Re: 続・新世界への神話(10月26日更新。ヒナギク編) ( No.91 ) |
- 日時: 2011/11/02 19:52
- 名前: RIDE
- 参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=3929
- どうも。
十一月ともなると寒いですよね。 読書の秋。マンガは読書の内には入らないといわれていますが、ここを利用する皆さんはハヤテ以外でどんなマンガを読んでいるのだろうと思いました。
さて、まずはレス返しから
絶影さんへ
>どうも絶影です >私は映画も小説も見ましたよ(今更ながら…) >どちらも面白かったです♪ >三十巻のCDは…時間がないため聞いていませんが(汗)
映画もCDも小説も、どれも面白いですよね! アニメ第三期の話は、どうなっているんでしょうね・・・・?
>三十一巻の特典版はどうしようかなぁ…(遠い目) >確かに映画を買うには安いんですけどね…
DVD付きのコミックは、あれほどの値段がつくのかと疑問に思っています。 ですが、映画を買うよりは安いので、どうにか手に入れたいとは思っています。
>それでは感想に >ヒナギクの前に現れた美希はヒナギクにその想いを告げた。 >やはり本音を伝えられるのも友達なのではないかと。
人付き合いをしていく上で、素直になるのは難しいです。 ですが、打ち明けられれば中は深くなっていきます。良い方向へ行くかは別としても。
>花南、彼女は深いものを持っていますね。 >憎まれ口を叩きながらもしっかり相手のことを見ているということでしょうか。
彼女は口ではあれですが、仲間たちのことはちゃんと見ています。 だからこそ、佳幸たちが周りにいるのですから。
>敵の少女もしっかり話を待っている辺り、優しくね!?と思ったりしました(笑)
事の展開が面白そうだったから、彼女も黙って成り行きを見ていました。 まあ、普通は待っていませんけどね(笑)
>悩みの消えたヒナギクは以前は躊躇ったハヤテの名を口にする。 >そしてハヤテ。 >まさに奇跡の地獄耳(?) >相当遠くのはずなのにヒナギクの呼ぶ声が聞こえるとは…
このシーンは、アニメ第一期の48話を元にしました。 子猫を助けようとして樹に登りましたが、落ちてしまいハヤテに助けられる。 結構離れていたはずなのに声が聞こえ、間に合えた。 だから、距離は関係ないと思っています。
>西沢さんを放置し、ハヤテはヒナギクの元に駆けつける。 >…?って西沢さんもついてきているじゃないですか! >…西沢さんが足手まといにならないことを祈ります…(酷っ!)
西沢さんが戦うなんて事はしません。 まあ、ちょい役になってしまった感はありますが・・・・
>さぁハヤテは間に合うのか。 >ヒナギクは一体化できるようになり、戦力となりえるのか? >次回も気になりますね
今回の話でそれがわかります。 楽しんでみて下さいね。
>それでは更新待っています
絶影さん、感想ありがとうございました!
それでは、本編です!
