Re: 続・新世界への神話(8月2日更新。ナギ編) ( No.63 ) |
- 日時: 2011/08/02 17:24
- 名前: RIDE
- 参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=3929
- 八月に入りました。
皆さん夏休みを楽しんでいらっしゃるでしょうか?
さて、レス返し行きます。
絶影さんへ
>どうも絶影です
>更新待ってましたよ(笑)
待たせてしまってすみません(笑) いろいろあったもので
>それでは感想に!
>さすがに黄金の使者のエーリッヒは強いですね >一体化した佳幸と達郎と花南に触れさせもしないとは… >ある意味いじめですね(笑)
青銅ランクと黄金ランクでは、大人と子供以上の隔たりがありますからね。 いじめのようになってしまうのも仕方ないかと。
>全員が絶望に染まる中ただ一人エイジがエーリッヒに向かう! >エイジ…漢ですね… >他の奴らは何やってんだ!(気になさらず)
エイジはプロフィールでも書いたとおり、諦めない心の持ち主ですからね。 例えどんな相手でも、立ち向かっていくでしょう。 塁たちは、ベジータを弄っているフリーザを前にして金縛りになるピッコロたちを想像していただければ、と。
>エイジもダメージを与えることはできませんでしたが >エイジの背後に浮かんだ龍のオーラそしてそれを見て驚愕したエーリッヒ >これはどういうことだったんでしょうか? >気になりますね
それについては、後に明記します。 今言えることは、火事場のクソ力のように取っていただいてください。
>エイジの活躍によりエーリッヒは一体化を解きましたね >そして現れたのは…ナギ!? >何故!?一体何を企んでいるんだ!?
今回の話は、ナギの思惑というのが明らかになります。 注目して下さると嬉しいです。
>次回も気になってきました!
>それでは更新お待ちしてます!
期待通りかどうかはわかりませんが、お送りいたします!
絶影さん、感想ありがとうございました!
それでは、第28話です! これから先は、書きたかった話が連続していきますので、テンション高いです! では、楽しんで下さい!
第28話 選ばれたのは小さき少女
1
三千院ナギの予想だにしない登場に、ハヤテたちは目を丸くしていた。
「お嬢・・・・様?」 「おおハヤテ、大丈夫そうだな!」
屈託なく笑うナギ。そんな彼女に、ハヤテはぎこちなく頷くしか出来なかった。
「え、ええ・・・・」 「そうか、よかった。それと・・・・」
ナギは次にマリアの方を向いた。
「無事だったか、マリア?」
気遣わしげな表情を浮かべながら尋ねてみた。
「人質にされていたからな。心配したんだぞ」 「だ、大丈夫ですわ。暴力とかはされていませんでしたし」
マリアも、それよりも気になることがあるため乾いた笑みを浮かべた。
「なら、安心したぞ」
その答えに、満面の笑みを浮かべたナギ。
喜んだり、不安になったり、安堵したり。日頃からナギと接しているハヤテやマリアにはすぐにわかった。仏頂面ながらもころころと表情が変わりやすいこの多感ぶりは、間違いなく自分たちの主であるナギだ。
しかしそうなると、先ほどから頭の中で引っかかっている疑問が膨れ上がっていく。
「ちょっといいかい、お嬢さん」
全員を代表して、佳幸が質問した。
「三千院のお嬢さん、どうやってこの精霊界に来ることが出来たんですか?」
ナギは世界規模の財閥の令嬢であること以外は、普通の少女のはずだ。引きこもりでゲー ム好きで、大の運動音痴な根性なしだが、特別な力があるとは思えない。
ここのところ、自分たちを勝手に振り回して、しかもどこか自分たちに何か隠しているので毛嫌いしていたが、この世界に現れたことで益々わからなくなってしまう。一体彼女は、自分たちに何をさせたいのだろうか。そして、何が狙いなのだろうか。
そんな彼らを、ナギは平然としてみていたが、何かを決めたように口を開いた。
「そろそろ、話す時期かもしれないしな」
そして、彼女は話をはじめた。
「まず、私がこの世界に来れたわけだが、それはこいつのおかげだ」
ナギは自分の横を指す。その途端、光が発した。とても眩しく、しかしなにか暖かみのあるように感じる。
そして、シルフィードやムーブランたち精霊は、その光を心地よさそうに浴びている。
その光から、何かが上空へと飛び上がってきた。
「なんだ!?」
それは上空を軽く旋回した後、まるでナギに敬意を表すかのように降りてきた。
「あれは!」
身体には七色の鱗。優雅な翼と龍を思わせる頭を持っている。
それの姿に、エイジや佳幸たち八闘士は息を呑んだ。
「龍鳳!?」
龍鳳。霊神宮の象徴とも言える存在で、精霊でありながらそれを超えた力を持ち、神々が創ったとされる魔神に匹敵すると言われている。
その龍鳳は霊神宮を率いる者、救世主のような存在となるスセリヒメを選ぶ。そして選んだ者を自らの主として、共に戦っていくのだ。
そんな龍鳳が、ナギの隣に着いた。そこから考えられるのは一つしかない。
「ま、まさか・・・・」 「そのまさかだ」
ナギは尊大な様子で、皆に告げる。
「霊神宮を統べ、人々の心に光を差すスセリヒメの時代は、この三千院ナギに選ばれたの だ!」
彼女は驚愕する事実を、全員にもたらした。
