Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第6話更新】 ( No.80 ) |
- 日時: 2012/08/26 13:59
- 名前: ロッキー・ラックーン
- 参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738
- こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
そろそろ初投稿から1年が経とうとしてます。 時の流れは早いです。(というか、自分の筆が遅い。笑)
今回でヒナ編完結となります。 デート当日のヒナを書きたくて最終回を延ばしました。
それではどーぞ!
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「ただいま〜!」
「あら、ヒナちゃん。お帰りなさい」
おはようございます、桂ヒナギクです。 今日は、待ちに待ったハヤテ君とのデート。 その日の朝早くの事、私は実家(誤解を招かないように言えば桂家)に帰ってきた。
アパート暮らしになってから、はや数ヶ月…。 2週間に一度は実家に帰って、お義母さんに近況を報告している。…と言うと堅苦しく聞こえるけど、ただおしゃべりしてるに過ぎないのが実際のところ。
今日は元々から決めていた帰省日で、特に話す事も無いつもりだったけど、数日前に大イベントが飛び込んで来た。(念のために説明すると、ハヤテ君からデートに誘われた件です) という訳で、実家に置いてある一番お気に入りの服(個人的に特別な日に着たいからアパートには持って来なかった)に着替えるついでに帰って来たのだった。
しあわせの花 -Heart of Daisy- 第7話【 Heart of Flower 】
「今日はヒナちゃんにお客さんが来てるわよ」
「お帰りなさい、ヒナ」
「あ、アリス〜!?」
リビングに入るやいなや現れたのは、皆様ご存知の暴走機関車娘。 私のお気に入りのカップで紅茶に舌鼓を打つ姿はとても優雅にキマっている。 アレ…アパートでの朝食の時はまだ寝てたと思ったけど…いつの間に!?
「ヒナが出かける用意をしている間に、おば様にお迎えに来て頂いたのです」
「また人の心を読んで…」
「まあ!アッちゃんは読心術まで出来るの!?スゴイわね〜!」
「エッヘンですわ!おば様にも今度教えて差し上げます。ちょっとコツを掴めば、ヒナやハヤテのモノローグくらいならバッチリ読めますわよ」
「あらあら!それは楽しみね〜」
私の存在を完全無視で話を進めるふたり。
多分ここからの展開は、私が予測してる物と、ココまで根気良くお付き合いしてくれる読者さんたちの予測してる物と、そう変わらないと思う。 それでも読んでくれる優しい方は下スクロールでどうぞ!
って、何を言ってるのかしら私ったら…?
「それで、(疑似)母娘揃ってウチに来たのは、何かお話があるからかしら?」
「ハイ、その通りです、おば様。これに関しては、ヒナの口から直接言って頂きます」
「え、なになに〜?ヒナちゃんの口からじゃなきゃ言えない事があるのかしら〜?」
「……」
なるほど、思った通りの展開ね。 まあ、自分としてはお義母さんに言うかどうか迷ってたから、ちょうど良いと言えばちょうど良いのかな…? う〜ん、どうやって切り出してみようかしら…
「お義母さん、今日ね…ハヤテ君と…デート…なの」
あえて間を置きながら、深刻な表情で話す。 さて、お義母さんの反応は…?
「まあまあ!あなた達ったらいつの間にそんな関係になっちゃったの!?」
「そんな関係って、私達まだ…」
「あらヒナ…『そんな関係』っていうのはどーゆー状態を意味するのですか?」
「えっ?」
「そーねー…それはハッキリしておくべきね!『まだ』って事は、ヒナちゃんは、これからなるつもりみたいだし…」
ニヤニヤと私の顔をのぞきこんで来るふたり。 早いところ着替えて出かけたい私としては、イライラが溜まるばかり。
「んもう!!分かってるでしょ!?ハヤテ君と恋人同士になりたいから今日のデートで告白されに行くの!!…これでいい、アリス?」
「はい、とってもぐれーとですわ!」
一応怒った表情の私にお構い無しの満面の笑み。 そんな顔をされてしまうと弱くなってしまうのは、母としての愛情ゆえか…?
