Re: 新世界への神話 ( No.15 ) |
- 日時: 2009/09/29 18:14
- 名前: RIDE
- 更新します。
明日から、更新が停滞気味になりますので、ご了承ください。
2 「大丈夫ですか?」
なんでこの男がやってきたのかわからないが、とりあえずうなずく一同。
「よかった。では、早く終わらせますか」
伝助は、キッと泉を見据える。
「攻撃を当てるためには、こちらも水と同化する、水の力を得なければなりません。そこで綾崎君」
伝助は、ハヤテに海のように青い勾玉サイズの宝玉を手渡した。
「これは・・・・」 「海の力が宿った、海の宝玉です。これを君に貸しましょう」 「でも、これでどうするんですか」
使い方がわからないので、ハヤテは説明を求めた。
「リングにへこんでいるところがあるでしょう?そこにそれを挿入すればあなたの精霊は水の力を得ます。あなたは自分の精霊を水に同化して敵を攻撃してください。相手の攻撃は、僕とこの風のワイステインが防ぎます」
そんなやりとりをしている間に、またもや津波が襲いかかる。先ほどよりも巨大なものである。
ハヤテは急いで宝玉をシルフィリングに差し込んだ。すると、シルフィードの背中の翼が魚のヒレのように変わり、手足には水かきがついた。
シルフィードは池に潜り、身体を水に同化していく。そこで、水のアクエリスを見つけた。アクエリスはすでに人型であり、左腕には亀の甲羅のような盾を着けている。
シルフィードはアクエリスに殴りかかるが、その拳は装備されている盾によって防がれ、逆に一発を喰らってしまう。しかしシルフィードもやり返す。
水の精霊だけあって、水中でのアクエリスの動きは素早かった。シルフィードも水の力を得ているが、アクエリスの比ではなかった。だが、シルフィードはアクエリスを押してい る。その理由は攻撃の点にあった。シルフィードは風を操る応用で攻撃性の音波を作り、それをアクエリスに向けて放っていた。水中ではより早く伝わる音波の前では、アクエリスも回避できない。
ついに、シルフィードはアクエリスの盾を砕いた。追いつめられたアクエリスは、起死回生の必殺技を放った。
「オキジシェン・ブリット!」
酸素の弾丸をシルフィードに狙いを定めて放つ。破壊力は十分にあると思われる。
対するシルフィードも最大の攻撃、疾風の如くの速さで突進する。
弾丸とシルフィードがぶつかり合い、水泡がその場を包み込む。
アクエリスは、自分の勝利を確信していた。
しかし予想は裏切られ、水泡の中からシルフィードが躍り出てきた。シルフィードはそのままアクエリスに突進する。
突進を食らったアクエリスは、光と化していった。
再び伝助の精霊である風のワイステインによって津波が池に戻されてから、しばらく経った後、泉の足場となっていた水柱が突然崩れた。
「きゃああああっ!?」
そのまま池の中へと落ちていく泉。同時にアクエリスがリダートに封印された。
池を警戒する必要がなくなったので、ハヤテは泉を救出しようとするが、既にシルフィードが彼女を助けていた。
全員が泉のそばに駆け寄った。
「瀬川さん」
ハヤテは泉の顔を覗き込んだ。
「う・・・・ん」
泉が目を覚まし、身体を起こした。
「あ、ハヤ太君にみんな。どうしたの?」 「よかった。気がついて・・・・」
そこでハヤテは泉から顔を背ける。
「ほえ?」
不思議に思った泉だが、自分の体をみて顔を紅くする。彼女の制服が濡れているため、身体のラインが浮き出ている。
「にゃぁあああああ!」
慌てて身体を隠そうとする泉。
「お嬢!」
そこへ虎鉄が再びやってきた。
「虎鉄君」 「お嬢、どうしたんです?いままでどこに・・・・」 「おっと」
急きこんで尋ねようとする虎鉄を、翼が手で制する。
「いろいろと聞きたい気持ちはわかるが、今はそっとしときな。ただ黙っているのも、いい男の条件だ」
何が何だかわからない虎鉄。そんな二人は放っておいて、ダイは離れたところで自分たち を眺めている伝助のほうを向き、彼に近づいていく。
「風間先生、あんたは自分の精霊の力で竜巻を起こして、その遠心力を利用して水を池に戻した。そんなこと、普通の使者でもできそうだが、戦闘中でも少しでも動じないそのたたずまい、綾崎に貸した海の宝玉。あんたいったい何者だ?」
伝助は一つ咳払いをして、話し始めた。
「僕は風のシルフィードの使者、八闘士の一人である風間伝助です」 「八闘士・・・・」
ダイはその言葉に聞きおぼえがあるようだ。
「霊神宮の噂を聞いたことがある。五年前、この世界で精霊の力を悪用しようとした奴らを摘発した八人の使者たち。そいつらはその功績を称えられ、八闘士と呼ばれるようになったと」
その一人が今、ダイの目の前にいた。
「賢明大聖から、あなたのことを聞かされました。協力せよとも、申されております」 「あいつ・・・・」
人を無視した霊神宮の教主の態度に、ダイは腹立ちを覚える。
「しかし、味方になってくれるのは心強い。頼りにしてるぜ」 「はい。異世界の勇者に対して出すぎたようですが、お力になります」
二人が協力関係を結んだ所へ、大声を上げてやって来た者が。
「なんの騒ぎ!?」
雪路は、周囲をぐるりと見渡した。
「桂先生、これは・・・・」 「なるほど、そういうことね」
事情を説明しようとする声に耳を貸さず、雪路は勝手に解釈した。
「学校を荒そうだなんて、いい度胸してるわね!」 「は?」
呆気にとられるハヤテたちにむけて、雪路はビシッと指をさす。
「さあ、出すものを出しなさい!それで今日のところは見逃してあげるわ!」
教師にもかかわらず、口止め料を請求してきた。そんな信じられない行動に対しても、ダイは動揺しなかった。
「いいぜ。払おうじゃないか。こいつが」
ダイは、隣にいる伝助を指した。
「え!?ちょ、ちょっと!」 「力になってくれるんだろ?」
それとこれとは違うと口に出そうとしたが、雪路が迫力をもってズイっと伝助の前に出た。
「同僚だからって容赦はしないわよ。さあ、払いなさい」
獣のオーラを漂わせる雪路に、伝助は慄いて後ずさりしてしまう。
「し、失礼します!」
そして、彼は急いで去って行った。
「あ、待てーっ!」
雪路も後を追いかけ始めた。
その後、雪路はヒナギクにきつく叱られた。そしてダイも・・・・。
「ダイ様、押しつけるなんてよくないですよ!」
シュウにこってりと絞られ、ふてくされるのだった。
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