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対象スレッド 件名: Re: Colors
名前: タッキー
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Re: Colors
日時: 2017/07/22 01:13
名前: タッキー

「なんで…、なんで……!」

その足で大地を蹴りつけ、その身体で空を切り裂く。
どれくらい走り続けただろうか。どれだけ進んでも然程変わらない風景に飽き飽きしてくる。相変わらず枝葉が雨のごとく降りかかり、それを回避し、破壊し、ときには受け止める。

---ったく、どれだけ広いんだよ

そう脳に浮かんだのもつかの間、頬を切り裂く銃弾によって言葉は口に届く前に消散する。流石に連発はしてこない。
てか、人に向けて麻酔銃をブッパするのは違法ではなかっただろうか。違法だった気がする。違法であってほしい。
この状況を本当にざっくりと説明すると追われている。もう少し詳しくいうなら黒服で強面の大勢の男たちに追い回されている。別に借金が1億5千万ほどあったり、どこぞの金持ちのご令嬢を誘拐したわけじゃない。一応金持ちの敷地内には入っているのだけど、もちろん何か盗んだりとかは一切していない。
ここで自分が追われている理由を思い返してみる。たしか練習試合の助っ人に呼ばれて、集合場所が会場の白皇学院で、時間は部長のミスで教えられていなかったから適当な時間に行ったら案の定他の部員はいなくて、そして学院に足を踏み入れた瞬間に黒服の人たちに「あなた、不審者ですね?」とか言われて

---オレ悪く無くね?

そう思うと同時に、ずっと言おうとしていた言葉が喉を通る。初めてこの学院に来た人ならきっと理解してくれるはずだ。なぜなら、普通の学校には絶対にいないのだから

「なんで、なんで学校にSPがいるんだよーー!」

やっと音になったその言葉は銃声にかき消され、その後しばらくしてから青年の逃走劇は幕を閉じた。もちろん、非平和的な幕引きで

















   第2話 『そして青年はさらに大人になる』




















やっとのことで見つけた小屋に身を隠す。SPたちには見られないように慎重に、しかし素早くドアを開きその内部へ身を潜り込ませる。足跡が通り過ぎていくのを確認してから、しばらく忘れていた普通の呼吸をし、それからやっと深く息をついて精神と身体の両方を落ち着かせる。まずは状況を確認をするべきだろう。時間に関しては大分ロスしたとはいえ、学院には大分余裕をもって来ている。きっと問題ないはずだ。それよりも問題は場所だ。広大な敷地だということはさっき、文字通り嫌というほど思い知らされたので、少なくとも場所ぐらいは把握しておかなければ確実に迷ってしまう。いや、現時点ですでに迷っている。

「てか、白皇内での集合場所も聞かされてねえし。ま、剣道部の試合だから道場にいけばいいか」

それならまずは案内してもらうためにこの学校の生徒を見つけなければ、とそう考えた矢先に一人の少女と目が合う。
運が良いことに、この小屋には一人の生徒がいた。運が悪いことに、今まさに着替えようとしてブラウスが丸見えになってしまっている女子生徒が

「………」

「………」

お互いにベタな展開だな〜、とか思いながら、お互いに黙り込む。重い空気の中、少女はいそいそと上着を着こみ、意外にも冷静な面持ちを青年に向ける。

「あなた、学校の生徒じゃないよね。だったら用事で来た他校の生徒ってことでいい?」

「ま、まぁ、そんなとこだけど…」

「それじゃ、おおかた正規の手続きなしに入ってSPに見つかって、そして追われた挙句ここに逃げ込んだってところでしょ?」

鋭い洞察力だ。さっきまでの状況からここまで冷静に状況を分析できる少女は大分肝が据わっていると見える。ひとまず誤解無く、安全に解決できそうだと判断した青年はほっと息を落とす。

