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対象スレッド 件名: Re: Colors
名前: タッキー
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Re: Colors
日時: 2017/09/26 01:09
名前: タッキー

12月31日、大晦日。毎日と言っていいほど常時賑やかな綾崎家に一段と元気の良い声が響いた。

「大掃除をしましょう!」

父親と同じ空色の髪を揺らす綾崎カナエはいつも以上にやる気満々である。大掃除をするといっても、一部例外を除いて綾崎家はハヤテをはじめとした卓越した家事スキルを持った家族で構成されているため、基本的に敷地内はそこらのビジネスホテルよりも掃除が行き届いた状態に保たれている。よって年末などは大掃除ならぬ小掃除をしてから家族全員でダラダラと過ごすのがこの家庭の習慣だ。もちろんカナエはその家庭内ですくすくと育ってきたため、彼女自身今まで大掃除などという単語すら知らなっかたのだが、それがなぜ今年になってその言葉を覚えたかというと

「マリアさんから教えてもらいました。大掃除、1年の締めに感謝を込めてお家を綺麗にすること。なんてすばらしい習わしなんでしょう!ぜひ私たちもやりましょう!ていうかお掃除のお手伝いがしたいです!!」

「なんていい子なんだカナエは〜!」

「最後に本音をぶっちゃけちゃうカナエちゃんマジかわゆすーー!」

末っ子の発言に熱狂的に盛り上がる父と姉を無視すると、まぁ、そういうことである。母親に似て負けず嫌いのカナエはどうしても家事手伝いが不得手であることを克服したいのだろう。そして大掃除という大名目があると知って、その機会をみすみす逃すような彼女ではない。ついでに言うと単純に興味が湧いたという理由も混じっている。
既に子供用サイズのエプロンを体に巻き三角巾もきちんと付けているカナエは、家族の、主に父と姉の温かい視線を一身に受けながら、まだまだ届くには遠い天井に向かって拳を突き上げる。

「さぁ、大掃除しましょう!」














 第3話 『取り敢えず年末は紅白かネットで年越しする』

















失敗した。

いろいろと過程はあったのだが、それらをいろいろと省力して簡潔に綾崎家の大掃除を表すならその言葉が最も適切だろう。
本人曰くきちんと掃除しているつもりだったらしいのだが、唯一家事スキルを持っていないカナエが皿を割るわ、床を水浸しにするわ、モノは壊すわ、挙句の果てに三千院家の敷地内に生息していた動物たちが入ってくるわで、それはもうどこぞのお嬢様の昔の所業よりもこっ酷く散らかしまわってくれた。
きちんと反省していたので誰も責めたり叱ったりはしなかったが、カナエは結局泣き出してしまい、姉のアカリが彼女をなだめる係を受け持ち、ハヤテとヒナギクは家の超掃除する係についた。

「カナエは悪いことしたわけじゃないから、泣くことなんてないんだよ。また今度頑張ればいいんだから」

「でも、でも……」

「なんでも簡単できるわけじゃないから。ほら、飴ちゃん食べる?」

「……。食べます……」

口の中で飴玉を転がしているうちに、カナエは少し落ち着いたようだ。目元は真っ赤にはらしているが、もう泣いてはいない。そこに流石というべきか、ハヤテたちが超掃除を終わらせてリビングに戻ってきた。

「ごめんなさい……」

「まぁ、お嬢様もこんな感じだったから全然大丈夫だよ」

しゅんとしている娘に優しい言葉をかけるハヤテはどこか父親らしさが出ている。ヒナギクはカナエを抱き上げ、小さい彼女の背中をそっと撫ぜた。

「いいのよ、失敗しても。みんなそうやって大きくなるんだから」

優しい言葉にまた涙が出そうになったが、カナエはそれをぐっと堪える。

「さぁ、日も暮れてきてるし、晩御飯にしましょ」























晩飯を終え、風呂で体を綺麗に流したカナエはすっかり元気になっていた。そしてその元気な彼女の今の目標は年を越すまで眠らないことだ。いつもは早めに就寝するし、両親もできるだけそうさせるのだが、年越しくらいは遅くまで起きていても大丈夫だろうとのこと。

