Re: 新世界への神話Drei 1月25日更新 ( No.14 )
日時: 2012/02/12 18:28
名前: RIDE
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7129

また更新に時間がかかってしまいましたね。
ここのところリアルの方が忙しくて・・・・
まあ、暇よりは充実していていいんですが。

それではまずはレス返しから

絶影さんへ

>どうも絶影です。
>それでは早速感想の方に!

いつも感想ありがとうございます。
絶影さんもリアルの方がんばってください。

>前回、謎の男が歩たちを連れて行かせた理由が分かりましたね。
>心の力を注ぎ込むのを協力させるためですか。
>てかヒナギクが高い所で怯えていた時に落ちかけていましたが…
>ヒナギクと歩の二人の集中が解けたぐらいで下降するなら
>歩たちがいなかったらどういう事態になっていたのか…。

いなかったら、霊神宮へは行けなかったですね(汗)
ヒナギクの高所恐怖症は、こういうところで活かさないと。
歩たちは、他にも何か見せ場があればと思っていますが、今のところは検討中ですね。

>まぁそれはともかく、高い所に怯えたヒナギクでしたが、信頼できる仲間と共に
>その恐怖を乗り越えることが出来たみたいで、良かったです。

ここの辺りは、友情と言うことを強調したかったところです。
あと、自分に言い聞かせているヒナギクを想像したら、可愛く思えてしまいました。
何を想像しているんだろう。

>霊神宮に向かうハヤテ達の前に鳥人間もとい傀儡兵がやってきました。
>戦おうとしたハヤテを押し止め、一体化する拓実。
>彼、凄いですね!
>乱れ撃ちなのに矢を全て違う敵に当てるとは!(なんか違うところで感心している気が…)

確かに、考えるとすごいですね。
ばらまいた矢がそれぞれ敵に当たるなんて、普通の確率では低いですから。
拓実の活躍シーンは、彼は只者じゃないということの証です。
拓実はまだ、活躍したシーンが少ないですからね。

>敵を一掃し、霊神宮も目前。
>どんな敵が現れるのでしょうか?

今まではとははるかに強い、とだけ言っておきます。
バトルもそれなり凝っていきたい、と思っています。

>暫く感想を書きに来れないかもしれませんが、
>読みには来ると思うので、更新待ってます!!

ありがとうございます!
こちらも更新が停滞気味になるかもしれませんが、頑張ります!

絶影さん、感想ありがとうございました!


それでは、本編です。
今回から、あの作品が本格的にクロスします!



 第32話 甦る闘志


 1
 ハヤテやナギたちが霊神宮へと向かった同時刻。

 東京タワーでは、彼らと同じように異世界へと向かう者たちがいた。

 展望室には一人の少女がいた。淡色の長い髪をヘアバンドでまとめた少女は手にバスケットがあり、もう一人、金髪の巻き毛で眼鏡をかけた子は穏やかな微笑みを浮かべていた。

 普段会うことも少ない二人は何気ない会話でも花を咲かせていた。そこへ、一人の少女が駆け足で寄って来た。

「海ちゃん、風ちゃん・・・・」

 赤髪をおさげにした小柄の少女は、身を屈めて息を切らす。

「さすが光、時間ピッタリね」

 龍咲海は、バスケットを持っていない、空いている手の人差し指を立て、ニッコリと笑う。

「よ、よかった。間に合って・・・・」
「さ、参りましょう」

 鳳凰寺風が、最後に来た獅堂光と海に、笑顔のまま声を掛けた。

 三人は揃って手を取り合い、揃って目を閉じる。

 空間が裂け、三人はそれによって拓かれた異世界への道へと吸い込まれていく。

 道が閉じ、展望室には誰もいなくなってしまった。



 眩しい日の光が地上を照らし、そよ風に乗って鳥の群が空を飛ぶ。

 気候は常春で、花々は満開。豊かな自然が溢れていた。

 ここは精霊界に存在する国、セフィーロ。意志によって全てが決まる国である。

 この国の住人たちの心が明るければ安定し、逆に暗くなれば凶暴な異形の生物、魔物が出
現し、国を荒らしていく。また、武器以外の魔物への対抗術をはじめとして日常に至るま
で、魔法というものを使うことができる。もっとも、全ての人が使えるというわけでなく、
その強弱も心によって左右される。

 心が全てを決める世界。それは精霊の使者と似ていた。

 そのセフィーロにある、巨大な城。三本の水晶が突き刺さり、花が開いたような形となっ
ている。宙に浮いており、水が下へと流れ落ちて清らかな泉を作っていた。

 そして、城内では二人の男が話し合っていた。

「おまえが運んできたあの男、素性はわかったか?」

 高貴な衣装とは裏腹に、花や左頬に傷が残っているように活発な少年の面影を残した者が問い掛けた。

 彼の名はフェリオ。この国の王子である。

 王子といっても、セフィーロは現在王政ではない。かつてセフィーロは柱という存在の祈りによって安定を保っていた国であって、彼はその柱であった弟である。もっともフェリオ自身は剣の修行などに現を抜かし、王子としての自覚はなかった。

 一年前、ある事情によって姫と彼を補佐する神官が亡くなったことをきっかけに、柱という仕組みはなくなり、住人たちが築く国となった。とはいえ無秩序というわけにもいかず、フェリオは重鎮たちと共にセフィーロを治めているのだ。