「とりあえず、この学校に用があるんでしょ?」

「そうそう、剣道の練習試合があって…」

そこで青年ははじめて、少女が着こんだ衣服が偶然にも剣道着であることに気づく。

「そう、なら案内するね。丁度ワタシ、剣道部の部長だから」

彼女が部長をやっていると公言したことに違和感はなかった。先ほどの流れから分かる冷静で正確な判断力もそうだが、少しだけ見えてしまった彼女の上半身には無駄な贅肉は一切なく、引き締まったいい身体をしていた。けっしてイヤらしい意味ではく。

「で、それよりも先に言うことがあるんじゃない?」

「え?」

「え?じゃなくて、女の子の着替え見たんだから、事故でも一応言うことがあるでしょ?」

ここですぐに謝罪の言葉が出てきたならば、この事件はどんなに平和的に解決しただろうか。しかし、現実はそうはいかない

「いや、まぁ慎ましくてもその方が良いっていう人もいるし、気にすることないんじゃないか?」

その言葉に、思わず青年の口をついたその言辞に、少女は急速に顔を赤く染める。
まずいと直感したときにはすでに遅く、少女の飛び蹴りは綺麗な形で青年の顔面を歪めていた。




































「はぁ〜っ、もう最悪っ!!」

綾崎アカリは激昂していた。その程度はというと、まさに、実は宇宙人の地球育ちの主人公が、親友を強敵に殺され、スーパ―なんとやらに変身するぐらに。
一応律儀に案内して、「試合ではギタンギタンにするから!」と、道場内にいる部員全員に聞こえる程の大声で啖呵を切ってから青年を待合室に放り込んだ後も、彼女の怒りは決しておさまらなかった。落ち着くために竹刀を何度も振ってはいたが、切っ先が空を切り裂くたびに先ほどの青年の発言を思い出し、逆にイライラしてくる。素振りをやめてもやることがないので、ただイライラするだけでそわそわと落ち着かない様子を周りに見せているだけだった。

「なに?恋でもしてるの?」

「違うわぁあああ!!」

応援にきた親友からの一言にも目をギラつかせて反応する。アカリの親友、霞アヤカはそっとしておいた方が良いと判断し、差し入れのスポーツドリンクだけを置いて部屋を後にする。もっとも、それにすらアカリは気づいてはいなかったが。










































鋭い殺気が肌をビリビリと刺している。たった一人に向けられているはずのそれは道場全体に届き渡り、重く緊迫した空気を造出していた。

「なぁ、お前あの娘になんかしたの?さっきからめっちゃ睨んでるけど」

「いや、まぁ…少し……」

向かい側に座る少女の視線はそれこそ人を殺せるのではないかと思うほど先鋭で冷たく、しかし明らかに激情という熱をもっている。流石に青年も反省はしているが、だからといって罪が免じられたわけではない。よって練習試合の間中青年は彼女の殺気を一身に受けるほかなく、せめて彼女と試合をするようなことにならないように祈ることしかできなかった。

「大将戦。両者前へお願いします」

まぁ、助っ人のはずなのになぜか大将をやらされている青年の願いが届くはずもないのだが。

「審判、ちょっとタイム」

「いや剣道にタイムは無いん…」

「タっ!イっ!ムっ!!」

「はいはい……」

おそらく審判は彼女の友達か何かなのだろう。やけにあっさりと我が儘を通し、今まさにドスドスとこちらに歩み寄ってくる少女と、もう帰りたいと思っている青年をどこか呆れたような表情で見ている。できれば助けてほしいのだがと思ったが、もう目の前まで来ていた少女によってアイコンタクトは見事に阻止される。

「あんた、全力でかかってきなさい」

面越しでも分かるほど彼女は険しい顔をしている。素直に頷くほかなかった

「全力で叩き潰してあげるから」

そう台詞を残して再び定位置に少女は戻る。

「もう告白は終わったの?」

「だから違うって!!」

お互いに礼をしてからしゃがみ、竹刀を相手の切っ先に向ける。剣を構えた少女の形貌はさすが部長といったところか、なるほど隙がない。今更だが、剣道に関しては青年は実は素人である。学校のトレーニングルームで筋トレしていたところをたまたま部長に見られて「いい筋肉だ。よければ助っ人に来てほしい」とかいう超理論で今ここまで連れてこられている。しかし、もし不甲斐ない負け方でもしたら、目の前で未だに殺気をギラつかせている少女はさらに怒ることだろう。ある程度良い打ち合いをして、そして綺麗な一撃を打ち込ませることができれば、もしかしたら満足してくれるかもしれない。無論、それだけの技術は何一つ持っていないので無理な話ではあるが。

