Re: 続・新世界への神話(8月30日更新。ハヤテ編) ( No.74 )
日時: 2011/09/02 17:32
名前: RIDE
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=3929

九月になりましたね。
休みボケや何かになっている人は大丈夫でしょうか?
私は・・・・もうボケまくりです。

さて、本編へいきましょう。


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 そんな時であった。

「とりゃああああ!」

 一同の前に、覆面をかぶった二人の男が現れた。突然のことに目を丸くするハヤテやナギたち。

「三千院ナギ、覚悟!・・・・て、あれ?」
「な、なんですかこの状況は?」

 二人の男が泡食うところで、花南が呆れたようなため息をついた。

「もういいわよ、真中さん、三井さん」
「え、真中君と三井君?」

 それを証明するためにとった覆面から露になったのは、大地とシュウの顔であった。先ほどの混乱もあってか、ハヤテたちは何がなんだかわからなくなってしまう。

「ど、どういうことなんですか?」
「すみません」

 シュウは苦笑しながら説明をした。

「実は、美野さんの案で綾崎君を疲れさせたところで三千院さんを襲おうとしたんです。そ
れでもって、綾崎君を試そうと考えていました」
「そう。今までのことは全て君を試していたのだよ」

 どこからか声が聞こえてきたかと思うと、そこで隠れていた美希たち三人組や伊澄、雪路等、先程ハヤテの世話になった者たちが茂みの中から姿を現し輪の中へ入ってきた。

「申し訳ありません。ですが、ハヤテ様のためにと思って・・・・」
「美野さんって太っ腹よね。こんなに出してくれるなんて」

 頭を下げる伊澄と対照的に、雪路は手渡された報酬に浮かれていた。

「まあ、この殺し屋のことは流石に予想外だったけど、おかげでより確実な結果が見ることが出来たわ」
「でも、なんで試すなんて事をしたのよ」

 仕切り顔で話す花南に、ハヤテを危険な目にあわせようとしたことに対する怒りを若干込めてヒナギクは詰問する。

 答えたのは伝助であった。

「それについては、綾崎君はすでに知っているでしょう」

 そう、ハヤテは気付いていた。彼らが自分に何を説こうとしていたのかを。

「ところで、あと一人はどうしたの?」

 翼の姿がないことに、三人一緒でという計画とは少し違うことに花南は眉をひそめた。

「ああ、翼さんは何か感じたことがあったようで、そちらの方へ・・・・」

 ちょうどその時、滑り込みながら翼が横から入り込んできた。

「青居君!」
「む、おまえたち」

 刀を手にしている翼は横目でハヤテたちを確認した後、すぐに前方へと向き直った。

 険しい視線の先には、三人の男たちがいた。

「さすがだなブルー・ジェット。三人がかりの攻撃でも持ちこたえられるとは」

 男たちは腕にシルバーに輝く精霊のリングをつけていた。それだけで、白銀の使者だということがわかった。

 同時に、自分たちへの刺客だということも。

「ふっ、こうも集まっているとなると探す手間が省けてちょうどいい」

 男たちもハヤテに気が付くと、滑稽そうに笑い出した。

「この場で成敗させてもらうぞ!三千院ナギよ!」

 男の一人が指を差した。

「え・・・・?」

 指差されたシャルナは、きょとんとしてしまう。

「シャ、シャルナちゃん、いつ改名なんてしたんですか!?」
「違うでしょ!」

 変なボケをかました文に、ヒナギクがツッコんだ。

「ち、違うのか?」
「ええっと、あいつも違うようだし・・・・」

 先ほどまでの冷酷な様子とは打って変わり、間抜けにうろたえだした。

 男たちの登場に緊迫したハヤテたちも、彼らを見て白けてしまっていた。

「そうか、おまえが三千院ナギだな!」

 再び指を差すも、その先に居たのは愛歌であった。

「え・・・・?」
「おい、いい加減にしろ」

