文章チェックフォーム 前画面に戻る

対象スレッド 件名: 聖母、健在 プロローグ2
名前: 双剣士
誤字を見つけたら
教えてください

悪戯を防ぐため
管理人の承認後に
作者に伝えます
誤った文字・語句 
          ↓
正しい文字・語句 
【参考】対象となる原文

聖母、健在 プロローグ2
日時: 2022/01/30 09:08
名前: 双剣士

 姫神がいきなり姿を消した。お屋敷の中も学校も普段の行先も全部探したけど見つからない。もしや、もしや、夕べ私が癇癪を
起こして怒鳴ったことで愛想を尽かされたのではないか? 姫神はもう、私のところに戻ってくる気は無いんじゃないか……?
 ちいさな主人がそう思い悩んで落ち込んでいるのをマリアは見ていられなかった。黒服たちの捜索に引っ掛からないんだとしたら、
おそらく姫神君の行き先は……驚異的な洞察力で捜索先を絞りこんだマリアは泣きじゃくるナギの面倒を咲夜と伊澄に任せ、
雨と嵐の吹きすさぶその場所へと身を投じたのだった。

 ……そして、その甲斐あってマリアは三千院家本宅の正門前で、探していた少年執事と再会する。その姿は彼女の知るものとは
大きく異なっていたけれど。
「姫神君……ですよね?」
「人違いですよ、綺麗なお嬢さん」
 とぼけて目の前を通り過ぎようとする青年をマリアは呼び止める。
「嘘です。ずっと一緒に暮らしてきた私にはわかります。それに……そんな右手を持つ人なんて、他には」
「……かなわないな、マリアさんには」
 自分の右手に宿るロケットパンチ……遠い過去の過ちの証を目にして嘆息した姫神は、昨日までの少年執事の口調に戻して
ずぶ濡れの少女へと向き直った。

「ちょ、ずぶ濡れじゃないですか。そんな格好だと風邪をひいてナギにうつしてしまいますよ。話は後です、一度中に入って
 お風呂に入ってから……」
「ナギが必死で探しています。戻ってきてくれますよね、姫神君」
 青年のごまかしに耳を貸さず、マリアは一番大事なところで言質を取ろうと詰め寄った。その一直線な彼女の視線を受けて
姫神は作戦失敗を悟った。この人には逃げ口上は通じない、と。
「すみません、もうあのお屋敷には戻れません。こんな姿に変わったことには目をつぶってもらうとしても、ね……ナギには
 適当に言っておいてください」
「そんな勝手な。あの子は自分のせいで貴方が出ていったと思ってるんですよ、誤解を解く責任があるでしょう?」
「ついさっき、お爺さんと仲違いしてしまいましてね。もうこの家の世話になるわけにはいかないんです」
 一瞬絶句したマリアだったが、その隙に目の前を通り過ぎようとする青年の左腕を咄嗟に固くつかんだ。
「お……お爺さまは私が何とかします! そんなのいいから、今すぐナギのところへ!」
「どの面下げて? 僕はお爺さんの前で、シン・ハイエックの娘なんてどうなっても構わないって言ったんですよ!?」
 それはナギのもとで楽しく暮らしていた少年執事の口から出たとは到底思えない、痛烈で残酷な言葉であった。

(続く)