Re: 新世界への神話 ( No.65 ) |
- 日時: 2010/06/15 20:06
- 名前: RIDE
- この展開にどうかと思いながらも
更新します。
4 小屋に戻った伝助、エーリッヒ、ミハエルの三人。
「さて、手伝ってくれたことですし、あなたの用件を聞きましょう」
エーリッヒは、伝助のほうを向いた。
「この二つのリングの修復をお願いしたいのです。理由は先ほど話したとおりのことです」
伝助は、半壊したイーグルリングとライガリングを取り出した。
「時間もないので、一刻も早くお願いします」
エーリッヒは二つのリングを受け取った。しばらくそれをいろいろと観察した後、思いがけないことを口にした。
「残念ですが、この二つのリングの修復は無理です」 「な、なんですって?」
呆気にとられる伝助に向けて、エーリッヒは宣告した。
「この二つのリングは既に死んでいます。死んだものを甦らせることはだれにもできません」
イーグルリングとライガリングが死んでいる。
そう聞かされても、伝助には意味がわからなかった。そんな彼に、エーリッヒは説明した。
「リングにも、魂というものが宿っているのです。そのリングにこめられた魂まで砕かれてしまった場合、いかなることがあってもリングの力は失い、元には戻らないのです」
確かに、死人が生き返らないことを考えれば、リングに宿る魂が死んでしまえば、甦らせることはできないということは的を得ていた。
しかし、だからと言って伝助は引き下がるわけにはいかなかった。
「それでも、これから陰鬱の精霊の使者たちと戦うのに、どうしてもリングが必要なんです」
陰鬱の中でも最強の部類に入る使者たちや雷矢と戦うにあたって、リング無しでは命を落としてしまうことが目に見えている。戦うにはリングを着けて万全の状態で臨まなければならない。
「霊神宮でもその人がいない中で、リングを修復できるのはあなたしかいないのです。なんとかできませんか?」
それに、と伝助は付け加えた。
「僕には、方法がないとは思えないんです」
伝助は、自分の仮説を述べ始めた。
「リングの機能が完全に失われているのなら、これは使者としての証でもなくなってしまいます。ですが、僕はまだワイステインの使者でありますし、ワイステインも先ほど僕に従ってくれました。精霊がやられない限りは、リングは何とかなると思うのです」
熱意をもって訴える伝助に観念したのか、エーリッヒは希望を口にした。
「あなたの言うとおり、一つだけ方法がないわけではありません」
エーリッヒの視線は、真剣さを増していた。
「ですが、それによってあなたは死ぬことになるでしょう」 「死・・・・」 「ええ。それ以外に方法はありません」
嘘は言っていないと感じた伝助。
「どうします?あなた次第ですが・・・・」
伝助は考えた。このままリングがなければ、やはり自分と塁は負けてしまう。だが自分の命によってリングが修復されるのなら、塁だけでも勝てるはずと思った。
「何をすればいいんですか?」
スピリアルウォーズの一回戦第四試合を思い出す伝助。あの時、佳幸と塁は命を賭けて戦っていた。
今度は自分の番だと、彼は意を決した。
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