Re: 新世界への神話 ( No.22 ) |
- 日時: 2009/10/30 21:35
- 名前: RIDE
- 更新します。
今回から原作キャラの家族設定から考えたオリキャラが登場します。 タイトルを見れば想像できますけど。
2 放課後。
ダイの元には翼、ハヤテ、ヒナギクが集まっていた。
昼休みあの場にいなかったヒナギクは、生徒会室で仕事をしていた。高所恐怖症のため時計台の最上階からの絶景が見えないため、巨大な影については確認できなかったが、晴天にもかかわらず雷が落ちたことは、雷鳴によってわかった。彼女もまた、精霊の仕業なのではないかと思い、ダイたちと合流したのである。
「あの雷は、間違いなく二つの影のうちどちらかの仕業だ」
念のために大地とシュウは待機させた。伝助にも協力させてもらおうかと考えたのだが、職員会議のために仕方なく断念した。
「雷を操る能力ですか。手ごわそうですね」
そして四人は影が立っていたと思われるところに着いた。
そこは木が生い茂る森の中。視界は悪く、緑以外何も見えない。
「誰かいる・・・・」
だがダイは、人の気配を感じ取っていた。
「出てこい!」
返事はなかった。だが、彼らの前に人影が現れる。
「美希!理沙!」
クラスメートで生徒会メンバーである花菱美希と朝風理沙であった。
「なんだ。三バカ娘の二人じゃないか」
ダイは、大げさなふうに落胆して見せた。
「二人で組めば俺たちを倒せると思い込んでるみてぇだけど、バカ同士組むなんてまさにバ カだな」
ダイの暴言に、美希と理沙は顔をしかめた。
「我々を甘く見てもらっては困るな」 「そうだ!見ろ、この力を!」
美希は金属の巨人を、理沙は瑞鳥のような鳥をそれぞれ自分たちの前に呼び寄せる。
「くらえ!」
巨人は拳を、瑞鳥は電撃をダイたちに叩きつけようとする。
ダイたちはそれを感じ、寸前に後方に飛んでかわした。
「なるほど、力は一人前だな。しかし、それで一人前と言うことは、やっぱり一人一人は半人前のバカってことだな」
再び発せられたダイの暴言に、美希と理沙はいちいちムキになる。
「いいだろう。そこまで言うなら、私たちの各々の力を見せてやる」 「ついてこい!」
美希と理沙は、別々にこの場を去った。
「うまくいった」
二手に分かれたのを見て、ダイは笑った。
「あいつらを分散させるためにわざわざ挑発をしたんだが、こうまでうまくいくと本当にバカなんだと思っちまうぜ。あいたっ!」
ダイは後頭部を手で抑えた。ヒナギクが木刀・正宗で叩いたためである。
「何すんだ、この木刀女!」 「高杉君、これ以上あの子たちをバカ呼ばわりしないで!」
友達思いのヒナギクは、ダイの言動に腹が立ったのだ。
ダイはそれ以上二人のことについては口にしなかった。
「わかったよ。それじゃあ、翼と綾崎は花菱を、そこの木刀女は俺と一緒に朝風を追うぞ」
二人一組になってそれぞれ追いかけ始める。ハヤテと翼は鬱蒼とした森の中を駆け、切り拓かれた地へとたどり着いた。
「待っていたぞ」
鋼の巨人とともに美希が仁王立ちで待ち構えていた。
「この金のバロディアスを倒せるかな?」
巨人、バロディアスは人型形態へと変わっていく。
「僕が相手です、花菱さん!」
疾風のシルフィードも一気に人型形態へと変わっていく。
「翼さんは下がっててください」 「わかった」
素直に従う翼。もしハヤテがやる気でなくても、彼はハヤテにやらせるつもりだった。基本的にダイや翼は、艶麗やジンジャー以外との戦闘はこの世界の住人に任せるつもりである。
「いきます!」
シルフィードとバロディアスが激突し始めた。
一方、ヒナギクとダイも別の開かれた場へと着いた。
