Re: 新世界への神話 ( No.1 ) |
- 日時: 2009/08/11 18:06
- 名前: RIDE
- 更新します。
ですが、まだ第1話とはいきません。ご了承ください。
プロローグ2
男は、気持ち良さそうに空を眺めていた。
「ふぅ、この星の空も青いなあ」
異なる星々と航行ができるようになっている時代、宇宙全体に激震が走った戦争が起こった。男の故郷はその主戦場になったが、失われた太古の技術が復活したこともあって、戦争が終わってまだ間もない今、復興は進んでいる。
男がいる星は、故郷に似ているが違う。故郷ではまだはるか遠くの異性との航行技術がまだ発展途中だが、男にそんなことは関係なく、現在は宇宙旅行を楽しんでいる。
「おっ、あれは・・・・」
そんな時男の目に留まったのは、宇宙船であった。男にはそれに乗っている人物の顔が容易に思い浮かべた。自分を捕まえに来たのだという目的さえも。
「おもしろい。いつものことだが、そう簡単にはいかないぜ」
人が悪そうな笑みを浮かべて、自分のロボットを隠しているところまで駆けだした。ロボットに乗り込み起動させると、そのまま飛び上がって宇宙船の後ろについた。
「ふふふ・・・・俺の姿が見えるかな・・・・?見えないよな・・・・?」
男のロボットにはあらゆるレーダー類からロストできるシステムを積んでおり、宇宙船からはこちらを見つけることは絶対に不可能である。向こうのパイロットが必死に自分を探しているだろうと想像すると、おかしさが込みあがり、男は笑いをこらえていた。
だがそう楽しんでもいられなかった。宇宙船の進行方向に歪みみたいなものが生じ始めた。このままでは飲み込まれてしまう。
「まずいっ!」
今にも歪みの力に引きずられそうになっている宇宙船を、男のロボットが引き戻そうとする。宇宙船のほうが大型であるのにも関わらず、コクピットにいる男の両の拳が光ると、ロボットは力を発揮し、宇宙船の救出に成功する。しかし、急激に負荷を与えたので、動力系統、フレーム等が故障してしまった。
「まずいな・・・・」
システムもダウンしてしまい、機体も思うように動かせないため、逃げることもできない。仕方がないと、男は覚悟を決め、宇宙船を地上に降ろし始めた。
「この野郎!」
宇宙船から降りてきたバンダナを巻いた男は、ロボットから降りてきた男を手加減抜きで殴った。
「ちょっと!」
同じく宇宙船から降りてきた、赤みを帯びたオレンジ色の髪の女が、バンダナの男を止めようとする。
「けどよ・・・・」
バンダナの男は、目に涙をためてわめいた。
「俺たちに戦後処理押しつけて・・・・。皆死んだと思ってんのに自分は何事もなかったかのようにぶらぶらしやがってよ・・・・」 「悪いな」
男は、穏和な笑みを見せた。
「平和になった今、俺は表舞台から退いたほうがいいと思ってな。だから、お前らを見守ることにしたんだ。本当に、苦労かけてすまんな」 「おまえ・・・・」
バンダナの男は、男に寄ってくる。
「キレイにまとめようとしてんじゃねぇー!!」
そして男の体を思いきり締め上げた。
「どうせおまえ、俺たちを高みの見物のように楽しんでただけだろうが!」 「痛い、痛い痛い!」
猛烈な痛みに、男の表情がひどく歪む。 「もう、そのへんにしとけば」 「そうよ、止めなさい」
それまで傍観していた、3人目の宇宙船の搭乗者である眼鏡をかけた女も、二人の取っ組み合いを止める。
「でも、どうして急に空間が歪みだしたのかしら」 「ここだけじゃない」
男は、先程とは打って変わり、真剣な口調で語りだした。
「まだ公に知られてはいねぇが、ここのところ空間の歪みが頻繁に起こっている。今回で確認できた中では4回目だ」 「例の遺跡や転送装置がイカレたんじゃねぇのか?」 「それも違うみてぇだ。まったく原因が分からねえ」
頭を抱えてしまう男。バンダナの男たちも同様に悩んでしまう。
「それについてお答えしよう」
そんな時だった。4人の背後にいつの間にか人が立っていた。気配もしなかったので当然驚く。
「だ、誰だおまえ!?」
こちらの動揺もよそに、その男は答えた。
「私は賢明大聖。精霊界の霊神宮を預かっているものだ」 「精霊界・・・・?」
それを聞くと、男は呆れたように溜息をついた。
「やれやれ、こんなすぐに三界に関わるなんて思いもしなかったぜ」
この前の戦争で暗躍していた人物の狙いも、三界に関わっていたため、それについてはすでに存じていた。何度聞いても雲をつかむような話であるのだが、自分と目の前の男はその生き証人になるのだから、真実ではあるのだ。
「私たちの世界に、この世界の住人が入り込んでしまったせいで、空間の歪みが生じてしまったのだ。だから、その人物を捕らえてもらいたい」 「思ったより話短けぇな・・・・ってかあんた、人の話聞く気ねえだろ?」
バンダナの男は胡散臭そうに賢明大聖を睨むが、
「ああ、わかった」 「って、即答かよ!?」
バンダナの男は、突っ込まずにはいられなかった。
「おまえらはもう少しこの世界で調査をしてくれ。あとこいつの修理も頼む」
男は自分のロボットを指した。
「って言ったって、必要になるかもしれないだろ?それに1人で行く気か?」 「心配ない。人員も搭乗機も、母さんが残したものを使う。急な展開だが、力ずくでも連れていく」
再び、男に課せられた宿命が動き出す。
「そして、そいつらにやらせる」
本人に、やる気は無いみたいだが。
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