Re: 新世界への神話Drei 3月8日更新 レイアースクロス中 ( No.20 ) |
- 日時: 2012/03/16 17:35
- 名前: RIDE
- 参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7129
- こんにちは。
今日も更新しますよ。
まずはレス返しから
疾球さんへ
>初めましてです。疾球と申します。 >最初から読んでおもしろかったので感想を〜
こちらこそはじめまして。 読んで頂いてありがとうございます!
>ノヴァ怖いっすね・・・ >ヒカルとその好きな人を殺すとは怖い、怖すぎる・・・。
ノヴァは今で言うヤンデレではないかと思っています 実際にアニメを見ると怖かったですし・・・。
>技名がかっこいい・・・ >何でこんなに差が出来るんですかね・・・(遠い目)
かっこいい、ですかね・・・? オリジナルのは英語とか色々調べて当てているだけですよ。後は響きがよいのを。 技名にこだわりすぎているような・・・。
>そして魔物の群れが飛来・・・ >みんなどうなってしまうのか・・・ >次回も楽しみにしています。
今回はちょっと場面を変えての話となります。 楽しんでいただけると嬉しいです。
疾球さん、感想ありがとうございました!
それでは、本編です。
5 城内が魔物の出現で騒がれていた頃。
アスコットによって城へと運ばれ、そのまま一週間もの間寝ていた男がようやく目を開けた。
「ここは・・・・?」
ゆっくりと身を起こし、自分の周囲を確認する。
光が差し込んでくる明るい部屋に、自分は柔らかいベッドの上にいた。もう一度見渡して、自分の知らない部屋だと再認識した。
男は目を覚ます前の記憶を探ってみた。
そう。自分は弟たちと戦って、あの女の慈愛に感動して、岩崩から女を助け、巻き込まれて・・・・。
そこまで思い出したところで、男にある考えがよぎった。
まさか、ここは黄泉か・・・・?
しかし、すぐにそれを一蹴した。自分が逝くとしたら地獄しかありえない。こんな心地よい場所が死後の世界だとしたら天国以外ないだろう。
「生き延びたわけか・・・・」
少し体を動かしてみたが、特に傷むところは無い。
男はベッドから離れ、部屋を出て行った。勝手に退室して悪いかもと思ったが、中に誰もいないことと、なにかに誘われている感じがして自然と足が動いていたのだ。
男はしばらく廊下を歩いていた。中世の西洋風みたいな造りだが、自分の世界では見たことはない。男が自分が精霊界にいることを認識した。
「なぜ、俺は生きている・・・・?」
自分がここにいる理由よりも、そちらの方が疑問であった。
あの時、自分は死ぬはずだったのに・・・・。
そんな感情が頭から離れない中、男はある部屋に目をとめた。するとまた、引き込まれるように中へと入っていった。
この部屋も日光によって照らされていて、尚且つ備え付けられた寝具に男が眠っていた。
男はそちらに近づいて顔を覗き込んだ銀髪に端正な顔たち。男性ではあるが美しいと感じさせる。
しかし、この寝顔はまるで死んだように安らかである。そんなことを思った時である。
[おや、目覚めたのですか?]
突然、そんな声が聞こえてきた。
男は一瞬驚くが、部屋には自分とこの寝ている男しかいないため、考えられることは一つしかなかった。
「この男、眠っていても会話ができるのか」 [ええ、そのとおりです]
肯定の返事があったことで、それは確信に変わった。
そもそも彼の声は耳で聞くというよりも、頭の中に響いてくるものであった。これから察するに男は心で話をしているのだろう。
「テレパシーみたいなことをするんだな・・・・」 [普通ではできないことが可能になるんですよ。信じる心が力になるこのセフィーロでは] 「セフィーロ?」
その名が知らないわけではない。精霊界には人の心がそのまま反映される国が存在することを耳にしたことはある。
「何故俺はセフィーロに?」
銀髪の男は、それについても教えてくれた。
[この国の召喚士が、崩れ落ちた峡谷からあなたを助け出したのです]
男はそれで納得ができた。戦いで負った傷も、ここで治してくれたのだろう。
だがそのことを、感謝できる気分ではなかった。それ程男の気分は沈んでいたのだ。
[どうかしたのですか?]
