竜狐の対決 第3章 |
- 日時: 2013/02/03 23:51
- 名前: 双剣士◆gm38TCsOzW.
- インド人のシャルナが別の意味でブラックな面を見せた、その翌日。
白皇学院の生徒会長・桂ヒナギクはいつものように、早めに登校して生徒会室で書類の処理を行っていた。別に選挙期間中であっても 生徒会の仕事が減るわけじゃない。それどころか生真面目なヒナギクは今期の仕事を来期に残すまいと、普段にも増して猛烈なペースで 要承認書類に目を通し会長印を押していった。再任することはほぼ確実なのだから手抜きしても問題ないとは言っても、それとこれとは別なのだ。 そんな彼女の耳に、軽やかな携帯コール音が飛び込んでくる。この着信音は小さい頃からの彼女の親友、花菱美希のものだ。 いつも遅刻ぎりぎりの彼女がこんな時間に電話してくるなんて珍しい。 「おはよう美希、今朝は早いのね」 「なに暢気(のんき)なこと言ってるんだヒナ、学校にはもう来てるのか?」 「う、うん、生徒会室にいるけど……一体どうしたの?」 「学園中が大騒ぎなんだよ、新聞部の号外が出ててさ! 今から理沙たちとそっちに行くから!」
【桂会長のご乱行! 剣道場の外でも木刀や真剣を振り回し、襲われた人や建屋は数知れず!】 【放課後はヒーロー? 桂会長、顔を隠して男装し、商店街の催し物に出演との噂!】 【会長権限の私物化? 桂会長の親族が宿直室を占拠! しかも学内での飲酒疑惑すら浮上!】 【副会長の霞女史、秘かに学園敷地の切り売りを画策! 理事一族との繋がりを盾にした横暴の数々!】 【生徒会書記の国語能力に疑念あり! 議事録の記載に『和菓子』と『我が師』が混在!】 【衝撃の事実! 桂会長と春風書記が同人誌の即売会にサークル参加したとの目撃証言! 我らが女神にオタ疑惑?】
ヒナギクの元に届けられた新聞部の号外には、現生徒会にまつわるゴシップ記事が所狭しと並べ立てられていた。それらはヒナギクに近しい人間なら 誰でも知ってる程度の、校則にも法律にも触れない些細な出来事ばかり。しかし彼女と直接の親交がなく、美貌の優等生会長を偶像化しアイドル視している 一般の生徒たちにとっては、その脳内イメージを揺るがすに十分な過激な内容ばかりと言えた。 「明らかな選挙妨害だぞ、これは! ヒナのイメージダウンを狙って誰かが流したに違いない!」 「すぐに反論しろ、ヒナ! この記事を相手方に利用される前に!」 義憤に駆られてヒートしていく理沙と美希、そして彼女らとヒナギクの間に立ってオロオロしている泉。しかしそんな親友たちの慌てぶりを目の当たりに したお陰か、ヒナギクの顔色は落ち着いたものだった。 「反論は必要ないわ。書き方は悪意たっぷりだけど、どれもみんな事実なんだもの……選挙期間中だけ猫を被って皆を騙すなんてイヤだし」 「ヒナ!」 「それでいいの、ヒナちゃん?」 「ええ、こんな子は生徒会長にふさわしくないって皆がそう思うなら、それはそれで仕方ないでしょう……私は私だもの、生き方を変えるなんて出来ないわ」 桂ヒナギクは静かに、だがしっかりと顔を上げて、心配してくれる親友たちに向かって断言したのだった。
彼女の堂々たる態度が功を奏したか。その後も生徒会に寄せられる投書は大半がヒナギクへの励ましの言葉で、幻滅した旨の意見は十数通に留まっていた。 ヒナギクたち現生徒会への支持は以前ほど磐石ではなくなったものの、なおも確実に過半数を維持する勢いを保っていた。 だがヒナギクたちが反論しなかったことに味を占めた新聞部は、さらなるゴシップを求めて学内外を駆け回った。そして彼らの活動とシャルナの放つ毒牙とが 結合した結果、3日後の朝には新たな号外記事が白皇学院の生徒や教職員たちにばら撒かれることとなった。その記事は学院全体に大パニックを引き起こすに 十分だった。
【桂会長にオトコの影? 立ち入り禁止のはずの生徒会室にお気に入りの男子生徒を連れ込み、風呂まで使わせていた疑惑が急浮上!】 【ヒナギク会長に隠し子疑惑! 学内で公然と『ママ』『パパ』呼ばわり! お相手は例の男子生徒か?】 【桂会長、隠し子を伴い男子生徒と一つ屋根の下で暮らしていたとの目撃証言! そこには某芸能人Rの姿も! 天使は地に落ちてしまった!】
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