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対象スレッド 件名: Re: リレー小説〜ハヤテとアテネのラブコメ〜
名前: 双剣士
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Re: リレー小説〜ハヤテとアテネのラブコメ〜
日時: 2022/03/03 00:12
名前: 双剣士

《話題で何とかしろって? 無茶しやがって……》
 綾崎ハヤテは焦りつつも考えた。体感時間で3ヶ月以上も考え続けた。しかしどう頑張っても名案など浮かばない。そもそも出会った時点で
  『こんにちは、ハヤテ』
  『あぁ、今日も可愛いねアーたん、大好きだよ♪』
  『……(ぽっ)』
と天然ジゴロらしく答えておけばノープロブレムだったのに、柄にもなく
  『こ、こんにちは。天王州理事長』
なんて堅苦しい答え方をするから向こうの態度が硬化するのだ。その後も修正の機会はあったはずなのに
  『こんな場所でどうかなさいました?』
  『えっとその…ですね。ヒナギクさんが〜』
などと敬語を使いつつ別の女生徒の名前を出してしまうという大失態。これまで一度もしてこなかった敬語や理事長呼ばわりを繰り返した
ことが災いして、目の前の少女からは絶対零度のエターナルフォースブリザードが吹き付けてくる有様である。ここまで悪化してしまった
状況を言葉なんかで取り返せるわけがない。下手なことを言おうものなら戦術核やサーモバリック爆弾が投下されてもおかしくない一触即発の
状況なのである。ハヤテは悩みぬいた末に……リレー小説の前提をひっくり返すことにした。


「決闘しよう、アーたん」
「……はい? あなた正気ですの?」
「君が何を怒っているか分からないし、どうすれば許してもらえるかもわからない。でも言葉で思いを伝えられないときは、剣で気持ちを
 重ねるのが僕たちのやり方だろ……小さいころ、君が教えてくれたんじゃないか」
「話の脈絡が全く見えないのだけど……」
 アテネの戸惑いに比例するように、絶対零度の凍気が少しだけ緩む。この機を逃さずハヤテは畳みかけることにした。廊下に飾ってあった
2本の模造剣を取り外して1本を彼女の前に放り投げる。ここまできたら理屈じゃない、勢いのままにわがままに、僕は君だけを傷つけない!
「ふ〜ん、逃げるのかいアーたん。力でかなわないから言葉で言い逃れようってわけだ。ずいぶんお上品になったんだね、理事長様ともなると」
「……なんですって……」
 再び凍気が鋭さを増し、アテネの背後に数十本の長剣が浮かび上がる。しまった、煽りすぎたか……ハヤテの背筋を一筋の冷や汗が駆け下りる。
だがアテネは背後の長剣には目もくれず、とんでもないスピードで目の前の模造剣を拾うとハヤテの眼前に肉薄してきた。
「なめた態度を叩き直してくれますわ、あの頃のようにね!」


 そして。数十条の剣同士の打ち合いとその間に交わされる熱い呼吸を経て、廊下の気温は氷点下から常温へと徐々に戻っていった。
もとより互いに殺意など持っていないし、譲れない口喧嘩のネタがあったわけでもない。身体を動かし汗と視線を交わし合うことで互いの心の
モヤモヤは次第に薄れていき、そこに人生で一番楽しかったロイヤルガーデンでの思い出が上書きされる。やがて2人の表情は輝きを取り戻し、
剣戟の合間に楽しげな会話が混じるようになった。そしていつしか、互いの成長を称賛する言葉まで出て来る程に2人の関係は回復したのであった。
 なにか大事なものを忘れたような気はするけれど、細かいことは気にしない。ラブコメらしい大団円へとフルスロットルで飛び込もうとしていた、
ちょうどその時。
「ちょっと、生徒会室の前で暴れないで……あなたたち、チャンバラしてるの? だったら私も混ぜてくれない?」
 笑顔の2人の間に割り込んできたのは竹刀を手にした生徒会長であった。こと男女間の機微に関する限り、ヒナギクの洞察力は男子小学生並みに
劣化してしまう。これが彼女の誕生日、3月3日の朝の出来事なのであった。

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誰も続きを書いてくれないようなので、暫定最終回っぽくまとめてみました。
続きを書いてくれる方は気分を一新してどうぞ!