次代のスセリヒメに選ばれたのは、三千院ナギ。
これは、精霊の使者たちにとっては衝撃的であった。
この場にいる一同は愕然とし、口を噤んでしまう。誰もかける言葉を捜しているようであった。
「でたらめを・・・・」
ややあって、エイジが口を開いた。
「あんたのようなひきこもりでわがままな女が、選ばれるわけがないだろ!」
彼は怒り以上に嫌悪感を露にナギにかみついてきた。
「冗談もほどほどにしとけよな!」
対してナギは微かに顔をしかめたが、すぐにいつもの偉そうな態度で返した。
「冗談ではない。この龍鳳が何よりの証拠だ」
確かに、ウェンドランなどは龍鳳の前で礼をとっているようにしていた。精霊の頂点に立 つ龍鳳は他の精霊にそのように仰がれて当然なのだ。その龍鳳がナギの元にいるのだから、真実を物語るには十分であった。
しかしエイジは、それでも認めたくなかった。
「どうせそれも何かのまやかしだろ・・・・」
光まで頑なになるのは、目の前にいる少女と先代のスセリヒメを比べてのことであった。
先代はとても立派な人だったのだ。そんな人とこの少女が同格に並べられていること事態 が、間違いだと疑っている。先代への思い入れが強いがあまり、目の前の真実を受け入れた くないのだ。
「いい加減にしろよな!このチビ!」
チビ。その単語を耳にしたナギは青筋を立ててしまう。
みんなから、特にエイジに悪口の何かを言われてもナギは聞き流そうと考えていた。いち いち相手にしないことで、自分がどれだけ大きい存在なのか見せ付けようとしていたのだ。
だが、チビと言われてそんな余裕を取り繕えなくなってしまった。
これはナギにとっては、ブロックワードであった。
「誰がチビだ!このおバカが!」
それまでの神妙さはなりを潜め、いつものようにムキになってエイジに突っかかってきた。
「なんだと!」
一方のエイジも、ケンカを売られてただだって見過ごせるほど大人ではなかった。
「おバカってなんだ!ドチビが!」 「な、二度もチビとか言いおって!」
張り詰めていた空気は一瞬で霧散し、二人はそのまま子言い争いをはじめてしまった。
「だから!」 「あんたこそ!」
それはケンカなのだが、重々しいものではなく、単なる悪口をぶつけ合う子供のけんかであった。
「なんで!」 「そんなに!」
レベルはさして低いが、二人は段々とエスカレートしていき、お互いに額をぶつけ合うほど詰め寄っていく。
「生意気なのだ!」 「偉そうなんだよ!」
しかも飽きることなく、延々と続けていた。
その光景を、微笑ましく見ている者、呆れている者、嘆かわしく感じている者など多様にいたが、誰もしばらくは二人の間に入ろうとはしなかった。
しかし誰かが止めなければこの二人はずっと口論しつづけているだろう。口論と呼べるほどではない、ただの幼稚な罵り合いなのだが。
「ナギ、いい加減にしなさい」 「エイジ、少し落ち着けよ」
ナギをマリアが、エイジを佳幸が止める。宥められた二人は休む間もなく口を動かしてきたせいか肩で息をしていた。それでもお互い睨み合うのをやめないところは、強情だと窺え る。
「けど、理解が出来ないのは僕たちだって同じです」
佳幸は目を鋭くしてナギを見た。
「その龍鳳が本物なのは、僕たちが持っている黄金の勾玉と共にあったことから考えれば当然のことでしょう。けど、そもそも何故高尾山にそれがあったのか、わからないんだよね」
彼の言い分はもっともであった。本来ならば龍鳳は霊神宮にて厳重に保管されているはずなのである。それが、高尾山の洞穴に結界に守られていたとはいえ石ころ同然に転がってい た。
そして、ナギの目的次第では龍鳳を奪うかもしれない。たとえ霊神宮から追われている身であっっても、個人的に無視は出来なかった。
「それについては、私がお教えしましょう」
そんな中、今まで黙っていたエーリッヒが口を開いてきた。
彼が語ろうとする真実に、一同は耳を傾けだした。
「はじまりは一年前のことでした・・・・」
次回、霊神宮の裏事情について語られる・・・
そして、疑問を抱くかもしれないので、ここでスセリヒメと龍鳳について説明します。
龍鳳(リュウホウ)
霊神宮で崇められている、黄金よりも遥かに位の高い精霊。
神話の時代から存在しており、一説には三界の創造主も関わっているとか。
自らの使者となり、共に戦う存在を探している(当然、誰でもというわけではない)
スセリヒメ
龍鳳に選ばれた使者を、霊神宮ではそう呼んでいる。
スセリヒメとなったものは、霊神宮を指揮するものとして、組織のトップとして崇拝される。就任されたものは必ず女性となっている。
だが、現在はその力を利用されているだけの傀儡として扱われているようである。五年前の戦いでも、先代を捨て駒として扱っており、佳幸たちが霊神宮に対して失望しているのはそのためである。
補足しておくと、先代は誰からも好かれる、芯が通っていた性格であったそうだ。これから察するに、スセリヒメとして基準は力というよりも心をとっていて、龍鳳が精霊の使者というあり方の基盤をつくったとも思われる。
ちなみに、スセリヒメというのは日本の神話で有名なスサノヲの娘である。しかし、この作品ではスサノヲは関係ないのであしからず。
とまあ、こんな感じです。 それでは、また次回に。
感想、指摘等があったら報告ください
|
|