Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第3話更新】 ( No.15 ) |
- 日時: 2011/10/31 02:18
- 名前: ロッキー・ラックーン
- こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
今回はハヤテからのパロディ満載にしつつ、物語の一つの核心に触れようと思います。
それではどーぞ!
------------------------
最近…自分はどうかしてると思う。 毎晩毎晩、一人の女の子の事が気になっている。 そのせいか、あらゆる事が上の空で…どこか気持ちが落ち着かない。 もしかして…これは…
鯉(コイ)!?
「いやまさかそんな!?確かにたまには広島がAクラスになっても良いと思うけど!!」(鯉は英語でカープなので…)
第4話【花言葉 -I miss you-】
「というワケで、私に相談してくれたと…?」
「ハイ…西沢さんなら普通の答え(←良い意味で言ってるつもり)を出してくれそうなので…」
「うっ…ハヤテ君まで普通って言うかな〜!?」
一人の女の子というのはもちろん皆様ご存知、桂ヒナギクさんの事だ。 先週末、ヒナギクさんとアーたんと3人で公園に行って遊んだ。それからというものの、僕の頭の中はあの人の事でいっぱいだ。 とにかく彼女の事が四六時中頭から離れない。 どうせ僕一人で考えて導き出す結論なんて的外れになるだろうと思って、墓穴を掘ってしまう前に西沢さんという助っ人に相談をお願いした。 知り合いには見られたくないので、お嬢様が学校に来てない日の放課後に、隣り町にあるちょっとレトロな趣きの喫茶店にしけ込んでるという訳だ。
「でも、私を選んだのはなかなかナイスな判断だと思うよ?」
「ハイ、自分でもそう思います」
お嬢様、マリアさん、アーたん、生徒会の皆々様、ワタル君、サキさん、伊澄さん、咲夜さん、桂先生、シラヌイ、タマ、西沢さん… これは皆さんも西沢さん一択ですよね?
「それにしてもハヤテ君が私に恋の相談だなんてね…まあこのラブ師匠に任せてよ!」
「あ、ラブ師匠の称号ならもう他の人についてますよ?」
「えっ、そうなの!?じゃあ…ラブマイスター・ウエストで………(←自分で言って恥ずかしくなった)」
「ではお願いします、ラブマイス「やっぱそれやめて〜!」
やっぱり西沢さんも良い人だな… 僕の事を好きと言ってくれたにもかかわらず、こんな厚かましいお悩み相談にまで乗ってくれて…
「でも、相談も何も…寝ても覚めてもヒナさんの事ばかり考えてるんでしょ?」
「…ハイ」
改めて他人の口からその事実を告げられると恥ずかしくなる。 でもまあ、事実は事実として認めるしかない。
「じゃあ決まりじゃないかな?『ハヤテ君はヒナさんに恋してる』…間違い無いよ」
「ですからそれが信じられなくて…確かにヒナギクさんは素敵だと思いますが…僕には…他に好きな人が…」
「…例のお姫様の事かな?」
「…ハイ」
そう。甲斐性無しの僕にも…アーたんという想い人がいる。 10年間想い続けた、初恋の人。 彼女を好きだと言いながら、ヒナギクさんの事ばかり考えている。 うわ…改めて僕ってヤツは最低な男だな…
「う〜ん、コレばっかりはハヤテ君の気持ち次第としか言えないかな〜?」
「まあ…そうですよね…」
大概「恋の相談」なんてものは結論を出すのが目的ではなく、ただ「恋している自分」の姿を見せて、相手にリアクションを取ってもらうという儀式に過ぎないものだ。ぶっちゃけ、お互い結論なんか考えちゃいない。 今回の僕の相談もそんな形に終結しそうだった。
「でも、私からアドバイスを送るとしたら…10年って年月に縛られる必要は無いんじゃないかな?」
