Re: 新世界への神話 ( No.4 ) |
- 日時: 2009/08/14 15:09
- 名前: RIDE
- 更新します。
前回の続きです。それから、明日から来月の20日あたりまで、個人的事情により更新できません。ご了承ください。
2 夕方。
ハヤテの周りをナギ、ヒナギク、美希、泉、理沙、そして翼と大地が固めている。安全だ と思っているのか、それとも大勢でぞろぞろとしたくないのかダイは一歩引いており、普段守る立場であるハヤテは逆に守られていることに戸惑っている。
彼らが白皇の校門まで行くと、シュウが待ち構えていた。
「三井君って、先に帰ったんじゃ・・・・?」 「先に帰って準備を整えてから、護衛を務める予定だったので。それよりもダイ様、昨日現場に居合わせた子が・・・・」
シュウが指した方向には、歩が彼と同じように校門前で待っていた。
「西沢さん、なんでここに!?」 「私も、ハヤテ君が心配だから・・・・」 「おまえがいると逆に迷惑だハムスター。とっとと帰れ」
ハヤテを狙うナギと歩の恋のライバル同士は、とたんにいがみ合おうとする。
「そ、そんなこと面と向かって言うかな!?私だって・・・・」 「あの、ここでもめていてもしょうがありませんので、その方も一緒にということで」
シュウは急いでその場をまとめた。その隣ではなぜかイライラしているダイがいる。
歩を加えた一行は三千院家へと向かう。シュウは歩く速度をダイに合わせてそっと囁きかける。
「ダイ様、あまり大勢で行動したくない気持ちはわかりませんが、ここは抑えて」 「わかっている」
これでも抑えているつもりでいるダイではあるが、それが態度に出ているのであった。
三千院家の屋敷についた彼らを迎えたのは、有能な美人メイド、マリアであった。彼女は最初、人数の多さに驚いていたが、すぐに客間へと案内した。その間に翼は彼女を口説こうとしたが、ダイの鉄拳制裁によって翼は吹っ飛ばされる。
そして客間にはすでに二人の少女がいた。ナギの親友、愛沢咲夜と鷺ノ宮伊澄である。
「おまえら!」 「よっナギ、遊びに来たで」
予期せぬ客人たちにナギは驚き、ダイは苛立ちを募らせる。
マリアが淹れた美味しい紅茶も、ダイを落ち着かせることはできない。そんな彼をシュウが再び注意する。
「ダイ様」 「わかっている。だから女に手を出している翼に当たっているだろう」 「おいおい、手を出しちゃいけないのか?」 「うるさい。大体おまえそんなキャラじゃなかっただろ」 「あの・・・・」
ひそひそと話していたのが不審に思われたのか、マリアがこちらに近づいてきた。
「な、なんでしょうか?」 「いえ。紅茶、お口に合わなかったでしょうか?」 「そんなことありません、美味しいですよ」
マリアは不審を隠さない目で去っていく。完全に怪しまれているようだ。
一方、咲夜と伊澄は昨日の事件のことをナギから聞かされた。
「ハヤテ様・・・・大丈夫ですの?」 「ええ、この通り。高杉君たちも助けてくれましたし」 「まぁ、ハヤテなら大丈夫やろ。それよりもあいつら、信用してええんか?」
咲夜もまた、ダイたちに疑惑の目を送る。
「何か知っているみたいですから、落ち着いたら話をしようとおもっているんですが・・・・」
そんな時だった。突然、部屋が暗くなった。
停電かと思ったが、それだったらすぐに部屋の様子などが分かるはずであった。しかしこの暗さは、光がまったく無い、闇そのものといった様である。
呆然としていたハヤテたちであったが、今度はそのまま下へと急速に引かれていく。
「うわぁぁぁぁっ!!」
落下時間は長く、彼らは無様な格好で着地したが、幸い怪我することはなかった。
「いったぁ〜い!」 「な・・・・なんなのだ、ここは・・・・」 「私たち今までナギちゃんちの部屋にいたんだよね?それが何でこんなところにいるのかな?」 「それに何で真っ暗なのよ・・・・」 「ここは一体どこなのでしょう・・・・」
女性陣がパニックになる中、ハヤテは皆をまとめようとする。
「落ち着いてください皆さん!」
その言葉にマリアやヒナギクなどしっかりした性格の者たちは冷静を取り戻したが、言葉を聞かず慌てふためく者もいる。
突然、乾いたような大きな音が木霊した。
「静かにしろ!できないなら黙らせるぞ!」
それは拳銃の発砲音であり、それと共にダイの声が聞こえた。
ようやく口を閉ざした一同は、ダイの姿を見て目を疑った。
身長は少し伸び、顔立ちも大人に近づいていて、さっきまでのダイが成長しているようであった。
「高杉君・・・・だよね?」
見渡すと、翼、大地、シュウの3人の姿も変わっている。
「聞きたいことがあるのはわかるが、今は黙っててくれ。それよりも、みんな集合してくれ」
言われた通りにまとまるハヤテたち。その周囲をダイたちが囲む。
「!・・・・来る」
そこで事は起こった。 ブラックホールでも現れたのか、全員が上方に引きずり込まれそうになる。
「くっ・・・・これは・・・・」
なんとか耐えるダイたちだが、引力に負けた者もいた。
「きゃあぁぁぁぁあつ!」 「美希、泉、理沙、歩!」 「咲夜さん、伊澄さん!」
マリとヒナギクは何とかこらえていたが、美希、泉、理沙、歩、咲夜、伊澄の6人は吸い込まれてしまった。
そして。
「お嬢様!?」 「ハヤテェーッ!!」
必死にハヤテにしがみついていたナギも、その手が離れてしまい、彼女は叫びを木霊させて闇の中へと消えてしまった。
「お嬢様!お嬢様ー!!」
追いかけようとするハヤテは止めようとする大地とシュウを振りほどこうとする。
「このままじゃヤベェな・・・・」
そうダイが思った時だった。闇に亀裂が走り、眩しい光が溢れてくる。
その眩しさに、思わずダイたちは目を閉じる。
次に目を開いたときは、三千院家の客間にいた。
だがそこに、先程闇にさらわれた7人の姿はいない。
ハヤテは、自分の目の前で主をさらわれ、それに対して何もできなかった自分を執事として心の中で責めていた。マリアとヒナギクも、親しい者たちが連れ去られたショックで何も言うことができない。
「まさか、こう来るとは思わなかった・・・・」
沈黙を破ったのはダイにみな注目した。彼や翼たちの姿は学生に戻っている。
「やっぱり、あなた方はなにか隠していらしゃるのですね」
マリアが、有無を言わせぬ視線と口調で語りかける。
「話してください」
ダイは考えるようなそぶりを見せた後、しばらくして答えた。
「わかった。だがここでは無理だ、俺たちの住んでる所に行く。ついてこい」
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