Re: 新世界への神話Drei 4月22日更新 レイアースクロス中 ( No.25 ) |
- 日時: 2012/05/02 22:19
- 名前: RIDE
- 参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7129
- どうも。
明日からは連休。 思い切り休めます。
まずはレス返しから。
疾球さんへ
>どうも疾球です〜 >前回はこれなくてすみません・・・ >まあ感想に〜
感想書いていくれてありがとうございます。 来れる時でいいですよ。
>雷矢君が今回ついに再登場!! >しかもいきなりバトル!! >楽しみですね〜
雷矢の話は、力を入れますからね。 楽しめるように、がんばりました。
>雷矢と対峙するアルシオーネ >アストラを放っても雷凰翔破に破られるか・・・ >強いですね雷矢・・・
イーグルと話して、吹っ切れましたからね。 その分強いでしょう。 アルシオーネは、レイアースの序盤でやられていたので、あんまり強くはないという印象が私の中にはあります…。
>そして幻摩雷光によって虚ろの人形にされてしまったアルシオーネ。 >そして尋問を始める雷矢一体何を聞き出すのでしょうか・・・
尋問と聞いて、やらしい感じを考えた人はいるでしょうね。 アルシオーネは、外見があれですからね…
>一番大事な所を聞こうとしたら >幻摩雷光を破られてしまった雷矢 >一体アルシオーネに何が・・・
なにか手をつけられていることは確かです。
>急に現れたデボネアと共に去ったアルシオーネ >一体デボネアは何者なんでしょうか・・・
現段階ではまだ語ることはできません。 今はただ、謎の存在と言うことです。
>次回も楽しみにしています!! >ただ次回からかなり感想が書けなくなります・・・ >そもそもひなゆめにinすら出来なくなるかもしれません・・・ >それでも書けるときは書きます >ではまた〜
楽しんでくれてうれしいです。 感想は来れる時でいいですよ。
疾球さん、感想ありがとうございました!
それでは、本編です。 32話ラストです。
8
デボネアが消えたと同時に、空も晴れていく。
だが、クレフの表情は強張ったままであった。冷や汗も額から流れている。
「なんだ・・・・あのセフィーロを、いやこの世界を全て覆うような邪悪な気は・・・・?」
デボネアの気に触れて、クレフは身が凍えた気分となっていた。彼は隣にいるランティスへと向き、相手も気付いて見返してきた。
「・・・・何かわかったか?」 「いえ。せめて居場所だけでもと思ったが、追えなかった・・・・」
二人は他の皆に聞かれないように、小声で会話している。
「・・・・自体は想像以上に大きいものかもしれん」 「邪悪ではあったが、あの力は創造主に迫るほどの大きさだった」
二人は不安を抱き始めた。果たしてあのデボネアからこのセフィーロを守れるのかと。
一方、雷矢は周りなど目もくれずに歩き出そうとする。
「どこへ行くんだ?」
そんな彼に光るが問い掛けた。
「霊神宮だ」
雷矢は淡々と答えていく。
「あのデボネアとか言う奴の言うことによると、霊神宮に何か手を出したかもしれん。それを確かめるため、道を拓く」
言いながら見晴らしのよい地点まで行き、瞑想をはじめた。すると、彼の体から光が発し、それが帯となって天に向かって高く昇りだした。
「あれは・・・・!」
オートザム、チゼータ、ファーレンの面々は驚愕した。雷矢が拓いた道というのが、かつて自分たちがセフィーロ進行のために精神力でもって自国とセフィーロを繋いだ道と似ていたのだ。
だがそのために消費する精神力というのは、とても大きいものであった。今霊神宮への道拓いた雷矢も同様だったようで、ライオーガとの一体化が解けてしまうなど疲労面を隠せなかった。もっとも、それでも膝を地に着けなかったのは、彼の闘志が自身を奮い立たせているからだろう。
ともかくこれで道は拓かれた。霊神宮に行くにはこれを辿っていけばいい。しかし、ひとつだけ問題があった。
「どうやって空を飛ぼうか・・・・」