「はいカナエちゃん」

「これは?」

紅白も終盤に差し掛かり、目標の時刻まであと1時間を切ったところでアカリが自分の分とカナエの分の二つの缶を持ってくる。

「コーヒー。甘い奴だけどね」

カナエは渡された缶コーヒーを珍しいものを見るような目で見る。それもそのはずだ。カナエはこれまでコーヒーという飲み物を飲んだことが無かく、もちろんその効能を知るわけもない。知っていることと言えば苦い飲み物ということくらいだ。

「苦いからっていうのもあるけど、これって目が覚める効果があるから、一緒に飲んでがんばろ」

「………」

物は試しと、思い切って缶に口を寄せる。腕を傾けた直後にカナエの口内に流れ込んできたのは少しの甘味と、それを飲み込んで襲い掛かる猛烈な苦味だった。

「お、お姉ちゃぁ〜ん」

思わず顔を歪める妹に、アカリはまだ早かったかと反省する。しかし特には何も施さず、なんだかんだで頑張って全部飲み干そうとするカナエを見守っているだけだった。ちびちびと何度も缶を口に当て、初めての苦味に苦戦している妹の横で、アカリも自分の缶を開ける。そして丁度そこで彼女たちの目玉である水蓮司ルカが登場してくる

「ルカお姉ちゃんキター!」

興奮してコーヒーを一気に飲み干したアカリンを見て、カナエのほうにも火がつく。ルカが歌いだす前になんとか空にしようと無理してペースを上げていた。結局、ルカのステージは缶コーヒーよりも先に終わってしまったが、何回かむせながらもきちんと飲み干したカナエの頭をアカリがやさしく撫でる。

「今年はちゃんとおきていられそうですね」

日付が変わるまであと30分ほど。苦味ですっかり目の冴えたカナエは姉と一緒にソファベッドに身を委ねながら紅白の結果発表を見守った































1月1日。日付が変わってすぐ、ヒナギクとハヤテが互いに雑務を終えてリビングに戻ってくると、映像が流れたままのテレビの前で娘たちが見事にねおちしているのが確認できた。
どちらも起こすのがもったいないくらいに気持ちよさそうに眠っており、そっとテレビの電源を落とし、ハヤテがアカリを、ヒナギクがカナエを、それぞれ抱えて寝室に運ぶことにした。

「結局今年もダメだったみたいね。アカリまで寝ちゃってるし…」

「今日はいろいろ大変だったからね。なんだかんだで楽しかったけど」

ハヤテの微かな笑い声に反応したのか、カナエが声を漏らす。ちなみに姉のほうはこれでもかというほどぐっすりと深い眠りについている。

「……ん…。…………さ………」

抱えた小さな体を優しく揺らしながらヒナギクは微笑む

「夢でもみているのかしらね」

「ヒナみたいに愉快な夢だったりして」

「ゆ、愉快ってなによ!べつに……」

「ん……。ピアニッシモ・プレシア・ディアス・メンソール大佐……」

「…………」

「…………」

どうやら、ハヤテの想像以上に愉快な夢を見ていたようだ

「誰よ。タバコの銘柄なんか幼稚園児に教えたの」

「さ、さぁ…。てかなんでまたマイナーやつを…」

「どうせ作者の趣味でしょ」

「このSSそんなこと言っちゃう感じでしたっけ?」

カナエの見ている夢について非常に興味を持ったが、それと同時に次女のもの覚えの良さに多少の不安を覚え始めたハヤテとヒナギクだった











































どうも、今回みたいにダラダラ更新していきます。(これから更新するとはいってない
ちなみに自分はタバコは吸いません