Re: 新世界への神話 ( No.57 )
日時: 2010/04/09 20:54
名前: RIDE

短いですが、更新します。
今日から少しずつ、過去の記事を読みやすいように修正していきます。


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 そして翌日。

「今日も大変だったわ」

 放課後、生徒会の仕事を終わらせたヒナギクは帰途の途中であった。

 結局ハヤテとは顔を合わせずじまいであった。同じクラスであるため彼が登校してきたことは確認できたのだが、話す機会は得られなかった。ハヤテは兄のことで悩んでいる様子はなかったが、無理をしているようにも見受けられた。昨日、優馬からの言葉によって雷矢のことで気に病んでいるであろうハヤテの心を支えてやろうと意気込んでいただけに、ヒナギクはかなり落ち込んでいた。

 昨日といえばもうひとつ、思い起こすことがあった。

 それは花南にぶつけられた言葉だ。あれだけ聞くと、まるで自分が臆病者のように扱われている感じがして、なんとなく腹が立ってくる。

「こっちの気も知らないで・・・・」

 遠慮なく好き勝手に侮蔑する彼女を、ヒナギクは好きになれないと思った。

「あれ?」

 物思いにふけていると、ヒナギクは前方にある人物を発見する。

「ハヤテ君?」

 まさにそれは、ヒナギクが今日会おうとして、声をかけることができなかった少年であった。ハヤテは周囲が目に入っていない、思いつめた表情で歩いていた。

 そのためまたも声をかけづらくなってしまったが、なんとなく気が気でならなくなったヒナギクはこっそり後を追うのであった。




 上の空のハヤテは、負け犬公園まで歩いていた。

「気持ちの整理がつきたいってお嬢様に言ったけど・・・・・」

 とてもじゃないが、気持ちが晴れそうにない。それでも、ナギのために戦うということだけに関しては迷いはない。だが・・・・。

「どうして兄さんと戦わなければいけないんだ・・・・?」

 途方に暮れるハヤテ。

「綾崎ハヤテだな」

 そこへ突如、奇妙な声が聞こえてきたと思った瞬間、ハヤテは攻撃を受けてしまう。

「な、なんだ?」

 咄嗟に身を構えるハヤテは、自分のシルフィリングが凍り付いていることに驚いて目を見開かせる。

「今のは、凍気による攻撃なのか・・・・?」

 リングを狙って凍結させているということは、相手が精霊の使者であることを証明している。

「フフフ・・・・」

 そう考えていると、この場に怪しげな笑い声が響いてきた。

「あなたは、陰鬱の使者なんですか?」

 返答はない。しかし、自分に対する敵意だけははっきりと感じているので、ハヤテはシルフィードに声がした方向へ攻撃させるが、リングが凍結しているのでハヤテの心の力はうまく伝わらず、結局は解放形態での生半可な攻撃となってしまった。

「フッ、この程度か」

 相手のものと思われる精霊がシルフィードの攻撃をはじいた。凍気が辺り一面を立ちこませるほどの霧を生じさせているため姿はよく見えないが、輪郭はぼんやりと浮かんでいた。

「あ、あれは・・・・」

 衝撃を受けているハヤテとシルフィードに向けて、相手の精霊は凍気を放った。黒い雪を生じさせたそれはシルフィードを凍りつかせ、ハヤテを転倒させた。

「フ、フリージングスノウズ・・・・?」

 倒れているハヤテは信じられない思いでいた。今の相手の攻撃は、ハヤテの知っている精霊の必殺技に似ていたからだ。

 相手の精霊がこちらに近づいてくる。ハヤテはその精霊の人型形態をはっきりと見ることができた。