Re: 新世界への神話 ( No.80 )
日時: 2011/01/06 19:23
名前: RIDE

更新します。


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 シルフィードとワイステインは、シャドウアローに苦しめられている。

「フフフ・・・・もうそろそろだな」

 陰鬱の使者二人は、黒い鳳が敵を貫くところを待ちわびていた。
しかし、窮地に立たされた状況の中伝助とハヤテはまだ強気であった。二人はひそひそと会話している。

「綾崎君、黒い鳳の攻撃パターンは?」
「全て見切らせてもらいました」

 それを聞き、二人は強く頷く。

「いきますよ!」
「はい!」

 ワイステインはウイングトルネードを放つ。同時にシルフィードも突風を起こした。

 互いに風の力をもつ精霊同士、力を合わせた強力な風により、黒い鳳は次々と打ち倒されてしまった。

「バカな!」

 愕然とする陰鬱の使者たちに、ハヤテと伝助が静かに語った。

「残念ですが、僕は何が何でも兄さんを止めるという目的があるんです。だから、ここで立ち止まっているわけにはいかないんだ!」
「そして、僕たちはそのために手を結びあえる。それは僕たちが持つ、絆がそうさせるのです!」

 二人は、特にネガティブワイステインが衝撃を受けた。

「そ、そんなものは所詮馴れ合いだ!」

 ネガティブアイアールは矢を弓に番える。それを見て、ワイステインは拳を構えた。

「綾崎君!シルフィードをワイステインの拳の上に!」
「は、はい!」

 シルフィードが構えた拳に乗る。その間にネガティブアイアールがシャドウアローを放つが、それに続くようにこちらも力を合わせた必殺技を放った。

「鳥獣滑空拳!」

 シルフィードを乗せたまま、ワイステインは嵐鷲滑空拳を打つ。そして、その勢いに乗ったシルフィードは拳を踏み台にして、疾風怒濤を繰り出した。

 嵐鷲滑空拳の威力が上乗せされた必殺技は、巻き起こした風により黒い鳳をすべて倒し、さらにネガティブアイアールへと突進した。

「なっ!?」

 ネガティブアイアールの使者は驚きながら自身も風によって飛ばされ、壁に激突して気絶した。同時にネガティブアイアールと力を与えていたネガティブライオーガも封印されてしまう。

「封印されただと!?」
「よそ見している場合ですか?」

 伝助に言われ、陰鬱の使者は気付く。ネガティブワイステインの前に、ワイステインが現れていた。

「こいつ!」

 ネガティブワイステインは、咄嗟に構える。

「今度は全力での必殺技を放ってやろう!」

 相手との実力はこちらが上なのは先程わかっていること。だが、勢いに乗る伝助たちに警戒しないわけにもいかないので、油断はしなかった。

「消え去れ!」
「消えはしません!この必殺技は!」

 ネガティブワイステインはスクリューピークを放つが、ワイステインの方が速かった。拳に鳥獣滑空拳によって起きた風を纏わせる。

「嵐鷲滑空拳!」

 普段以上の威力をもったこの一撃に打たれたネガティブワイステインは大きくふっ飛ばされ、ネガティブライオーガ共々封印されてしまった。

 しかしここで、思わぬこととなってしまう。

 嵐鷲滑空拳の余波が、周囲の壁を崩していったのだ。そして、一際大きい岩が陰鬱の使者の頭上から落下していく。

 陰鬱の使者は動かない。敗者は死という掟に従うつもりなのだろう。

「危ない!」

 だが伝助が咄嗟に飛び掛り、陰鬱の使者を落下点から遠ざけた。
 それにより、陰鬱の使者が下敷きになることは免れたが・・・・