 ついに怒りに耐え切れなくなったナギ本人。苛立ちを露に一歩前に出た。

「なに、ではおまえが・・・・」
「そうだ、私こそが三千院ナギだ!」
「なにぃ!?」

 男たちは大げさだと思わんばかりに驚きをもってナギを見た。

「ま、まさかこんな小さい子供が俺たちの標的だったとは・・・・」

 その言葉によって、ナギはとうとう爆発した。

「なんだと!おまえたち、さっきから好き放題に言いおって・・・・」

 喚きだすナギだが、男たちが睨んでくると怯えて黙ってしまう。

「ま、相手が小さい子供であろうが俺たちは命じられたとおりにおまえを成敗すればいいんだからな・・・・」

 発せられる殺気にナギは後ずさりするが、そんな彼女の前にナギを守ろうとハヤテが出てきた。

「お嬢様、下がってください」

 男たちは、そんなハヤテに対しせせら笑った。

「おまえみたいな奴が俺たちに勝てると思っているのか?」
「いえ、僕一人だけではあなたたちには勝てないでしょう」

 主の危機だというのに妙に冷めているハヤテは、後ろにいる伝助や華南、ヒナギクたちのほうを振り返った。

「皆さんにお願いがあります」

 そう言って、ハヤテは彼女たちに向かって頭を深く下げた。

「お嬢様を守るために、皆さんの力をお貸しください」

 普段から礼儀正しいハヤテだったが、思い返してみればこうやって人に物を頼むなんてそうそう見られなかった。自分が厄介事を呼びやすい体質のためひとを巻き込ませてはいけないと考えていることもあり、頑なな態度をとりがちであった。そういうことと執事としての責任感からか、彼は全部一人で片付けようとしてきた。

 だが伝助の言葉によって、周囲の人々が力になってくれることがわかった。だからこそ、自分はできること、すべきことに専念できるのだということも。

 だから真剣な態度でハヤテは皆に協力を頼んだ。ナギへの忠誠心のためにも。

 一人だけではない、皆がいるから大丈夫だと信じて。そして、自分はナギを守るんだと強
く思って。

「そんなにかしこまらなくてもいいですよ」

 伝助はハヤテと並ぶ。

「皆、自分にできること、望むことを精一杯するだけなんですから」

 互いに意思の強さを示し合う伝助とハヤテ。その二人のリングが、突如として光を放ち出した。

「えっ、これは・・・・?」
「思いを強く解き放つのよ」

 戸惑うハヤテに、花南がアドバイスを送った。

「そうすれば、あいつらに勝てるわ」

 彼女の言葉により、ハヤテハ自分の思いを外へと向けるように強く念じた。

 ナギを守る。自分で決めたことを、絶対にやり遂げる。

 すると、自分の体がLCLに変わっていくのを感じた。

 同時にシルフィードがシルフィリングへと吸い込まれ、ハヤテに知るフィードの居イメージが流れ込んでくる。それがハヤテのATフィールドに影響を及ぼし、ハヤテの姿は更にシル
フィードを彷彿させる鎧へと変わった。

 こうしてハヤテは、知るフィードとの一体化を遂げることが出来た。

 一方、伝助のほうもワイステインと一体化していた。

「いやあ、思いを解き放てばできるとは聞いていましたけど、やればできるものですね」

 ハヤテ同様初めてのことではあるが、上手くいったことに喜んでいた。

 それは、ハヤテも同じ気持ちであった。

「これで僕も、本格的に戦える・・・・」

 そして二人は、三人の男たちに対して構えを取った。

「生意気だな、青銅の使者の分際で」
「一体化ができるようになったからといってな」
「痛い目見させてあげないとな」

 対する白銀の使者三人も、犬、河馬、梟とそれぞれの白銀の精霊と一体化した。ハヤテと伝助は警戒を強めた。

「皆さんにもう一度頼みます」

 相手に注意しながら、ハヤテは重ねて口にした。

「お嬢様を守ることに、手伝って下さい」

 これに対し、全員の答えは一緒であった。

「うん!」

 その答えに満足したハヤテは、伝助と共に白銀の使者に挑みかかっていった。



今回はここまでです。
何か指摘があれば、よろしくです。