかって」 「そう、ですか」
悠太は少し間を置き
「それより、こっちは平気っすか?」 「水蓮寺様とソニアは取り敢えずは大丈夫ですが、他の方々は・・・。それに水蓮寺様は家にいる間はハヤテ坊ちゃんの部屋に引き籠っちゃいますし」 「そう、っすか」
悠太は軽くため息をつき
「じゃあ、俺はこれで」 「ええ。頑張ってください」 「・・ええ」
× ×
天王州家を出た悠太は行動を始めた。
麗やヒナギクと言った「取り敢えずは」大丈夫な面々以外は引き籠っており、その人達の説得をしていた。 と言っても、成果は上がらず、失敗続きだった。
しかし、「諦める」っと言う選択肢は無く、ハヤテの葬儀が終わって以来殆ど毎日欠かさず説得に動いていた。
「(やれやれ。俺が何とかしねえとな)」
悠太自身、「悲しみ」で心を支配されそうになっていたが、「このままじゃ良くない」っと言う思いで振り払っていた。 全ては「弱い自分が引き起こした悲劇」っと言う思いもあって、何とかなっていた。
「そう。また駄目だったのね」 「ああ」
現在悠太は生徒会室でヒナギクとお茶をしながら話していた。
「だが、このままじゃあいつが浮かばれねえ。だから、負けないよ、今度こそ」 「・・強いわね」
溜息をつくヒナギクに
「ヒナギクは、大丈夫なのか?」 「全然、大丈夫じゃないわ。でも、生徒会の仕事や剣道に打ち込む事で、無理やり保ってるわ」 「・・何かしてた方が楽、か。俺と一緒か」
2人とも溜息をつき
「何とか、ならないかしら」 「・・難しい問題だな。時間を掛けて解決するしかねえし」 「・・そうね」
悠太自身、「願望現実化で何とか出来るのではないか?」っと思った事はあった。だが、それは危険すぎる賭けなので、諦めていた。
「じゃあ、俺はもう行くよ。お茶、ご馳走様」 「ううん、良いの。話し相手になってくれれば、多少は紛れるから」 「・・そっか」
生徒会室を出て、三千院家に戻る道すがら空を見上げ
「(ハヤテ、こっちは何とかして見せる。だから、お前は安心して成仏しろよ)」
そう思い、歩き出した。
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次回は続きです。
では。
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