Re: 新世界への神話 ( No.69 )
日時: 2010/09/01 19:30
名前: RIDE

更新します。


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「そうか・・・・」

 事情を知った塁はミハエルに礼を言った。

「ライガリングを持ってきてくれてありがとな」

 塁は、目の前の断崖絶壁へと視線を向ける。

「ようし、伝さんの分まで戦ってやる!」

 他の八闘士たちも頷き、複数存在している谷底の迷路への入り口へと足を踏み入れようとした。

「待て!」

 そんな彼らを、ダイが制した。

「な、なんだよ、こんな時に」

 いざっていう雰囲気に水を差された塁や達郎、エイジらは転びそうになった。

「全員では行かせない。まずは数人に中へ入ってもらい、残りは外で待機だ」

 皆何故か反対意見を出すことなく、その言葉に従った。

「それじゃあ、突入するメンバーを決めるぞ」

 ダイは全員の顔を見渡し、その中から選び抜いた。

「稲村、岩本弟、桐生、そして綾崎」

 言いながら、ダイは彼らを指していく。

「以上この四人だ。そして黄金リングを預かるのは・・・・」

 その黄金リングを、ダイは持たせるべき者に投げて渡した。

「綾崎、おまえだ」
「ぼ、僕ですか!?」

 受け取ったハヤテは戸惑ってしまった。この中では未熟な使者な自分に任せていいのかと不安に思ってしまう。

「責任重大だからな。頼んだぞ」

 だが、元々頼まれたら断りにくい性格の上、そこまで念を押されてしまってはハヤテはもう嫌とはいえなかった。

「・・・・わかりました」

 じつはこれがダイの狙いだったりする。このプレッシャーを与えることで、少しでも兄である雷矢に対する気持ちを割り切ってもらいたいのだ。メンバー選考にしても、先日のことからまだ気まずいままであるハヤテとヒナギクは一緒にさせてはいけないとか、塁を選ばなくては彼のボルテージは収まりそうにないなど、いろいろ気を遣っていたのだ。

「よし、行こうぜ」

 塁が呼びかけ、エイジ、氷狩、ハヤテの三人は頷いた。彼は真っ先に入口へと向かおうと
したが、ふとこの場に残る佳幸たちの方を向いた。

「伝さんは必ずここに来てくれるはずだから、あの人のことを待っててくれよな」

 そう言い残し、塁は谷底へと入っていく。彼にならって他の三人も、別々の入り口から中へと入っていった。