Re: 新世界への神話 ( No.49 ) |
- 日時: 2010/02/22 21:02
- 名前: RIDE
- 更新します。
第17話ラストです
3
倒れているガイアースに対し、ユニアースは悠然として立っていた。
誰が見ても、勝敗は明らかになっていた。
「最後に一つ、物申すぜ」
優馬は一樹にむけて語った。
「例え意中の女が自分に興味がなく、敵対していたとしても、自分に惚れさせる。それがモテル男というものだ」
澄ました顔で勝利を確信する優馬。そんな時だった。
ユニアースの角の槍が、異様な反応を示しだした。ガイアースと戦っていたときとは全く違う。
それを感じた優馬は、ガイアースよりも警戒すべき敵が存在することを理解した。
「一体、誰が・・・・?」
だが優馬が推測する前に、角の槍をつかんだものがいた。
「と、とった・・・・」
ガイアースであった。一樹はまだ戦うつもりでいた。
「いろいろと忠告をありがとうございます。でも勝つのは僕みたいですね」
角の槍をとればこちらのものだと思っているのだろうが、優馬としてはそれどころではない。
「今ユニアースの角は重大なことを教えようとしている。この場にいる全員の危機を報せているのかもしれん」 「なんだって?」
それを聞いても、何もわからない一樹には悪あがきにしかとれない。
「角を放せ。そうでないと機会を失ってしまう」
しかし、勝負にこだわる一樹は素直に言うことに従わない。
「そうはいくもんか!やっと掴んだ逆転のチャンスなんだ、倒すまで放すもんか!」
ガイアースは角の槍を掴んでいる右手を引き寄せようとする。思わず優馬は声を荒げた。
「よせ!手を離さなければ、おまえの精霊は呪われるぞ!」
そう叫んだ瞬間、角の槍が光り出し、思わず槍を手放したガイアースの右手から肩までが 石化してしまった。
「こ、これは・・・・」 「穢れき心持つ者がこの角に触れると、呪いがかけられる。おまえが名誉にこだわったため、ガイアースは呪われてしまったんだ」
話を聞いた一樹が身を引いていると、角の槍は光を点滅させ始めた。
「危機がすぐ近くまで迫っているのか」
ユニアースの角の槍を持って、その先を全方位にまわしてみる。
そして、ある方向を指したところで、角から光がそこへと伸びていった。
「な、なんなんだ・・・・?」
観客とともに一樹は混乱してしまう。
「油断するな」
そんな彼に注意する優馬。用心していなければ、確実に身の危険が降りかかるからである。
「この方向にいるのか。この闘技場にいる全員の脅威となる敵が。しかし・・・・」
優馬は顔をしかめた。
角が指し示す方向。そこには、黄金のリングと勾玉が存在しているからだ。
突然、闘技場内に閃光が発し、雷鳴が轟いた。
次の瞬間、黄金の勾玉とリングは消えており、代わりに瑞鳥の精霊を従えている、バイザーをかけた男がその場にいた。
「あ、あれは・・・・!」
観客も、伝助たちも、駆けつけたダイやナギたちも驚愕する。
しかし、一番衝撃を受けたのはハヤテだった。
「兄さん・・・・!」
そこにいたのは、ハヤテの兄である雷矢と、彼の精霊である雷のライオーガであった。
予期せぬ来客に、闘技場内は緊迫した空気に包まれる。
「やっぱり、俺の勘は当たっていたか・・・・」
ダイは、微かに強張った様子でつぶやいた。
「よりにもよって、雷矢が忍び込んでいたなんてな・・・・」 「あいつが綾崎さんの兄貴で、雷のライオーガを奪ったっていう奴なんスか・・・・?」
エイジと塁は、改めて雷矢を見た。
「噂どおり・・・・いや、噂以上のプレッシャーだ」
そしてそれは、優馬も感じていた。
「なんという憎しみだ。肌ではっきりとわかるほどの大きさなんて・・・・」
ユニアースの角も、光がより鮮明となっている。
「角が緊張度を最高点にまで上げている・・・・」
こんなことは滅多にない。それだけに、優馬も警戒心を強めた。
「あいつは、地獄から来た男だとでもいうのか・・・・?」
ユニアースの角から発している光が激しく点滅し始める。攻撃に出ることを促しているのだ。
「仕方がない!」
弟のハヤテには悪いと思いながらも、攻撃を実行させることにした優馬。
だが、雷矢の精霊のライオーガが人型形態に変わり、ユニアースに向けて電撃を放った。その攻撃を肩に受けたユニアースは、吹っ飛ばされてしまう。
「なッ・・・・!」
ユニアースを吹っ飛ばすほどのダメージを与えたことに、優馬だけでなくほかの使者たちも驚いてしまう。
「やめてください、兄さん!」
前に進み出るハヤテ。雷矢はそんな弟に視線を移すと、バイザーを取ってひと睨みする。
「相も変わらずのその気弱な面。ほとほと愛想が尽きた!おまえから血祭りに上げてやる!」
その目には、前にあったとき以上に憎しみを煮え滾らせていた。
|
|