Re: 新世界への神話Drei 4月6日更新 レイアースクロス中 ( No.23 ) |
- 日時: 2012/04/22 17:29
- 名前: RIDE
- 参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7129
- またまた更新に間が空いてしまった…。
まあ、誰も待ってはいないでしょうけど。
それでは、更新です。
7 突如現れ、魔物たちを瞬殺した男たちに目を大きく見開く光たち。
「な、なんなの一体・・・・?」
海なんかは、口をあんぐりと開けている。
「わかんないけど・・・・」
光は考え込むような仕草を見せる。
「綾崎雷矢ってあの人言ったよね。名前の響きから、私たちと同じ世界からきたんじゃないかな?」
海、風もそれに気付いた。男や自分たちのような名前など、セフィーロをはじめとしてこの世界では聞いたことがない。
「それに、ライオーガと仰る方は精霊だと言っていましたわ」
風は、タータ、タトラを見やる。
「あれも、チゼータの精霊なのですか?」
タータにはラクーン、タトラにはラジーンという守護精霊ジンが憑いている。チゼータの代々王位継承者を守るもので、同じ精霊ということでなにか関連があるのか問い掛けたのだ。もっとも、あちらは細身であるのに対し、この姉妹のジンは外見が筋肉質のランプの精と酷似したものなので見ただけでは同様のものとは思えないのだが。
「いや・・・・私にもわからん」
尋ねられたタータも、本当に存じないようだ。
「ただ・・・・」
と、そこでいつもの穏やかさは潜め、真剣な表情のタトラが語った。
「私たちのジンはもちろん、チゼータのものとはまったく別の種類ともいえる精霊が存在して、それの主となる使者が人知れず戦っていたという言い伝えを聞いたことがあるわ」 「そういえば、私もエメロード姫から似たようなことを聞かされたことがあるな」
もう随分昔のことだがな、と745歳ということを証明するように老人臭い調子で呟くクレフ。
では、綾崎雷矢はその精霊の使者だというのだろうか?
光たちは未だにアルシオーネと対峙している男に目を外せなかった。
アルシオーネは雷矢に気圧されている。
突然現れ、魔物たちを瞬時に全て片付けたのだ。それだけでも脅威ではあるが、それ以上に、男から発している威圧感に脅えているのだ。
それに自覚した彼女は、頭を振って自らを奮い立たせる。
「まだやるというわけか」
杖を向けられても雷矢はなおも余裕であった。
「いいだろう、相手になってやる」
すると、雷矢はライオーガと一体化し、姿を変えた。それを見た光、海、風は驚く。
「あの姿・・・・魔神に似ている」
一方、アルシオーネは圧倒されてばかり入られまいと魔法を唱えた。
「氷流切刃(アストラ)!」
切れ味の鋭い氷が水と共に放出されていく。その身に受ければ全身がズタズタに切りつかれるだろう。
だが、雷矢の必殺技の方が威力が強かった。
「雷凰翔破!」
拳圧と共に放たれた電撃が氷流切刃を突き破って、アルシオーネに直撃した。
それは彼女が乗っている魔物も同様で、大ダメージを受けたことで墜落してしまう。そのショックでアルシオーネも悲鳴をあげて転げ落ちてしまう。
そんな彼女を見逃す雷矢ではなかった。右手に電気を帯せながら、アルシオーネの下に近づいた。
そして、右手を彼女の前に突き出して、帯電させていた電気をスパークさせた。それによって生じた光をアルシオーネに見せた。
光を目にしたアルシオーネは、瞳が虚ろになってしまった。
「今放ったのは、幻摩雷光だ」
幻摩雷光。相手の心を攻撃対象とした雷矢の必殺技のひとつであった。
「幻覚を見せる技だが、それを応用しておまえに催眠をかけた」
つまり今のアルシオーネは、雷矢の命令に必ず従うしかないのだ。
「聞きたいことがある」
横目で光たちの事を見てから、雷矢は問い掛けた。
「死んだと思われていたおまえが、どこでどうやって生きていた」
それは光たちも聞きたかったことである。彼女たちも耳を傾ける。
アルシオーネはゆっくりと話し掛けた。
「・・・・ザガート様に捨てられ・・・・あそこに辿り着いた私をあの方が救ってくださった。そして、私に力を与えてくれた・・・・」 「あそこ?あの方?」
抽象的な言葉に疑問が深まり、雷矢は更に尋ねた。
「あそことはどこだ?あの方とは誰のことを指す?」
それに対してアルシオーネが口を開こうとしたときだった。
突然アルシオーネの体から、電気が外へと放出されたのだ。
このことが表す意味に、雷矢は驚愕した。
「幻摩雷光を弾いた!?」
信じられなかった。相まみえたのは短時間であったが、アルシオーネにこれほど強い力が備わっているとは感じられなかった。実際、彼女は雷矢に手も足も出なかったのだ。
だというのに、何故・・・・?
