Re: 新世界への神話 ( No.78 ) |
- 日時: 2010/09/29 19:59
- 名前: RIDE
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5 「あんな死人同然の奴のために、無駄なことをする奴らだ」
一方、ネガティブワイステインは嘲笑を浮かべ、対する伝助はムキになることはなく、冷静に言い返した。
「助かる希望があるなら無駄でもせずにはいられない。それが仲間の絆というものだとは思いませんか?」 「知らんな・・・・」
ネガティブワイステインとその使者は、こちらに歩んできた。
そして、ネガティブワイステインは攻撃を仕掛けてきた。
「シュレッドウインド!」
ネガティブワイステインの翼から強風が吹いてきた。その風を受けると、ずたずたに相手の身を裂く必殺技である。
しかしワイステインは、さほど傷を受けた様子はなく、自身が起こした風をもってシュレッドウインドをかき消した。
「なんと!」 「生憎ですが、今のワイステインはそんな必殺技ではダメージを負いません」
伝助は相手の必殺技を消すほどの力を送れた自分のリングに目をやった。
「この修復されたリングのおかげで、僕の思いを力に変えることができるのです。防御力は、あなたが思っているほど大きいですよ」 「ならば、そのリングをもってしても私たちにはかなわないことを教えてあげよう」 「できますかね、あなたに」 「フフフ・・・・」
妖しげに笑うネガティブワイステインの使者に、伝助は何かを感じた。
「ここまでやるとは、少々油断がすぎていたな」
ネガティブアイアールの使者は矢を破られても、ハヤテに対して余裕を崩さなかった。
「これは、あれを使うしかないな・・・・」
そう言って、懐からあるものを取り出した。
一方のネガティブワイステインも、同じ物を手にしていた。
「それは!」
ハヤテと伝助はそれを見て驚愕した。
陰鬱の使者たちが手にしているもの。それは、雷凰と刻まれた黒い勾玉、ネガティブライオーガの核であった。
「あ、あなたたちまでネガティブライオーガを持っているのですか!?」 「ネガティブライオーガは、陰鬱の使者全員に手渡されているのだ」 「で、ですが陰鬱の精霊は元となった精霊と一対ずつ表裏の関係です。ライオーガが一体のみですから、そんな多くの数は生まれないはずでは・・・・?」
闘技場で陰鬱の使者たちを目にしてから抱いてきた疑問であった。例えば伝助のワイステインのネガティブは目の前にいるネガティブワイステイン一体しか存在せず、同じ精霊は世界には生まれることはないだがライオーガは一体だけなのに対し、そのネガティブは多数存在している。
驚愕冷め遣らず、理解ができない伝助に、ネガティブワイステインの使者は勝ち誇ったようにその疑問に答えた。
「私たちが所持するネガティブライオーガは、雷矢様の憎しみから生まれたものだ」 「なっ、それだけであの数を!?」 「雷矢様の憎しみというのは、それだけ計り知れないほどの強さなのだ」
ハヤテは愕然とし、伝助は雷矢を説得できる可能性が全くないということを再認識した。
同時に、このままでは雷矢はネガティブライオーガを増殖させ、大規模な軍隊をも作ってしまうことも可能だと知る。そして、そこから行き着く先は世界の席巻なのか、それ以上のことを起こすつもりなのか・・・・。
いずれにしろ、雷矢を止めなくてはならないということを改めるハヤテと伝助。だがその前に、目の前の相手をどうにかしなければならない。
「いくぞ!」
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