「…あんなに小さくて可愛かったヒナちゃんも、恋する乙女な年頃なのね…。時の流れって早いわね…」
「お義母さん…」
「お義母さんもアッちゃんも応援してるからね…頑張りなさい!!」
「…うん」
お義母さんの言葉に、桂家にはじめて来た日の事を思い出した。
「ちゃんと恋人になれたら綾崎君、連れて来なさいよ〜?」
「そ、それはまだ分からない話だから…」
「おば様、それに関しては私が責任持って必ず…」
「あらまあ…これじゃどっちが保護者か分からないわね」
「もう…アリスったら…」
「うふふ…これでもう後戻りはできませんわね?」
「後戻りなんてしないわよ」
そう。もうここまで来たら、後戻りなんてあり得ない。 ハヤテ君とバッチリ仲良くなって帰って来るんだから!
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「じゃあ、いってらっしゃい!気を付けてね。綾崎君によろしくね」
「ヒナ…ふぁいとですわ!」
「は〜い。いってきま〜す!」
ふたりの家族に見送られて、いざ出発! …かと思いきや、玄関から路上に出た瞬間に、見慣れた人影が私の方に近付いてくるのが見えた。
「お〜い、ヒナさ〜ん!!」
「!?…歩!?」
後ろに子供を乗せられるタイプの自転車で現れた親友。 かなり急いでこいで来たのか、ハンドルに身を突っ伏して呼吸を整えている。
「ハァハァ…これから、お出かけですか?」
「うん。…大丈夫?」
「ハイ…私の事はお気になさらず…ちょっとだけ、時間大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だけど…」
「良かった〜!間に合ったぁ〜…」
私の言葉にホッと一安心の表情。 一体全体どうしたのかしら?
「ヒナさん、これを!」
「?」
歩が渡して来たのは、小さな紙袋。 開けて中身を出すように目配せする彼女に応えて、丁寧にテープをはがして取り出す。
「これは…」
「それを私だと思って、持っていてください!」
袋から出てきたのは、小さなお守りが一つ。 シンプルなデザインが、逆にご利益を感じさせるような一品だった。 その真ん中には、当然ながら「恋愛成就」の文字が刻まれ…
って、アレ…?
「それがあれば、デート大成功間違いナシですよ!」
「あの…歩さん…?」
「いいんです!私からの心意気なんで、お代なんて請求しません!持ってけドロボー!」
「いえ、そーゆーワケじゃなくてね…」
「ヒナさん、私はもう恋敵じゃないんです!ほどこしとかじゃなくて純粋に応援してるんです!素直に受け取ってくれても良いんじゃないかな!」
「うん、喜んで受け取りたいんだけどね…コレって…」
得意気に胸を張って話す歩に、お守りの文字を恐る恐る見せてみる。
「安産祈願」の文字を…。
目を合わせるバリバリ思春期真っ只中な女子ふたり。 この展開で真っ先に思い浮かぶのは、「ハヤテ君との子供を産むまでに踏むプロセス」一択…。
「ぎゃああああ!!なんじゃコレわーー!?」
「なんじゃコレって、自分で選んだんじゃないの〜!?」
「いや、そーですけど!そーじゃなくて!」
日曜日の朝っぱらから路上で騒ぐ女子高生。 近所迷惑ったらありゃしない…。
「ハァ…でも、ありがたく受け取らせて貰うわ。歩の気持ちがこもってる事には変わりはないしね」
「そ、そーですよね!それに、ひょっとしたら近いうちにホントに安産祈願が必要になるかもだし…」
「んもう!歩ったら…」
どうにかこうにか場をおさめて、受け取ったお守りをバッグの内ポケットの奥底に入れた。 さすがに、コレを他の人に見られたら何を言われるか分からない。…特に、すぐそこにある私の実家にいるふたりには。
「私からの用事はコレだけです。…頑張ってください!!」
「うん、ありがとう…。行ってくるわ!」
「いってらっしゃ〜い!」
親友に見送られて、今度こそ出発!! ドタバタしたけど、結果的には勇気100倍ね!
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さてさて、待ち合わせの駅前に向かう私こと桂ヒナギク。 待ち合わせの時間が10時半。現在時刻は9時ちょうど。 …うん、9時半前には着いちゃうわね。イイ感じ。
余談になるけど、普段のアポイントメントであれば、相手に「待たせてしまった」と思わせないために、5分ないしは10分程度前に待ち合わせ場所に着くようにする私だけど、今日に限っては別。
待ち合わせ時間があるという事は、私がハヤテ君より先に来れれば、彼が来た瞬間に「二人の時間」が始まる事になる。 つまり「ハヤテ君が私を待っている」だなんていう、もったいない時間が発生せずに済むという事になる。
よって、ハヤテ君の遅刻癖をさらに考慮すれば1時間前に到着してるくらいが適正かなというのが私の推測だった。
と、長々と語っているうちに駅前に到着! さすがにまだハヤテ君はいないでしょうと思いながら、辺りを見回してみると…
第一に目に入ったのは、ママチャリを停めて口笛を吹く黒髪の若い女性。後ろには縦ロールの金髪の可愛らしい子供が乗っている。 ペアのサングラスをして、まるでスパイのようだ。 …見なかった事にしよう。
第二に目に入るは、奇妙なマスクを着けた二人組。 メイドブラックマックスハートな人が、相方のマスク・ザ・マネーの駄々をこねているのを、なだめているようだった。 …私は他人…赤の他人です。ていうかなんで私はあの人たちの名前を知ってるのかしら…?