そう。人間は空を飛べない。これは根本的、そして重大な問題であった。
そんな彼を見て、光、海、風の三人は集ってひそひそと会話をはじめる。
「ねえ、どうする?」 「どうするって?」
海の質問に、光は首を傾げてしまう。
「あの人について行くか、ってことよ」
海は雷矢を胡散臭そうに一瞥してから、再び口を開く。
「こっちには空を飛べる精獣という移動手段があるわ。けど、あの人は信用できるのかしら?」
精獣とはセフィーロに住む大型で神々しい生物である。魔物と違って気性がおとなしいため、人間たちと共に生活しているものも存在する。
当然城にも精獣がいて、その中には人を乗せて飛ぶものもいる。そいつに乗せてもらえばいいのだが・・・・。
「一緒に行動して、本当にいいのかしら?」
突然のことが多すぎて、海は雷矢に不信感しか抱けなかった。
「なんか物騒みたいだし、気に障ることをしたら何されるかわからないわよ」 「大丈夫だよ、海ちゃん」
そんな彼女に対し、光は無垢な笑顔で言った。
「あの人はそんなに悪い人じゃない。だから、信じてもいいと思うよ」
心が純粋な光は、雷矢の心の奥にある思いに何か気付けたのだろう。一見すると人を疑うことを知らない無邪気さとも捉えられるが、そこが光の長所でもあった。
「私も光さんに賛成ですわ」
風も、持ち前の知性的な面から光に賛同する意見を述べる。
「私たちは精霊の使者についても、その方たちの組織についても存じません。ですから、ついていけば色々わかるかと思いますわ」 「確かに・・・・」
海も考え直す。自分たちは精霊については何の情報ももっていない。これからの戦いは精霊というものも関わってくる以上、雷矢についていって少しでも何かを知ることは重要なことに思えた。
「それじゃあ、あの人のもとへ行こう!」
光たちが雷矢のもとへ向かおうとした時だった。
「異世界の少女たちよ・・・・」
この場に重々しい声が響いてきたと同時に、光たちが手にしている剣に埋め込まれた宝石が光りだした。
「かつて伝説の魔法騎士として戦い・・・・」 「このセフィーロに変化をもたらし・・・・」 「今また、戦いを決意した少女たちよ・・・・」
海の前には巨大な青い海龍が。
風の前には四枚の翼を生やした緑の鳳が。
そして、光の前には炎の鬣をまとった一角の獅子が現れた。
この三匹は魔神と呼ばれ、セフィーロでは伝説とされている。魔法騎士が纏うものであり、光たちもセフィーロを救うために力を貸してもらっていた。
その魔神が現れたことに、光たちは疑問を持つ。
「なんで、ここに・・・・」
魔神たちはセフィーロの制度が変わった時、別の次元に旅立ったはず。なのに何故今、姿を現したのだろうか?
それに対し、魔神は答えた。
「創造主がセフィーロの危機を感じ、我らを汝らのもとへと遣わせたのだ」 「モコナが?」
魔神たちは創造主に伴う形で旅立った。その創造主に言われてのことらしい。
それを聞いた三人は納得ができた。
「モコナも、仲間だもの、ね」 「ええ」
そして、魔神たちは三人に問い掛けた。
「このセフィーロに再び危機が訪れようとしている・・・・」 「この事態に、戦うことを決めた汝らに問う」 「再び我らを纏う気はあるか?」
三人の返答は、はじめから決まっていた。
「問われるまでもないわ」 「この戦いは、魔神さんたちの強力が必要だと思っています」 「だから、力を貸して欲しい」
光たちの思いを受け、魔神たちはそれに応じた。
「我らは、セフィーロを守るため力」 「柱無き世界に変わったとしても、我らを望むならば、姿を現す」 「セフィーロを守るために我らを纏うと決めた少女たちよ、我らの名を呼べ」
三人の瞳は、毅然としたものである。
「セレス!」
まず海が剣を天にかざし、海龍の名を呼ぶ。
「ウインダム!」
続いて風が海に倣うように、鳳の名を呼ぶ。
「レイアース!」
そして光が、獅子の名を呼んだ。
すると、三人の防具が形を変えた。それまでの軽装から一転、各々の剣と同じ色を主体とした、胴体を覆う豪華な仕様へと。
