Re: 鬼狩りの一族ノ弐 |
- 日時: 2013/07/14 21:38
- 名前: ネームレス
- 第四十六話・ぶっちゃけここだけやりたかった
さあやっちゃいましょ!キスシーン!
「ちょっと待って!ぶっちゃけ見る人はいないだろうけど本当にキスシーンだけやる気!?」
はっ。 何を今更。
「大問題ですよ!というか、輝雪の許可無しにキスなんて…」
「わ、私は大丈夫よ。ハヤテくんは?」
「え?い、いや僕は」
「「………………」」
おーい。そこ二人。ハムと会長さーん。顔、顔。
「…もう、いいんじゃないか?」
和也が諦めたとこでさっさとやりましょー!
「「「「「「ええええええーーーーーーー!?!?」」」」」」
本編・少年少女の物語〜魔王の騎士編〜
「……旅が終わったら、もう会えないのかな」
「……うん」
「……もう!」
約3時間に及ぶ内容超圧縮劇もいよいよ終盤。一番の見所、エミル(inハヤテ)とマルタ(in輝雪)のキスシーンまできていた。 輝雪の迫真の演技は会場を盛り上げ、ハヤテも弱気と強気の二重人格の主人公を堂々と演じていた。
「どうしてそんな冷静な顔でそんなこと言うの!こんなに長い間一緒にいたのに、結局私のこと……」
「マルタ!あの……そういうつもりじゃ」
輝雪は主人公に恋する積極的なヒロインの役を完璧にこなす。 ハヤテは弱気な主人公の時はまさにはまり役で、自然とセリフが出てくるようだ。 だが、次第にボロが出始める。 次の瞬間、輝雪がハヤテに抱きつく。
「エミル……!離れたくないよ!」
このシーンは最終決戦前のシーンだ。主人公は最終決戦でヒロインとは二度と会えなくなるかもしれない。そのため、主人公に恋心を抱くヒロインは主人公と離れたくない。 輝雪はそんなヒロインの心情を完璧にトレースし、泣きじゃくりながらセリフを言っていく。見事としか言いようが無い…のだが、
「輝……マルタ……」
ハヤテは練習でもあったシーンだと言うのに、本番と練習はやはり違うのか、危うく輝雪本人の名を言いかけてしまう。
(ちょっと!名前間違えないでよ!ちゃんと役をやりきりなさい!)
(ひぃぃ!ご、ごめん!)
密着状態から輝雪は器用にハヤテを怒鳴る。観客からばれないようにやるのはもはやプロの手際だ。 まあ、アイコンタクトで行っているわけだが。ある意味一番凄いのはこの二人の親和性にあるかもしれない。
「エミルが精霊だろうとなんだろうと、私……いつも一生懸命な君が好きだよ」
ここでマルタがエミルに笑いかける。実際には輝雪がハヤテに、なのだが、細かい事は気にしない。 その微笑みに、多くの男性が心奪われたとか。
(う、うわぁ……)
ついでに、ハヤテも赤面している。 そのせいか、空白の時間が生まれる。
(ハヤテくん!セリフ!)
(あ!)
だが、ハヤテは咄嗟にセリフが出ない。
(しょうがない。私の口を見て)
(え?)
輝雪が観客にばれないようにハヤテに口の動きを見せる。 というのも、アイコンタクトだけじゃセリフを伝えきれなかったのだ。
ぼ ぼ く も ぼ く も ま る た が
(あー!そうだった!)
完全に教えてもらって途中で想い出すこともなかったのだが、きにしてはいけない。
「……ぼ……僕も……。僕も……マルタが……」
輝雪がふと緊張を緩めた瞬間、すぐに慌て出す。 ハヤテは気づかない。なぜ輝雪が慌てるのか。 後半はセリフを覚えていたらしく、ちゃんと言えるのだが、その後の事は覚えていなかったらしい。 輝雪の目に覚悟が宿る。
「いつも僕のことを支えてくれるマルタが好……」
(あれ?この後のセリフは)
この後のセリフを思い出せないハヤテは焦ってしまう。 だが、それは仕方ない。ここでのセリフは“もう無いのだ”。 この場面のラストを飾るのは、
「ん」
「!?!?」
輝雪がハヤテの唇を自分の唇で塞ぐ。 スポットライトが二人を照らし、幻想的な空間を作り上げる。 顔を離した二人の目の中には、それぞれ顔を真っ赤にした相手の顔が映っていた。
舞台裏 コングラッチレーション!!!
「「///////」」
おお、見事に真っ赤だぜ。
「ずーるーいー!」
「き、輝雪!なにも本当にキスするなんて!」
「だ、だって〜///」
「大丈夫かハヤテ」
「…は、はい///」
「まあ、その、なんだ。お疲れ様、綾崎」
「くー!よくも私の綾崎をー!」
ゴスッ
「大丈夫そうだな」
「ええ、まあ」
いやー、やったやった♪おつかれ!
「「むうーーー!!」」
「うぅー!///」
輝雪が表情崩すなんて珍しい。 さてさて、満足したとこで学園祭は終わったー!
「「「「「「ええええええええええええええ!?!?」」」」」」
次回からバトルパートで一気に最終回まで滑り込みたーい!
「「「「「「ええええええええええええええ!?!?」」」」」」
それではまた!
「「「「「「ほんとうに終わった!?」」」」」」
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