そして第三に目に入ったのは、満面の笑みで時計を見つめている女の子…じゃなかった。 見つけたわ!!
「お〜い!」
「!!」
声をあげながら彼に向かって走る私。 私の声に気付いてこちらを向く彼の姿に、笑顔がこぼれるのが自分でも分かった。
「ごめ〜ん、ハヤテ君!!…待った?」
「いえいえ、つい今来たばかりです」
その言葉が絶対にウソだというのは分かったけど、私がそれを口にする事は無かった。 なによりもハヤテ君との「二人の時間」を過ごす事の方が優先事項だったからだ。
「映画の時間まで随分あるし、お茶でもしましょうか?」
「そうですね。是非!」
既に監視(?)の目があった事は頭から消えていた。 これから過ごす時間への胸の期待値がメーターを振り切っていたから。
…好きだよ、ハヤテ君。 本当は叫びたい。私のこの気持ち…早く、たくさん、力一杯に伝えたい。 でも今日だけ…今日だけは「好きだよ」の代わりに、貴方の隣で咲いてます。
ハヤテ君の気持ちを…待ってるからね…。
【おわり】
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【あとがき】
デート当日の朝、ヒナが何をしてたかを書きたくて最終回をずらしたという訳でした。 もともと当日の朝にヒナが実家に行ったのは、ハヤテとどこかで待ち合わせをさせたかったからなのですが、ヒナ編を書いてる途中で「じゃああの時何してたの?」という事を考えたら、書かずにはいられませんでした。 後付け設定たっぷりですが、お楽しみ頂けたでしょうか? では、解説を…。
■アリス?ヒナママ
いつの間にやら仲良しな二人。 ヒナママは特にハヤテやナギからの呼び方を知らないので「アッちゃん」です。 ちなみにアリスは最後の応援がしたくて桂家に行きました。 この二人の絡みは今後もやりたいところです。
■歩さん
ヒナの背中を一番最後に押すのは彼女以外ありえません。という訳で、無理矢理登場してもらいました。 何か餞別みたいな物を渡すシーンがやりたかったのと、ハヤテ編では一切そういう描写が無かったのと、コメディにしたかったという三点が都合良く「安産祈願のお守り」という結果に繋がりました。 それにしても、いったいどーゆー経緯で間違えたんでしょうかね〜?笑
■カオスな駅前
これもハヤテ編で一切描写の無かった後付け設定です。 ハヤテは完全に妄想にふけっていたから気付かなかったんだと思います。
待ち合わせ時間の2時間前に来たハヤテに対して、1時間前に来たヒナ。 考えてる事は二人とも同じです。 「特に申し合わせた訳でもないのに、二人して同じ事を考えている」というパターンは大好きで、頻繁に使っております。
そして、刺客たち。笑 歩登場時の自転車の解説はココへのフラグでした。
マスク・ザ・マネー→原作1巻ナギ メイドブラックマックスハート→原作6巻マリアさん に登場してます。かなり懐かしい。 こんな人たちが駅前にいたらまず職質ですね。
この人たちも、さすがにデート本番に入ったらアパートに帰りました。 デート最中にこんな人たちに回りをウロつかれたらハヤテ君も気付いたでしょうし…。笑
さてさて、これまた物凄い時間がかかりましたがヒナ編は以上となります。 アリスの師匠キャラ付けを筆頭に、色々とやりたい放題出来て楽しかったです。 「変化したハヤテ」に対する「成長したヒナ」という当初のテーマをお伝えできていたら幸いです。 そして何よりも、長々とここまでお付き合いして頂けた皆さんに感謝感激です。
次回以降はまだ考えてません。 結構ネタに困ってたりするんで、リクエストなんて頂けると嬉しかったりします。
ではご感想・ご質問などお待ちしております。 ありがとうございました。
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