「縛られる…ですか?」
「うん。ハヤテ君の話を聞いてると、アテネちゃんとの関係に対して義務感ていうのかな…そんな感じのものが受け取れるかな?そりゃあ正式なお付き合いだったらそういうのも少しは必要かもだけど…今アテネちゃんとはそんな関係じゃないんでしょ?」
「ハイ…一応…振られちゃった感じです」
「だとしたら、『今』ハヤテ君の中にある気持ちの方が大事なんじゃないかな?…あくまで、私の視点で見てだよ?ハヤテ君の10年間がどんなものだったかが、私には分からないって所がポイント」
「なるほど…」
義務感…確かにあったかもしれない。 でも10年という月日は僕にとっては間違い無く本物だし… アーたんの事が「好き」じゃないかと言われたらウソになる。
でも今は、ヒナギクさんの事を考えてる時間の方が多い。 …ウソを言った。ヒナギクさんの事しか考えていない。
「でもねハヤテ君…一番大事なのはハート!ハヤテ君の気持ち!恋は自由…フリーダムなんだよ!つまらない理屈とか抜きで、好きなものは好き!!だから自分を解き放って叫ぶの。想いのままに!!」
非常に熱く力説する西沢さん。 さすが「ラブマイスター」だけある…
「私のこの手が真っ赤に燃える!!ハヤテを掴めと轟き叫ぶ!!ふるえるぞハート、燃えつきるほどヒート!!!」
「ちょ、ちょ、西沢さん…!!」
「あっゴメン…ちょっと熱くなっちゃって…テヘ」
熱くなりすぎです。しかも僕の名前呼んでるし。 …でも、やっぱ恋ってこんなにも人の心を動かすものなんだな。 ハート…僕の気持ち…か。
「そんな感じだから、私まだまだハヤテ君に恋してるからね?」
「ちょっとリアクションに困りますが…こんな僕なんかに、ありがとうございます」
「お礼の言葉はいらないから、私と付き合ってくれたらそれで良いんだけど…」
「ゔっ…スミマセン…」
「むむむ…謝られると逆にショックかな…まあ、私で良ければまたいつでも相談してね!ハヤテ君の恋、上手くいくといいね」
「…西沢さん」
僕の恋がどう転ぶにせよ、「上手くいく」というのは西沢さんにとってはそんなに嬉しくないはずだ。…自分で言うのもナンだけど。 それをこういう風に言ってくれるとなると、もはや僕一人の恋ではなくなってるのかもしれない。
「ホントに…ありがとうございました」
「ウン、頑張ってね!ハートだよ!!…またね!!」
------------------------
西沢さんと別れて、アパートに戻るまでの道のりも、ずっと考え続けた。
それにしても僕があのヒナギクさんに恋かぁ… 始めは、住む世界が違うと思ってた。でもそんな事は一切無かった。 元気で…朗らかで…美しくて…たまに出る子供みたいなところがまた可愛くて… このままいくらでも褒める言葉が出せそうだ。
僕の事、どう思ってるかな? 多分、以前ほど嫌われてはない…はず…。(←オイオイ…) 挨拶だって返してくれるし、こないだ遊びにも行けたし。(全部アーたんのおかげだけど) どうすれば僕の事見てくれるかな…?コレも西沢さんに聞いとけば良かったな…
好きな人とかいるのかな…?いや、いないでいて欲しいな… でもいるかもな〜。華の女子高生だもんな〜。 ヤバイ、気になってきたぞ…! いない!いないと信じたい…!!
もう学校から帰ってるかな?今日も会えたらいいな…
その時の僕は「恋しちゃってます」オーラ全開で、傍から見たらとても気持ち悪かったと思う。 まあこれも、恋はフリーダムというラブマイスターの教え通りなので、どうかお目こぼしを…。 とかなんとか考えてる内に、アパートに到着。
「あら、ハヤテ君。おかえりなさい!」
アホみたいにニヤけている僕を迎えてくれたのは、会いたくて仕方無かったあの人。 よっしゃ!超ラッキー!!
