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対象スレッド 件名: Re: 解のでない方程式
名前: タッキー
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Re: 解のでない方程式
日時: 2016/03/08 01:08
名前: タッキー

どうも、タッキーです。
いよいよ(ていうかやっと)最終話です。待っていただいた方には、本当にお待たせしてすみませんでした。でもまぁ、アアフタがーあるんですけどね
それでは『解のでない方程式』最終話…
更新!








































彼女の言っていることは、よく分からなかった。

いきなり自分が特別だと言われても、全くと言っていいほど理解ができなかった。

「別に、特別だからどうこうって話じゃないよ。ただ、それを自覚しているのとしていないのとでは大きく違ってくるから、だからガウスもあんなにまどろっこしいことをしてまでヒナちゃんにこのことを伝えようとしたかったんだと思う」

彼女の恋人から受けた質問と、自分がそれに対して答えた回答を思い出す。幸せになりたいだなんて、随分と突拍子もない答えをだしたものだと思う。

「あ、そうそう。ヒナちゃんの幸せはちょっとほかの人と変わっていてね……」

「へ?」

「人の幸せってちゃんと定義があるの。だけどヒナちゃんの幸せはそれとは少しだけずれているんだよね。分かりやすく言えば普通よりもワンランク上の幸せって感じで、そしてそれがヒナちゃんが特別な一番の理由でもあるんだけど……」

レナは言葉を濁してなかなか回答を言おうとしなかったけど、一回ため息をついた後に私と真っ直ぐ向き合った。さっきまでのニコニコとした笑いは消えていて、代わりに優しく微笑んでいた彼女に私は思わず見とれてしまっていた。

















「ヒナちゃんの幸せってね、ハヤテくんを好きでいるってことなんだよ」












































 最終話 『 With you 』

























帰り道、ヒナと僕はあまり話さなかった。多分、というか確実にそれは僕のせいなんだと思う。落ち込んでいる僕の暗さがヒナにまで伝わっているのは明らかだった。

「私って、特別なんだって……」

気を利かせてくれたのかもしれない。ヒナが少し控えめな音量で話しかけてきた。

「レナに言われたの。特別なのに、幸せになるべきなのに…私は謙虚すぎるって。他人を不幸にするぐらいで丁度いいくらいだって…」

「僕も、岳さんに同じこと言われた。ヒナのことをもっとちゃんと見ろって…。でも、その通りだと思う」

僕は隣りにいるヒナのほうに顔を向けた。ヒナも僕のほうに顔を向けていた。

「僕はヒナのことをほったらかしにしすぎたんだと思う。結婚する前も、してからも…。付き合う前なんか思い返したら、岳さんに怒られるのも無理ないことばかりだった…。本当にごめん……」

「なんで謝るのよ……」

「もっと、ヒナに手を差し出しておくべきだったって思ったから……」

「………」

「………」

多分、ヒナのために気を遣うことは正解ではないんだと思う。でも今の僕にはこうすることしか、ヒナのことをしっかり見るための方法が思いつかなかったから……



























また沈黙に戻ってしまった。
























































家に着いた。玄関のドアを開けているヒナに、今度は僕の方から声をかけた。

「ヒナは……」

「ん?」

「ヒナは、本当の意味で僕のことを愛してくれているって岳さんに言われたんだ。でも、僕のほうは違うんじゃないかって……そう質問された」

悲しい顔をさせると思っていたのに、僕の予想とは裏腹にヒナは眉一つ動かさなかった。

「ハヤテはどう答えたの?」

「答えられなかった……。だって、僕はヒナのことが好きだし、説得力ないかもしれないけど…ちゃんと愛している。でも、実際本物なのかは分からないし、岳さんは結局なんなのか教えてくれなかったから………」

「じゃあ、もし本物じゃないって断言されていたらどうしてたの?」

「……何も変わらないよ。本物じゃなかったとしても、僕はヒナの隣にいて………って、ヒナ?」

ヒナは笑っていた。クスクスと、とても可笑しそうに……







とても、嬉しそうに……

















「もうっ…バカね………」








































そう言って笑ったヒナを見て、気づいたことがあった……



































「私の傍にいるつもりなら、悩む必要はないじゃない。そりゃ、本当に愛してくれていたらそれに越したことはないけど、でもそれが全てってわけじゃないでしょ?正解していないのなら、今から答えを探せばいいわよ」

「………」

「それにね、今回のことで分かったの……」


夕方、午後5時くらいだろうか。玄関には窓から夕日が差し込み、幻想的なオレンジ色で染められていた。


「ハヤテは、私のことを誰よりも愛してくれているんだって……
その愛は正解じゃなかったとしても、正しいわけじゃなかったとしても、決して間違いなんかじゃない。じゃなきゃハヤテを愛している私が特別なわけないし、それに…こうして私のとこに戻ってきてくれたのが、一番の証拠よ」


夕陽にあてられているヒナは、すごく綺麗だった。特別な人でないとおかしいと思うほど、絶対に守らないといけないと思うほど……彼女は美しかった




















「ハヤテ……」




























ヒナの笑顔で、気づかされたことがあった































「おかえりなさい」





























































僕は……この人のことが、好きなんだ………

























































                解のでない方程式〈完〉