そして魔神たちも、数十メートルはある巨大なロボットのような姿へと変わっていた。その外観は、先程ライオーガと一体化していた雷矢に似ていた。いや、魔神が創造主に創られたことを考えると、先に創られたのはこっちだろう。
光たちは魔神の胸飾りである宝石の中へと吸い込まれる。魔神を纏ったのだ。
「・・・・また、一緒に戦うんだね・・・・」
纏った実感を持った光は、感慨深げにレイアースに語りかけた。
「一緒に頑張ろう!」
返答は無い。しかし、心得たといったレイアースの心を感じた光は、表情を綻ばせた。
そしてレイアースは、雷矢を見下ろした。
雷矢は何をする気なのかと身構えるが、レイアースは身を屈めて、そんな彼の前に手を差し出した。
[この手に乗って]
光が雷矢に話し掛けた。
[私たちも霊神宮っていう所に行ってみたいんだ。だから、あなたが繋げた道から連れて行ってくれないか?] [私たちの魔神は空を飛べるしね] [あなたは道を維持するために集中なさってくれればいいですね]
海、風も明るい調子で促してくる。
そんな彼女たちに、雷矢は呆気に取られていた。
「何故、俺にそこまでする?」
自分たちはまだ会って間もないはずだ。それなのに、ここまでしてくれる理由は一体何故なのか?
それについて、光たちはこう返した。
「私たち、あなたのことも知りたいんだ」 「何も知らないまま相手を決め付けるのは、間違っていると思うから」 「それに、仲間になれるかもしれませんしね」
明るい調子ではあるが、その裏には切実な思いがあった。
かつて彼女たちは、先代の柱であったエメロード姫の願い、セフィーロを救って欲しいと言われたまま神官であったザガートと戦い、そして降した。
だが戦いの後に待ち受けていたのは、残酷な真実だった。
セフィーロの柱は、セフィーロ以外を想うことは許されなかった。しかしエメロードはザガートを愛してしまった。そのために彼女は光たちに自分を殺させるために召喚したのだ。ザガートはただ、その願いを阻止しようとしただけ。彼もまた、姫のことを愛していたからだ。
慟哭をあげながら、光たちはエメロードの願いを叶えた。しかし、三人の心は姫を殺したという罪で深く傷ついてしまうのだった。
だから彼女たちは相手を知ろうとする。何も知らないまま後悔するのは二度としたくないからだ。
そんな彼女たちによってセフィーロの柱制度が撤廃され、現在のような美しい世界になったのは説明するまでもないだろう。
一方で、雷矢は先程以上に拍子抜けしていた。
自分のことを知りたい。仲間になれるかもしれない。
そのようなことを言われたのはこれで二度目である。しかも、彼女たちからは悪意を感じない。
何より、光たちの強い心に雷矢は惹きつけられそうであった。
「・・・・わかった」
雷矢は、レイアースの手の上に乗った。
「仲間になる気はないが、おまえたちと情報のやり取りをしながら運ばれるのも悪くないな」
霊神宮に着いてとしても、自分の前科を考えれば戦いは必須だ。ならば、道を維持するため以外の力は温存しておくべきだ。
それに、光たちを敵に回したくない。その力が脅威ということもあるが、なによりも彼女たちと戦いたくないという気持ちの方が強かった。
戦いたくないというのは、あの人物たちに対しても言えた。自分の憎しみに、間違っていると言い、まっすぐに立ち向かっていった弟とその仲間たちを。
彼らとも、戦うことになるのだろうか・・・・?
しかしそこで考えるのをやめる。霊神宮の状況がわからないのだ。ならば、彼らの立ち位置も不明である。悩んでも仕方ない。
とにかく、霊神宮に着かなければならない。それで全てがわかる。
「行こう。海ちゃん、風ちゃん」
光の呼びかけに、海と風は頷く。
そしてセレス、ウインダムと共に雷矢を手に乗せたレイアースは雷矢が繋げた光の道の中へと入り、上空へと飛び立った。
こうして、彼らもまた霊神宮へと向かうのであった。
これで雷矢編は終了です。 次回からはまたハヤテたちの話となります。
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