そんな男に対して、銀髪の男が話し掛けてきた。
[何か深く悩んでいるようですが]
おまえには関係ないと言いたかったが、この安らかな顔を見て、自分がありのままの自然体で接していたことに気付いた。
強がりなど意味がないとし、男は自分の心情を全て吐露しだした。
「俺はあそこで死ぬはずだった。親をこの手に掛け、守らなければならない弟まで殺そうとしていた・・・・」
自分がしてきたことを思い返し、恐怖と悲しみに体を震わせる。
「死ねばこの罪を清算できたものを・・・・何故俺は・・・・」
罪悪感と疑問を強く噛み締め、打ち沈む男。
頭垂れる彼からは、意気というものを感じられなかった。
そんな男痛みを感じた銀髪の男は、刺激させないように間を置いてから話し始めた。
[僕は今永遠に眠ったまま目が覚めないと言う病気に冒されています]
それは死ぬこととは違う。常に眠ったまま、心身活動を休止して無意識の状態であり続けるということ。心を使いすぎてしまったため、それがなくなり自律行動がとれなくなるという、植物人間のようになってしまうことだ。
[今ではこの国の人たちのおかげで快方に向かい、こうして会話もできますが、一年前までは治る見込みはありませんでした]
ここでのことが奇跡のように思えるが、このような重症の身でセフィーロに着くまで何とか精神エネルギーを保てたのもそれに近い。
今にして思えば、自分の“ゆずれない願い”が自分を生かしてくれたのだろう。
この世界は、信じる心が力になるのだから。
[僕はこの身を犠牲にして、セフィーロの柱になろうとしました。友人を救いたいというだけの、個人のわがままで・・・・]
それ自体は、決して責められる行為ではないだろう。
[ですが、ある女の子に言われたのです]
自分の身を犠牲にしてそれで友人が助かっても、残されたその友人たちは悲しむだろうと。
[そして僕に生きるべきだと諭したのです。例え長くは生きられなくても、大切な人たちや、自分自身のために、と・・・・]
それは、聞いていた男にも大きな衝撃を与えた。
[あなたも、あなたの大切な人たちのため、そしてあなた自身のために生きようとしてみてはどうですか?]
そうだ。死んで償うなんて所詮はただの逃げでしかない。
なにより、自分のために涙を流した女、自分を止めようとしてくれた弟たちがいた。彼らのことを思うと、死にたいだなんて思えなくなってしまう。
このまま彼らからも、逃げてしまったらただの馬鹿だ。
そんな自分には、なりたくない!
俯かせていた顔を毅然と上げる雷矢。
その目には、覇気が込められていた。
「・・・・こんなこと、あまり口にしたことはないのだが・・・・」
どこか照れくさそうにしながらも、男は銀髪の男に向かって告げる。
「・・・・ありがとう」 [・・・・どういたしまして]
短いやり取りを交わし、男は部屋から去ろうとする。
が、出口の一歩手前で止まり、振り返った。
「そういえば、名前を聞いていなかったな」
銀髪の男は、これにも答えた。
[僕はオートザムのイーグル・ビジョン] 「イーグルか」
男は、ここで初めて笑顔を見せた。
「俺の名は・・・・」
今回はここまで。 男が誰だか、わかりますよね。
そして今回はイーグルについての説明を。
イーグル・ビジョン オートザムの戦士(ファイター)で、優秀な軍最高司令官。 父は大統領。 甘いものと昼寝が大好き。 いつもニコニコしているため穏やかそうに見えるが、かなりの切れ者。 心を使い果たし、永遠に眠ったままになるという病気を抱えているが、戦いが終わった後、セフィーロでその病気も少しずつ回復に向かっている。 というのが原作の話で、アニメだとまた設定が違ってくる人物。
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