Re: 続・新世界への神話(10月19日更新。ヒナギク編) ( No.89 )
日時: 2011/10/26 19:59
名前: RIDE
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=3929

30巻限定のドラマCD、聞きました。
確かに、田舎に行かずラジオをやっていたらこうなっていたかもと思いました。
いかにもハヤテらしい展開です。

さて、まずはレス返しから。


絶影さんへ

>どうも絶影です!

どうも。
受験生だから当然とは言え、ゲーム禁止は辛いですよね。
お気持ち察します。

>それでは早速感想に

>花南との衝突を経て、ヒナギクは自分の資質を疑っていますね
>しかも、さすがハヤテというのかその時ヒナギクはハヤテに会ってしまい怒鳴りつけて>しまう

ヒナギクはハヤテに対して、怒鳴りつけているところが多いような気がしますから。
まあ、苛立ちをぶつけられた方はどうしようもありませんが、ハヤテはいい人過ぎます。
それが逆に癇に障ったのではないでしょうか。

>そんな中現れたのは魔法を使う敵。
>その無駄に強い(失礼かもしれませんが)敵はヒナギクを追い詰めていく。

この少女は結構強いですよ。
今のところ、他作品のキャラは強いという設定ですから。

>そして現れたのはまたしても花南。
>彼女には神出鬼没のライセンスがデフォルトで備わっているのでしょうか。

まあこれは、出るタイミングを見計らっていた。
そう解釈して下さい。

>花南と共に現れたのはなんと美希ですか
>花南の真意、そして美希の話とは何なのか!?
>気になりますね

それも今回で明らかになります。
注目して下さい。

>それでは更新待ってます


絶影さん、感想ありがとうございます!

それでは、本編です。


 5
 戦いの場には似つかわしくない親友がいることに、ヒナギクは目を見開いた。

「何しているの!?早くここから離れなさい!」

 だが美希はそれを聞かず、ヒナギクの元に駆け寄った。

「ヒナ・・・・」

 そして、いつもの憮然とした表情ではあるが気遣わしげな口調で声をかけた。

「見ていられないぞ、ヒナ。助けて欲しいなら助けてって言えばいいじゃないか。逃げたいなら逃げてもいいじゃないか。生徒会長だからとか、負けず嫌いとかで、こんなところまで意地を張ることはないじゃないか」

 黙って耳を傾けていたヒナギクは、そんな美希に苛立った。

 どうして皆、そうやって全部見通したようなことを言うのだ・・・・!

「なによ!いつもは生徒会長の私に仕事を任せっきりにして!それに生徒会長は常に威厳を保てなくちゃいけないって、私が弱った時にいつもそんなようなことを言ってくれているのに、勝手すぎるわよ!」

 確かに、カッコいい姿を見せろと言ってきた人が、急に逆のことを言ってくるのは矛盾していると思われる。窮地に立たされているところから切羽詰っているところを含めても、ヒナギクが美希に怒りをぶつけたのは当然のようにも感じた。

「ヒナ・・・・」

 だが美希はそんなヒナギクに怯えず、傷ましげな表情で申し訳なさそうに語りだした。

「ごめん、ヒナ。私は事あるごとに落ち込んだ姿を見せず、格好よくあるべきだと言ってきた。けど、それはヒナに対する親切心だけじゃないんだ・・・・」
「え?」

 思わぬ話に、ヒナギクは美希を注目した。

「私は主に、自分の願望をヒナに押し付けていた。そして、ヒナの関心が欲しかっただけなんだ」

 この場にいる誰もが口を挟まずに美希の話に聞き入っている。

「初等部のころ、ヒナは私をいじめていた同級生をやっつけてくれた。その時から、私はヒナに憧れていた。あの格好いい姿に、私は友情以上の好意を持ったんだ。それはずっと、今も変わらないままに・・・・」