6 「言いたいことはそれだけ?」
少女は光の剣の切っ先をヒナギクに向けた。
「ないなら、ここでとどめを刺すよ」
そして、剣を引いて構え、ヒナギクを貫こうとする。
ここまでなのか、とヒナギクは思った。
先程までと違い、恐怖はなかった。ただ、後悔はあった。
自分にとって、何か大切なものが得たような気がしたというのに。
だが、少女はヒナギクの命を取れなかった。
「ヒナギクさんに手出しはさせません」
いつの間にか、横からハヤテが割り入っていて光の剣を掴んで止めていた。
「ハヤテ君・・・・」
ハヤテは刃を直に掴んでいた。その手から血が流れるのを、ヒナギクは呆然と見ていた。当のハヤテは痛いとも口にせず、ただ少女を睨みつける。その気迫に少女は怯み、光の剣を消し彼らと距離を取る。
「遊びの・・・・邪魔をするな!」
獲物を刈り取るのを邪魔された少女は、不愉快な表情を剥き出しにする。
少女とハヤテは、互いに出方を窺うように対峙し合う。
ハヤテは、少女が発している殺気に本能から危険を感じており、手の怪我に構っていられなかった。一方、少女もハヤテの怒りを前に迂闊に動くことができず、それが悔しくて歯軋りするしかできなかった。
「ハヤテ君、ヒナさん!」
そんな中、ハヤテに遅れて歩がこの場に参入してきた。
「歩!」
彼女がやってきたことに対して、ヒナギクは声をあげた。
「何で来たの!?」 「いやあ。ハヤテ君を放っておけなくて、ついてきちゃいました」 「ここは今危ないのよ!状況見てわからないの!」
苦笑しながら頭を掻いていた歩だが、ヒナギクの詰問するような形での注意に、強い意思を込めて返した。
「確かにヒナさんから見れば私はひ弱かもしれない。けど、好きな人たちのためなら、役立たずでも力になるため頑張りたいんです!」
そんな歩を見て、ヒナギクは静かに問い掛けた。
「あなたは・・・・怖くないの?」 「怖くないといえば嘘になりますけど、大好きな人たちを前に、それぐらいのことはしたいという気持ちの方が強いんです。だから、じっとなんかしていられないんです!」
力強く答える歩が、ヒナギクには眩しく見えた。と同時に、自分の中である気持ちが湧いてきた。
美希や歩たちの想いを前にして、尻込みしそうになっていたが、自分の意志が確固たるものに定まったのだ。
ヒナギクはゆっくりと立ち上がり、花南を見据えた。
「私の戦う目的を、言ってなかったわよね」
深呼吸してから、徐に口を開き始めた。
「私が精霊の使者になるっていう時、私は未知の世界の戦いへ踏み込むことに恐怖を感じたわ。でも、その時はナギたちがさらわれていたから、生徒会長として助けたかった。けどそれ以上に、ハヤテ君の力になりたいって思った。そこに生徒会長の義務とかは関係なかった。だって・・・・」
そこまで言って、ヒナギクは躊躇うように口を噤む。ハヤテを見て、美希や歩たちを見た。
「ごめんね、美希、歩・・・・」
静かに呟いた後、決意を込めて自分の中に秘めた想いを打ち明かす。
「私はハヤテ君のことが好きだから!ハヤテ君に恋しているから!好きな人の力になりたいと思うのは当たり前でしょ!」
ヒナギクの告白にハヤテは大きく目を見開いた。自分のことを嫌っていると思っていた相手から好意を寄せられているという意外なことにとても驚いたのだ。彼は思わずヒナギクを注視してしまう。
「おまえはその男のことが好きなんだな?」
少女は目を猫のように細め、ハヤテとヒナギクを交互に見る。
「なら、ずっと一緒にいられるようにしてあげる」
声音は柔らかだったが、殺気がひしひしと伝わってくる。
「二人一緒に、殺してあげる」 「え?」
ヒナギクたちはその意味がわからなかった。殺されることで、何で一緒にいられるのだろうか。
「好きという気持ちを持っていても、生きている内は一緒にはいられない。一緒に死ぬことで一緒になれるから、二人一緒に殺すの。だって、好きになっても苦しいだけだもん」
それを聞いて、少女の考えに賛同してしまいそうになる。というのも、ひなぎくはまさにそれが当てはまっていた。
ハヤテに対する恋心を自覚する前、ヒナギクはこの気持ちが鬱陶しく、また自覚した後も晴れることなく、逆にどんどん煩わしくなっていった。この気持ちを忘れることができたら、と考えたこともある。
だが・・・・。
「違うわ!」
ヒナギクは鋭い目で少女を見る。
「好きな人と一緒に死ぬことで、好きという気持ちが報われるなんて事はない!そんなの間違っている!」