「あ、ヒナギクさん…ただいま戻りました。ヒナギクさんもお帰りでしたか」
「うん。今日は部活も生徒会も無かったから」
今日も可愛いなぁと思いながらも、平静を装って挨拶し返す。 帰り道に思っていた願望がわずか数行のうちに叶うとは…僕にしては運が良すぎる。 どうやら花壇の手入れをしているようだ。
余談だが、このアパートの花壇の世話はヒナギクさんが主にやっている。 「生活のほとんどをマリアさんとハヤテ君に世話してもらってるからせめてこれくらいは」と志願されたのだ。 学校生活で有り余る活躍をしているのだから、そんな気を遣わなくて良いとは言ったものの、それに引き下がる彼女ではない。 ちなみに花壇の世話は、水をやったり、雑草をむしったりするだけだが、継続してやるのは結構めんどくさいものだ。
「今日も花壇のお世話ですか…ご精が出ますね」
「うん、自分で言い出した事だし…花は好きだから楽しいわよ?それに、同じ名前を付けてるから…ね!」
「ハハハ…雛菊、綺麗に咲いてますね」
「そうね」
花壇には、赤・白・ピンクと色鮮やかな雛菊。(←漢字は花のほうとして下さい) その花は太陽を仰ぎ、風とヒナギクさんの想いを受けて、真っ直ぐに咲いている。 ちなみにこの雛菊はお嬢様が、多少の皮肉を込めて調達してきたものだ。 ヒナギクさんも最初は少し恥ずかしがっていたが、今はもう自分の分身かのごとく毎日世話をしている。
「僕にも花壇のお手入れ、手伝わせてください!」
「え…じゃあお願いしようかしら?」
ここに居座るのにとても体の良い理由を見つけられた。 断られるかなとも思ったが、案外ヒナギクさんも一発でOKしてくれた。 僕は鼻歌混じりに如雨露(じょうろ)に水を汲みに行った。
「フンフ〜ン♪水汲んできました〜!」
「ありがと!じゃあ今日はハヤテ君が水やりしてあげてね」
「ハイ!」
言われた通り、咲き誇る雛菊たちの根元に水をやっていく。 乾いた土に水が行き渡り、とても気持ち良さそうだ。
「帰って来て早々、手伝わせちゃってゴメンね?」
「いえいえいえ!僕がしたかっただけなんで!…それにヒナギクさん、こないだ言ってたじゃないですか。『ゴメンは要らない』って」
そう言いながらあの時の「あいあい傘」を思い出して、少し顔が赤くなる。 また出来たらいいな…
「あっ、そうだったわね…じゃあ、ありがとうハヤテ君!」
「ハイ、どういたしまして…って言うのもおかしいですね、自分の住んでる家の庭ですし」
そんな事を言って二人で笑い合う。 …やっぱり幸せだな、この人といると。
「そーいえば、ヒナギクさんのお名前の由来って、この雛菊と関係してるんですか?」
「ん?そうね〜…」
何気無い疑問を口にしただけで、他意は無かった。 ただ、それに対するヒナギクさんの含みのある言い方が気になった。 口元に手を当てて、少し考えてる様子だ。
「雛菊の花言葉って、知ってる?」
「ええ、『無意識』や『明朗』『純真』『お人好し』…とかですよね」
「…えらく詳しいのね?」
「ハイ、花屋でのバイト経験もありますので!」
「…そうなの」
実際のところバイト経験も嘘ではないが、花言葉なんて大して覚えちゃいない。 とにかくヒナギクさんが気になって仕方無かったので、最近なんとなく調べたのだ。 好きな人の名前が花で、その花言葉を調べるというなんともロマンチスト(笑)なヤツだ。
「ハヤテ君の言ってくれた他に『幸福』っていうのもあるらしいの。」
「そうなんですか!」
「それでね、『私の周りの人たちみんなを幸せにして欲しい』っていう事で、雛菊にしたんだって」
「…なるほど」