そのアルシオーネの周囲に、黒い霧のような闇が漂い始めた。その闇が、アルシオーネの体を宙へと持ち上げる。
そして、アルシオーネの背後に、巨大な女性のオーラのようなものが浮かんできた。
雷矢は一瞬で悟った。この女がアルシオーネにかけていた幻摩雷光を解いたのだということを。
同時に、その夜のような暗さに全ての負の心が激しく煮詰まったものを感じ、雷矢は思わず慄いてしまう。
相手を前にして自分が怯むなど、ダイ・タカスギを除けば初めてであった。
「愚かなる者たちよ・・・・」
オーラ状の女性は、怪しく笑い出す。その声に光は聞き覚えがあった。
「この声・・・・夢で聞いた・・・・」 [そう、おまえは夢を通して私に会った。]
テレパシーのようなもので自分にだけ返答してきたことに、光は驚く。
この女性は、人の思いを見透かすことができるのだろうか。
そんな中、アルシオーネがゆっくりと振り返り、女性を目にする。
「デボネア様・・・・」
デボネアと呼ばれた女性は、尚も怪しく笑っている。
「破滅の運命を知らずに平和を謳歌するものたちよ。やがておまえたちは自らの心によって滅び行くだろう・・・・」
次にデボネアは、雷矢へと顔を向ける。
「おまえたち精霊の使者たちが何をしようとしても無駄だ。霊神宮は現在、同士討ちをはじめようとしている」 「なんだと?」
思いがけないことを言われ、雷矢は疑惑を増してデボネアを見やる。
「滅び行く時を、待っているがいい・・・・」
そのままアルシオーネと一緒にデボネアは消えていった。
今回はここまでです。 そして今回は、セフィーロ側の人物についてです。
導師(グル)クレフ セフィーロ最高の魔導士。 背が小さく、下手するとナギよりも幼く見えるが、実際は745歳の若作りのじいさん。 好きなものも老人そのものである。 セフィーロの人間は、見た目と一緒とは限らないのである。
創師(ファル)プレセア セフィーロの武器職人。 普段は有能な秘書といった印象だが、怒らせたりすると高笑いしながらその相手を折檻して楽しもうとする。
魔法剣士(カイル)ランティス セフィーロ唯一の魔法剣士。 その実力は、かつて親衛隊長を務めたほどである。 セフィーロの外の国にも旅をしていて、その過程でイーグルと友達になった。 趣味は昼寝。
フェリオ セフィーロの王子。 活発な性格だが、時折キザな面も見せる。 風とは、大切なイアリングを渡すほどの仲。 剣の腕前も確かで、身の丈ほどある長剣を巧みに扱う。
召喚士(パル)アスコット セフィーロの召喚士。 魔獣を召喚できる技を持ち、魔法もクレフに習っている。 帽子をかぶっているうえ前髪も長いため、目はなかなか見れない。 海に好意を抱いているが、引っ込み思案な性格のため中々告白できない。長身なのだが、海の前だと弟のようにも見えてしまう。
剣闘士(ダル)ラファーガ セフィーロの剣闘士。 魔法は使えないが、剣のみで相手を倒す。現在の親衛隊長。 セフィーロの平和を強く願っているため、厳格な性格だが人にやさしいところもある。
幻惑師(ラル)カルディナ セフィーロの幻惑師。 元はチゼータ出身のため、大阪弁を使う。 踊り子として旅をしていたが、セフィーロでラファーガと出会い、彼に惚れ幻惑師となる。 踊りによって相手を操ることができる。 アスコットにはお姉さん的存在として接する。
魔導士(イル)アルシオーネ セフィーロの魔導士(アニメでは魔操士)。 クレフの弟子であったのだが、セフィーロの神官が叛意を起こした際彼についていった。 全ては彼を愛するため。だったのだが、光たちに敗北し、最後はその神官から役立たずとされ、彼自らの手で消滅された。 尚アニメ版では生きている設定で。このお話でもそれに準拠している。
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