ハヤテと一緒に時計塔のテラスで夜景を見た誕生日。ホワイトデーの日、彼に他意はbなかったが、切なくなっている時に渡してくれたクッキー。美希たちのたくらみによるものではあったものの、二人で映画を見に行ったりデートっぽいことをした。アテネ市内のレストランで一緒に食事もした。
自分が彼のことを嫌っていると思われたり、彼には意中の人がいたりとショックも受けたりしたこともあった。しかし、嬉しい事だってたくさんあったのだ。
「苦しいこともあるけど、ハヤテ君といることでいっぱい喜んだ!だから、私は頑張るのよ!苦しくても、怖くても、目を背けずに!」
そう叫んだ瞬間だった。
ヒナギクの腕に着けてある、ヴァルキリングが眩しく光り出したのだ。
「リングが・・・・光った?」
ヒナギクはそれを呆然としてみていた。と同時に疑問が湧いてくる。
何故、今になってリングが光りだしたのだろうか。
「あんたは自分の恐怖や苦悩を知った」
そこで花南がヒナギクに語りかけた。
「今までのあんたはそれがわからず、また知っても自分ではどうすることもできず、生徒会長とか言って逃げていた。弱さを誰にも見せたくないと思ってね」
そうだ。そんな心境の中ではリングは光らなかった。
自分の心から逃げていたから。それは当然、魂の資質といえるべきものではない。
「でも今、あんたはそれを受け入れた。そしてその上で何物にも動じない心を持った。その魂の資質は、もうわかるわよね」
彼女の言うとおり、ヒナギクは自分の魂の資質について既に知っていた。
ヒナギクは、自然とそれを口にした。
「私の魂の資質は・・・・勇気・・・・」
言った後で、その言葉をよく噛み締める。
今でも怖い。好きな人たちが離れていく恐怖はよくわかる。
しかし、それに屈しない不動の心、勇気を振り絞ることができた。人のためだけでなく、何よりも偽ることのできない自分自身のために。
「これは私一人のものじゃない。美希や歩たちに支えられているものよ」
二人をしみじみと見るヒナギク。
「二人が勇気を出すことの大切さを教えてくれた。だから、私はこの勇気を絶対に無くしたりしない!」
強い意思を込めて、ヒナギクは宣言した。
「・・・・キライだ・・・・」
その様子を、不愉快な目つきで見ている者がいた。
「おまえのような奴は、ダイキライだ!」
少女は光の剣を出現させ、殺意を剥き出しにする。
「殺してやる!」
そこからヒナギクに飛び掛っていくが、どこからか棒のようなものが飛来し、その先端が少女の腹部に入った。少女はその勢いのまま、後方へと倒れこんだ。
「まったく、本当に甘いわね」
攻撃したのは、いつの間にかフラリーファと一体化していた花南だった。彼女は嘆息しながらヒナギクのもとへと駆け寄る。
「戦いの最中に、堂々と青いことを口にするなんて」
ヒナギクはむっとなって睨む。言わせたのは彼女だというのに。
「けど、自分のために奮い立ったのは感心したわ。これでもうあんたは空っぽの人間なんかじゃないわ」
だが花南はすぐにいつもの刺々しい態度を潜め、更に付け加えてこう言った。
「一緒に戦う仲間として、迎え入れてあげる」
ヒナギクは呆気にとられていた。いつもは他人に対して冷淡で皮肉屋な彼女から、こんな言葉が出てくるなんて意外なように思われたからだ。
だが何故か、彼女が自分を認めてくれたことがとても嬉しかった。それと同時に、生徒会長のプライドを砕き、それによって見えなかったものを気づかせてくれたことに感謝もしていた。
「ありがとう」 「だから、そういうのは後にしなさいよ」
そう言って花南が指差した先で、少女がゆっくりと起き上がっていた。
ヒナギクは少女のほうへ向き直る。その瞳は、まっすぐに少女を捉えていた。
「私は戦う。あの子はなんとなく怖いけど、守りたいもののために、何よりも自分自身のために」
自らの魂を解放するヒナギク。彼女の身体は、人を象ったままLCLに還元され、ヴァルキリオンはリングへと吸い込まれていく。
ヒナギクはヴァルキリオンを模した装甲を纏った、等身大のロボットのような姿へと変わっていく。
「・・・・行くわよ、ヒナギク」
ヴァルキリオンとの一体化が遂げられたのを見て、花南はヒナギクに声をかけた。
ヒナギクは少し驚いたように花南を見た。今まで甘ちゃんだとか堅物だとか言われていたが、ここで初めて自分の名前を呼んでくれた。
これこそ、仲間として認められた証であった。
「わかったわ、花南」
こちらも名前で呼び返す。そこには仲間同士の絆というものが見えた気がした。
二人は武器を手にし、少女に対して構えをとるのであった。
次回、反撃開始!
|
|