…そうだとしたら、僕はもう彼女の名前の通りだ。 ヒナギクさんと一緒にいて、いや…一緒でなくても、彼女の事を考えるだけでとても幸せな気分になれる。 ちなみに僕の調べたものには「幸福」は載ってなかった。(後日見直したら、見落としただけだった)
「素敵な名前ですね…」
「うん、私も大好き。…私がこの名前に誇りを持ってる事が、本当の両親との唯一の繋がりなの」
そうか、ヒナギクさんは自分を置いて行った両親の事も愛し続けている。 ヒナギクさんがヒナギクさんであり続ける事だけが、その両親へ出来る愛情表現なのか…
これが分かってようやく先ほどの含みのある物言いに合点がいく。 「雛菊」という名前は、ヒナギクさんの心の奥の奥まで踏み込んだ領域だったのだ。 人の名前だから、誰にでも重要である事には違いないが、ヒナギクさんにとってはさらにそうなのだ。
「…照れくさい話だから、他の人にはナイショよ?」
「…ハイ!」
「じゃあ片付けて、せっかくだから縁側でお茶にしましょ?」
「い〜いですね〜!そうしましょう、そうしましょう!!」
雫を輝かせる雛菊を見ながらのティータイム。 「しあわせの花」の姿に微笑む彼女は、僕の心を温かい気持ちで満ち溢れさせるのだった。
つづく
------------------------
【あとがき】
今回は小説タイトルの由来となるお話でした。 アニメ2期のヒナのキャラソン"I miss you"を聴いて、思いついたものです。 ハヤテのセリフを少しだけ歌詞にかぶせてます。 ちなみに、"Power of Flower"の歌詞もちょっとだけパロって使ってます。 ヒナの歌はどれも大好きなので、これ以降もチョロっと使うと思います。
さてハヤテですが、ようやく「自分はヒナギクが好きだ」という認識を持ちました。 「ヒナギクへの想い」を重点にしたので、「アーたん・ナギ他との人間関係」についての解決は後回しです。 ハヤテのモノローグ(一人語り)をとにかくヒッナヒナにしようと心がけましたが、いかがでしょうか? ハヤテのヒナへの想いの気付きをもう少しドラマチックにしようかなとも思いましたが、冒頭の原作9巻のヒナのパロディを使いたかったのでナシにしました。 始まりをテキトーにした分、その先の恋をハヤテには頑張ってもらおうと思ってます。 ただ、告白だとかのアクションはアテネ(アリスではなく)との関係をハッキリさせてからでないといけないので、非常にネタに困っているところです。笑 そんな所もまったり考えていこうと思います。
歩への相談と、花壇のやり取りのパートは分けようかなとも思いましたが、結局一緒にしました。 帰り道にアホみたいにヒナヒナ考えてるハヤテの描写を書きたかったので…笑 この物語の歩も、もちろんヒナのハヤテへの想いを知ってます。 ただラブマイスター(笑)として、「自分の恋は自分で掴み取れ」というスタンスを取ってるものとしてますが、全面的に二人の味方です。
ところで余談ですが、何巻か忘れましたけど原作でヒナが答案用紙に「桂ヒナギク」って書いてた所があったのですが… 一応正式(畑先生の公式プロフィール)には「桂雛菊」がヒナの名前だからスゲー違和感を感じた覚えがあります。「高校生で自分の名前カタカナは無いだろ!」って。 ちなみにハヤテは「綾崎颯」、ナギは「三千院凪」が正式名ですね。 ちなみに私のハンドルネームの由来はビートルズの曲名です。スミマセン。
毎度のこと、非常に取り留めの無いあとがきでしたが、以上です。 ご意見ご感想お待ちしております。 ありがとうございました。
|
|