Re: 鬼か人か 〜第一章 曙光のひとかけら |
- 日時: 2019/04/25 22:19
- 名前: どうふん
第7話は当方の世界観に基づくものですが、かなり強引なのはわかっております。
「ハヤテのごとく」の最終回周辺、ヒナギクさんに救いはあった。西沢歩のセリフは絶品だった。あのクズ両親に天誅は下った。 そしてナギは成長し、ハヤテやマリアさんも戻ってきました。良かった良かった。
ということを踏まえたうえで言いますが、根本的に生活力をもたないナギが、なぜゼロからスタートしてあれほどの成長ができたのかは分かりません。やはり支えてくれる人物がいたんじゃないでしょうか。 そしてマリアさん。聡明ではあってもちょっと天然含みで、的外れなこともあるマリアさんが本当にあれほどの計算ができたのでしょうか。読み違いもあっただろうし、結果オーライの要素が強かったのではないかな・・・。
第8話 : そして・・・再び立ち上がる
「ナギちゃん、お久しぶりー。相変わらず元気そうだねー」 「ホントにそう思うのか、お前」 「え、ええと。ハヤテ君と同棲始めたって聞いて、幸せ一杯だと信じて疑わなかったんだけど・・・」 「それは私の顔色を見て判断しろ」 「ええ・・・。だってナギちゃんはいっつも不機嫌そうにしてたじゃない」 「よ…余計なお世話だ」 ナギと西沢歩の再会はこんな形で始まった。先日のクリスマスパーティに歩は不参加だった。その日、生涯初の彼氏と初のお泊りデートをして初体験と初物尽くしで、今なお余韻に浸っていた。 「クリスマスパーティ、行けなくてごめんねえ。思えばあのクリスマスの夜、彼の眼はいつにも増して優しくて・・・、それでいて獣のように・・・」 エヘ、エヘと呆けたようなニヤケ顔が止まらない歩とは対照的にナギはしかめっ面だった。
「で、お前に訊きたいんだが」 一人暮らしを始めたナギはその当初何度も挫けそうになったことがある。そんな時、近くでルームシェアしていた千桜やカユラに聞いた。自分を助けるため、どれだけヒナギクが必死に戦い、歩が葛藤したのか。多少の脚色はあるのだろうが、ともすれば投げ出したくなる自分に鞭を入れることができた。 だが、今訊きたいのはそこではない。ヒナギクの性格を考えればその行為はまだ理解できる。だが、歩がなぜハヤテの告白を断ったのか。それを知りたかった。 「だってあれ・・・本当のことじゃなかったし。一年前にもしかしたらこうなっていたかもしれない、というだけの話でしょ」何でそんなことを訊くの?といいたげだった。 「あたしにとっては、ハヤテ君も大切だけど、ナギちゃんが遠くに行っちゃうのは嫌だったし・・・」 「お前・・・、そんなにまで私のことを・・・。ハヤテやマリアだけじゃない。私はそんなにまで皆から愛されているのか」ナギの眼が潤んでいた。 歩はナギの発想が飛躍していることに気付いた。間違いではないがはっきり言ってそこはそれほど重要なポイントではない。 「あ、あの・・・それだけじゃなくてね」ここで正確さを求めるのが歩の愚直なところ。 一年前に強制的にリセットされてナギだけでなくヒナギクやアリスと一緒に過ごした一年間がなくなるのは嫌だった、という理由もあるし、そもそも当時の事態が本物でない以上、いつ現実に戻されるかわからない、ということもわかっていた。ついでに言えば、本当はちょっと惜しかったかな、という気はしている。 だが、どこまでナギに伝わっていたのかはわからない。とにかくナギは固く拳を握りしめ、文字通り再び立ち上がった。 「私はお前たちからそれだけ愛され尊敬されるにふさわしい人間になってみせるぞ。まずは私のために命を賭けて戦ったヒナギクを必ず助け出す。借りは返すぞ」 (おお・・・。あのぐうたらお嬢様のナギちゃんが・・・まるで少年漫画のヒーローみたいなことを言っている) もっとも助け出すのはナギではなくハヤテということだろうが、歩は素直に感動した。 「ナギちゃん、頑張ってね。必ず私の親友を助け出してね」歩もまた、ヒナギクの失踪に心を痛めている一人だった。 「おお、任せておけ」大見えを切ったナギは駆けだそうとして、立ち止まった。
「ところでハムスター。お前、キスしたのか?」 「え、あたし、彼とは最後まで・・・。思えばあのクリスマスの夜、彼の眼はいつにも増して優しくて・・・」 「いや、それはもういい。夢の中でハヤテとキスしたというのは本当か」 「え、何のことかな・・・?いや、キスした、しましたよ。だけどナギちゃんももう何回も・・・」 「うるさい、お前のことなんて知るかあ!」 考えてみれば、再会した夜にキスし損ねて、それ以降まだ一歩も進んでいなかった。
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