「では……」

もう青年にうまく彼女を静める方法を考えるだけの時間はない。できる限りの全力で彼女に応戦することのほかには。

「はじめっ!」

早々、少女が一気に間合いを詰める。それはまさに刹那で、気づけば青年の体は勝手に動いていた。必ず入っていたはずの一閃を紙一重で躱し、少女の放ったそれよりもさらに素早く鋭い閃で彼女の胴を穿つ。文字通り、勝敗を決したのは瞬きする間の出来事だった。

「………」

「………」

「い、一本……」

その光景を目の当たりにした全員が息を呑むなか、青年はふと我に返る。「やってしまった…」と。
少女の方から何か言ってくることはなかったが、一礼を入れる時に涙目でこちらをさっきより強く睨んでいるのが見えてしまい、青年はあらためて自分の行いを後悔する。というより青年自身、自分に剣道の才能があったことに驚いている。
いつか剣をしていた時があったのだろうか。いや、それよりも…

「………」

痛いほどの殺気が、さらに鋭さを増して肌に刺さる。練習試合が終わるまでこの圧拉がれるような空気をどうやって耐えるか、それを考えるほうが先決だと青年は判断した。















































練習試合のあった次の日、12月29日の午後3時前。綾崎アカリはバイト先の「喫茶どんぐり」のドアを引く。相変わらず店内に人はいなく、しんと静まっている空間には小洒落た音楽がまるで空気のように馴染んでいる。バイトが楽なのは大変ありがたいのだが、ここまで客が来ないとお給金を貰っている身としては逆に罪悪感が湧いてくる。

「お疲れ様でーす」

少し大きめに挨拶を残す。厨房か、それとも二階で伝票の整理でもしているのだろうか。もしかしたら家のほうで休んでいる可能性もある。
ハヤテから聞いた話では、この喫茶店は元々店のみだったらしいのだが、新しいマスターが裏に家を建ててそのまま店のほうと連結させたのだという。だから店裏の家とこの喫茶店はほとんど一つの建物で、行き来も簡単にできる。かくいうアカリもここのマスターである岳たちとは家族ぐるみの仲なので、バイト終わりなどはしょっちゅう遊びに行ったりもしている。

「ていうか、本当に家のほうにいるのかな?」

返事のない店内にアカリは少しの不安を感じ始める。いてもいなくてもあまり問題ないとはいえ、仕事を丸ごとすっぽかしているのは正直どうかと思う。このままでは埒が明かないので一応エプロンだけ付けてから店内をしらみつぶしに探すことにした。もっとも、二階か厨房かトイレの少ない選択肢ではあったが。

「あの〜、岳さ〜ん?」

取り敢えず一番近かった厨房から顔を覗かせ、そこに一人の人物を発見する。意外にも早く目的を達成できた。できたのだが、アカリが探していた岳は黒髪の麗人であり、厨房にいる人物は薄い桜花弁が溶け込んだような綺麗な白髪をしている。髪色で思い当るの岳の妻であるレナだが、彼女は長髪であり目の前の人物は短髪である。ていうか、そもそも男だ。
アカリの脳にある種の予感がよぎる。良い予感ではなく、悪い予感が

「いやいや、流石にちょっと……」

「あ、父さんに用なら、今は二階に……って」

悪い予感というのは大抵当たってしまうものである。
その髪色をアカリは知っている。その声を持つ少年をアカリは覚えている。忘れもしない、羞恥と屈辱で塗り固められたつい昨日の記憶。
もう二度と会うことはないと思っていた人物、もう二度と会いたくないと思っていた青年、竜堂シンとの再会を綾崎アカリは見事に果たした。

