竜狐の対決 第6章(最終章) |
- 日時: 2013/02/10 07:10
- 名前: 双剣士◆gm38TCsOzW.
- こうして翌日の朝に配られた3度目の号外記事では、新聞部のスタンスは180度変わっていた。そしてその日の午後、選挙投票日の前日に当たる
全校生徒向けの立ち会い演説会の冒頭では新聞部の面々が壇上に登って一斉に謝罪し、桂ヒナギク会長の名誉を回復すべく応援演説を買ってでたのだった。 この行動が浮動票のみならず、消極的ながら日比野文に投票しかけていた生徒たちに与えた影響は絶大だった。こうして本来の支持層を 一気に取り戻した桂ヒナギクは、翌日の投票で下馬評通り圧倒的な票数を獲得し、無事に生徒会長職の再選を決めたのだった。
《これで良かったのよね》 力及ばす落選に至った日比野文陣営であったが、参謀役のシャルナは逆にホッとしていた。勝ち目なんて微塵もないと思っていたから卑怯な手も 使ったし、実現できそうにない公約の連発にも目をつぶったのだ。もしもあのままの勢いが続き、学園一のアホ会長が本当に誕生していたら… …会長自身はともかく、シャルナの神経は擦り切れていたに違いないのだから。 とはいえ、目の前の親友に向かって本音を吐くほどシャルナも薄情ではない。 「残念だったわね、文ちゃん。あと1日投票が早ければ、奇跡も夢じゃなかったのに」 「ふぁい! 来年こそは絶対当選してみせるですよ!」 落選したとはいえ選挙中の手応えばっちりだった日比野文は、ぜんぜん落ち込んでなど居なかった。良かった、文ちゃんが元気でいてくれて… …当初の目的を達したシャルナは胸をなで下ろす。しかし文の意識は早くも来年の選挙戦へと飛んでいた。 「よぉし、来年は頑張るですよ! やっぱり握手券だと支持者の数に限界があったのです。来年は全校生徒に向けて、宿題なしのパラダイスを 打ち立ててみせるのですよ!」 「……どうやって?」 「ふっふっふっ、文には秘策があるのです。あの『夏休みの敵』っていう極悪非道の問題集があるじゃないですか。あれの模範解答を7月末までに作って、 生徒向けの裏ネットに流すのですよ! これを裏の公約に掲げれば当選間違いなしなのですよ!」 「いや、だから、どうやって? あれを1週間そこらで全部解けるほど、文ちゃんって頭良かったかしら?」 「まさか! 文の理想は遊んで暮らせるパラダイスですよ、宿題なんてやるわけないでしょう!」 嫌な予感を感じて半歩後退りするシャルナの腕を、日比野文は瞳を輝かせながらガッシリとつかんだ。 「シャルナちゃん、私たち友達ですよね?」
それから1年後、桂ヒナギク引退後の生徒会選挙に再出馬した日比野文は型破りだが効果絶大な裏公約を掲げ、見事に生徒会長に当選する。 その裏公約がどうなったかは……夏休みの終了直後、生徒会長のリコール規定を求める動議が満場一致で採択されたことから、お察しいただきたい。
Fin.
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