「ううん。もう一週間も経つけど、まだ起きないよ」

 答えたのは、彼よりも背が高く、頭よりも大きな帽子をかぶった、前髪で目が隠れている少年だった。

 彼はアスコット。この国の召喚士(パル)であった。

 召喚士は、魔獣を呼び出せる能力を持った者のことを指す。魔獣は魔物に似た外見であるため、それを操るアスコット共々人々から恐怖の目で見られていた。だが、ある少女と出会ったことで、アスコットは胸を張っていき、魔獣も皆と親しくなっていった。

 ちなみに、それまでは少年の体格ではあったのだが、改心してからは見た目は大人となっていた。これも心が力になるセフィーロの所以で、他にも数百年生きているが外見は若いというものもこの国では珍しくはない。

 二人が話し合っているのは、ある男についてだった。

 先日、セフィーロの領地外にあるとある峡谷で、おそらくは自然のものだと思いたい大規模な岩崩が起こり、アスコットはそこを調査しに行ったのだ。戻ってきた彼は、現地で倒れていたという大怪我を追った男を運んできたのだ。男は目を覚ますことなく、フェリオたちは彼が起きて話ができるのを待っているのだ。

 忙しいのはそれだけではない。二人だけでなく、城内にいる人間が別の要件で手が離せない状態だ。

 そんな時、フェリオとアスコットがいる広間の空間が裂け出す。

 それがなんなのかわかっている二人は、表情が明るくなった。

「こんにちは!」
「よっ!」

 異世界への道を通ってこの場に現れた光、海、風の三人に挨拶する。

「うふふ、じゃーん!」

 床に足を着けた三人。海は笑顔を浮かべながら、胸を張ってフェリオとアスコットにバスケットを突き出して見せた。

「ケーキを焼いてきましたー!」
「この前話した地球のお菓子だね」

 セフィーロにはケーキをはじめ、地球の文化はない。隣国にはそれを思わせるものも存在するが、この魔法の国を含む異世界の交流は今のところ光を通してのみであった。

「ちょうどいい。今日はオートザム、チゼータ、ファーレンの人たちも揃っている」

 オートザム、チゼータ、ファーレン。いずれもセフィーロの友好国である。

「グッドタイミングね!お茶会にしましょ!」

 海は親指を立てて喜びを表す。

「アスコット、手伝ってくれる?」

 アスコットは、黙って海に頷いた。

「では、私も」

 風も協力を申し出るが、海はそれを断った。

「二人で大丈夫よ。ね?」

 そう言ってアスコットに微笑む海。アスコットはその笑顔に照れて紅潮する。

「私、先にイーグルのところに行ってくる!」

 光は足早に一人その場を離れていく。

「・・・・平和ですわね」

 光や海の元気な様子を見て、風は柔らかな笑顔を浮かべる。

 フェリオも同意する。

「ああ。おまえたちのおかげだ」

 今のセフィーロがあるのは風たち三人のおかげなのだ。それを、彼女たちと共に戦ったフェリオやアスコットたちはよく実感していた。

 そのフェリオに向けて、風は言った。

「幸せは、誰か一人で作れるものではありませんから」

 光と海と、三人一緒だったから自分は頑張れた。フェリオたちもいたから、戦えたのだ。自分たちだけの成果ではない。

 姫であったフェリオの姉も、幸せを求めて神官に恋をした。悲しい運命がその先にあっても。

 手を取り合い、昨日とは違う明日を目指す国。今のセフィーロにこそ幸せを創れると信じており、風自身も幸せを感じていた。

「・・・・そうだな」

 それを聞いたフェリオは、左耳に着けたイアリングを弾いた後、風の左手を取って笑みを見せる。

「俺の幸せは、おまえが運んでくれたしな」

 風の左手の薬指には、フェリオのイアリングと同じ物がはめられていた。フェリオが以前風に贈ったものである。

 フェリオの笑顔に、風はときめくのであった。

 一方で、海と一緒にいるアスコットは勇気を出して口を開いた。

「あ、あ、あ、あの!」

 恥じらいでどもりながらも、海に質問する。

「ウミはその・・・・お付き合いしている人とか・・・・」
「いないわよ」
「じゃ!そ、そのお付き合いしたい人はいる?」

 首を横に振って否定を表した海。それを見たアスコットは、大きくガッツポーズをとった。

「ど、ど、ど、どうしたの?」

 挙動不審に見える態度と、質問の意図がわからず海は首を傾げてしまう。

 アスコットは悟られないというように必死に首を横に振った。

「さ、お茶淹れよう!ね!」

 奥手なアスコットと鈍感な海。例え仲が進展しなくても、仲良しな二人であることに変わりはないだろう。



今回はここまでです。
そして、タイトルからわかったとおり、「魔法騎士レイアース」とクロスさせています。
レイアースは、十数年前CLAMP先生がなかよしで連載されていた少女漫画で、アニメ化にもなった大人気な作品です。
私も結構好きです。
原作とアニメではストーリーが微妙に違いますが、私は原作よりなので、アニメの部分も混ざってはありますが設定は原作ベースで行きたいです。
しばらくは原作と同じ話になると思いますが、付き合ってくれると嬉しいです。
それでは。