そこには予想どおり理沙がいた。ただ一つ思ってもみなかったのは、彼女が地に伏せている状態であるということだった。
「理沙・・・・?」
最初は、自分たちの隙を突くためのフェイクか悪ふざけかと思って身構えていたが、理沙は何の反応もない。
恐る恐る近づいていくと、ヒナギクは息を呑んだ。
倒れている理沙には、激しく争った跡があった。
「理沙!」
ヒナギクは理沙に駆け寄って彼女を抱き起こす。ダイは疑問を抱いていた。
「一体誰が・・・・?」
大地やシュウたちではない。彼女が艶麗を裏切り、その制裁というふうにも考えにくい。
つまり第三者の仕業ということになるが、何の目的で理沙を襲ったのか見当がつかなかった。
「う・・・・」 「理沙!」
うめき声とともに理沙が気を取り戻した。
「ヒ、ヒナか・・・・くっ」 「理沙、しっかり!」
負傷しているのか、身を起こそうとすると理沙は苦しそうな声をあげる。
「ラ、ライオーガを・・・・奪われてしまった・・・・。ハ、ハヤ太君に伝えなければならないことが・・・・。ライオーガを奪った男は・・・・」
理沙が続けた言葉に、ヒナギクはただ驚愕するばかりであった。
「金剛粉砕撃!!」
バロディアスの必殺技を、かろうじてかわすシルフィード。
戦況は互角であった。力で勝るバロディアスに対し、シルフィードは攻撃を当てては後退するというヒットアンドアウェイ戦法でいくが、相手の防御力は高く、中々致命傷を与えることができない。
一発でも攻撃を受けてしまえば、危ない。
そんな緊張感の中、理沙とともにいた瑞鳥がこの場に現れた。
「雷のライオーガ。ヒナたちをやっつけたんだな、理沙」 「そんな!」
ダイはともかく、ヒナギクがやられるなんて信じられないという思いで、雷のライオーガを見つめるハヤテ。
だが同時に美希も、ハヤテと同様の表情となる。
「誰だ、おまえは?」
ライオーガの後ろにいたのは理沙ではなく、一人の男であった。
「水入らずの再会に、貴様は邪魔だ」
開放形態のライオーガは翼部を勢い良くバロディアスに打ちつけた。それだけでバロディアスは封印され、美希もそのまま倒れてしまった。
「開放形態で人型形態の精霊を倒すなんて・・・・」
開放形態と人型形態で力を比べたら、人型形態の方が断然強い。それをひっくり返すということは、あの男の心の力は、それほど強いと思われる。
「誰だ貴様は?艶麗と何か関係があるのか?」
翼は警戒しながら、正体不明の男に聞き出した。
「艶麗?誰のことだ?」
男の姿はよく見えないが、声の調子から悪ふざけではなく、真剣に答えているのだとわかる。
「何故ライオーガを奪った?」 「力を得るためだ」 「力?」 「そうだ。滅ぼすための力だ」
翼は訳がわからなかったが、危険な奴だと認識した。それは、先ほどからあの男から発している修羅と思えるほどの憎悪を感じていたからだ。もしそれで人が殺せるのならば、この場にいる全員は間違いなく命を奪われている、そんな錯覚を起こしてしまうぐらいであった。
「ハヤテ君!」
そこへ、ヒナギクとダイも参入する。ヒナギクも男の憎悪を感じて、怯んでしまう。
「もう一度問います。あなたは誰なんですか?」
返答はない。
「答える気がないのなら、答えさせるましょう!」
ハヤテは攻撃態勢をとるが、それをヒナギクが止めた。
「ダメよハヤテ君!あの人は、あなたのお兄さんなのよ!」 「えっ?」
思わずふらついてしまうほどの衝撃を受けたハヤテ。
「ヒナギクさん、今なんて・・・・」 「あの人は、お兄さんなのよ。ハヤテ君」
ハヤテは、期待と不安の入り混じった目で男を見た。
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