 ずっと心の中で抱いていた思い。ヒナギクに対する気持ち。

 美希はそれを吐露していく。

「けど、ヒナは私では届かないほど高いところにいる。そもそもこの想いは絶対に報われないってわかっていたから、私はただ見上げることしか出来なかった・・・・」

 女同士の恋は受け入れられない。それがわかっていても、消化することの出来ない切ない想いが美希の中に存在していた。

「そして、口にしてしまえば私たちは気まずくなる・・・・私たちの親友という関係さえ壊れてしまいそうで、怖かったんだ・・・・」

 その言葉に、ヒナギクは自分の悩みと重ねた。

 一体化できず、自分だけ置いていかれる。相談したくても、そこで仲間から外されるかもしれないと思ってしまい、中々口に出せなかったこと。

 相手が自分から遠のいてしまう恐怖。それと同じ気持ちが美希にもあったのだ。

「だから私は、憎まれ口を叩く親友であろうとした。けど、そのためにヒナを困らせたり冷やかしたりを続けているうちに、そうしている間はヒナに注目されている気がして、喜んだ。だからそういう態度とっている間はヒナに見てもらえると思った。ヒナへのアドバイスも、ヒナの弱いところを見せたくないということで、私本位の勝手によるものだった。それでも、私はヒナの力になっているんだという充実感があったんだ」

 ヒナギクは、普段はいつもふざけているふざけている美希にこんな想いがあったことに驚き、ただ黙っていることしかできなかった。

「けど今日、そこの彼女に言われたんだ」

 美希は花南を指して続けた。

「私がやっていることは、ちっぽけな自己満足でしかないって。私はそれに反論できなかった。彼女の言うとおりだったから」

 年上相手だというのに本当失礼だとヒナギクは腹を立てたが、美希は花南に対して複雑な感情はなく、むしろ感謝しているようにも見えた。

「けど、彼女は気付かせてくれた。建前や常識などに捕らわれず、自分の気持ちを打ち明けるべきだと。結ばれなくても、私とヒナは友達であることには変わらない。だから、私は今ヒナに告げる」

 美希は決意を込めた目でヒナギクを見据える。

「私は、ヒナのことが好きだ。そしてごめん。今まで私の勝手な理想がこうして無理をさせることになって・・・・本当にごめん」

 美希は頭を下げた。ヒナギクはそんな彼女からいつものいたずらっ子ではなく、大人びた印象というものを感じていた。

「あんたたちが友達でいるのは、生徒会長だからとか、格好いいからとかじゃないでしょう?」

 そこに、花南が口を開いてきた。

「友達って言うのは、相手のことがお互い気に入ったからなれるものでしょう?」

 そう。友達であるのは相手の外見や見栄ではなく、その人となりに魅力を感じたからだ。容姿や能力では価値のつけようがない、その人の人柄に。

 そしてそれは、恋愛にも言えることだ。

「この女があんたに惚れたのも、あんたが密かに抱いている恋も、相手の人となりに惹かれたからでしょ?常識とか、生徒会長の威厳によるものじゃないし、そんな関係のないものでごまかせるわけがないわ」

 そこで花南は、ヒナギクに問いた。

「その上で甘ちゃん、あんたの戦う理由を聞かせて。それも生徒会長だからというわけじゃないはずよ。それに、そんな理由では一緒に戦うなんてできない。あんたは、どうして戦いたいと思うのか、その心で、私たちと仲間になれるのだから」
「美野さん、あなた・・・・」

 もしかして彼女は、このために昼間生徒会長の誇りと一緒に自分を叩きのめしたのだろうか。

 そんなことで怯えている自分に、発破をかけるために。

「話はもう終わった?」

 と、それまで蚊帳の外にいた少女が、ヒナギクを睨みつけてきた。

「私を退屈させた分、晴らしてもらうよ」

 その瞳に含まれた殺気に、ヒナギクは圧倒されてしまう。そんな中、脳裏に意中の彼が口にした、あの言葉が掠めた。

 呼べば必ず、駆けつけますから・・・・。

 今度はもう、躊躇いはなかった。

「ハヤテ君―!!」



「あ、ハヤテ君!」

 待ち人の姿を見つけた歩は、手を振って自分の居場所を教える。

「お待たせしました、西沢さん」

 彼女の元へと駆け寄るハヤテ。

「それでは、行きましょうか」
「うん!」

 いざバイトへ向かおうとしたそのときであった。

「・・・・ヒナギクさん?」

 どこからか、自分を呼ぶヒナギクの声が聞こえてきた。

「どうしたの、ハヤテ君?」

 突然後ろを振り返ったハヤテを、気になった歩が尋ねてみる。しかしハヤテは彼女よりも
あの声の方が気になりだした。

「西沢さん、申し訳ありませんが戻らせてもらいます!」
「えっ、ちょっと!」

 大急ぎで後戻りするハヤテ。

「ハヤテ君のあの様子・・・・ただごとじゃないかも!」

 事が重大だと察した歩も、ハヤテを追いかけだした。





感想、指摘などがあれば告げてください。
それでは、また次回へと続きます。