「な、なんでアンタがここにいんの!!」

「なんでって、家の手伝いだけど」

アカリ自身、練習試合のあとに名簿を見て彼の名前を知ったときから、なんとなく予想はしていたのだ。
竜堂なんて苗字はそうそういるものでもないし、加えてあの髪の色。この喫茶店のマスターである竜堂の者なのは決定事項だった。だとすれば彼がここで手伝いをしているのも決しておかしな話ではない。アカリが認めようとしなかっただけで、これが事実なのだ。

「お、アカリちゃんもう来てたんだね」

するとふいにアカリの後ろから、シンと同じ髪色をした綺麗な女性が厨房に顔を見せる。アカリはここぞとばかりにその女性、ここのもう一人のマスターであるレナに助けを求めた。

「れ、レナさん!聞いてくださいよ!!」

「ん〜?」

それから一部始終を話し終え、ついでにシンに対するヤジもこれ以上ないほどに飛ばしたのだが、聞き手のレナはニコニコとしているばかりで、挙句に返ってきたのは「たしかにそれはシンが悪いね〜」と、のほほんとした感想だけだった。アカリとしてはもう少し息子の素行を叱るなりなんなりしてほしかったわけだが、結局軽い訓戒だけで済んでしまう。

「ま、シンも反省はしているみたいだし、これから一緒にお店を手伝ってもらうことになるわけなので、お互い仲良くね」

仲良くと言われても、正直どうしたらいいものか。ふとシンの方を見てみるとあろうことか欠伸をかいている。
アカリのイライラとこれからの不満はむくむくと膨張するばかりだった。




































「あ〜疲れた」

崩れ落ちるような形でリビングのソファベッドに身を委ねる。結局はあれから良くも悪くも何もなく、お互いにほとんど話さないまま平和をバイトを終えたのだが、なぜかいつもの倍以上働いたような感覚さえしてくる。

「お疲れ様。あの店が忙しいなんて珍しいわね」

頭後ろからヒナギクが労いの言葉をかけてきてくれる。料理でもしているところだったのだろうか。台所からの良い香りとエプロン姿の母親を見てアカリはふとそう思った。今日のことを話そうかとも考えたが、長くなるし、思い出すだけで疲れてくるので話題を変えることにした。

「ねぇ〜ママ。今日のご飯なに〜?」

「ん?今日はオムライスよ」

「オムライス!!」

さっきまでの気怠そうな表情は一瞬にして消え去り、どこから力が湧いてくるのかアカリは勢いよくソファから飛び起きる。

「ほら、もうすぐできるから手を洗ってきなさい」

「はーい!」

浮足で洗面所へ向かうアカリを、既に食卓について夕食を待っていたハヤテが朗らかな表情で見送る

「まったく、いつまでも子供っぽいっていうか…」

「ま、ハヤテもアカリとあんまり変わらないけどね」

「え!?僕そんなに子供っぽい!?」

両親の痴話を横目に次女の綾崎カナエはひそかに腹を空かす。今日も綾崎家は平和である










































































































はい、2話目でーす(←なんかやる気なくなってきた
いやさ、オリキャラばっかりだとね、なんかモチベーション下がるわけですよ。なぜか。
なので最後の方にちょっとだけ綾崎家の日常的なのが入っています。これからオリキャラのみとかたくさんあるんだろうなぁ〜。はぁ〜
てことでオリキャラのプロフィールでーす





綾崎 愛虹(アカリ)

年齢 16才

誕生日 12月12日

血液型 A型

身長 160.6p

体重 47.4s

家族構成 父,母,妹

好き、得意 家族,オムライス

嫌い、苦手 暗い場所,怖い話


おなじみ(?)アカリちゃん。今作の主人公的な立ち位置の一人。相変わらず背は高め。だけど胸はあんまり無い(多分遺伝
1話でお話してたけど、ヒナさんと同じで一年生で生徒会長やってます。天才というよりかは努力家。ただしお堅いわけではなくむしろラフな性格をしているので学園の人気者。ファンクラブもあったりだとかするかも。
そして家では家族大好き人間。高校生になってヒナさんとはしょうもない言い争い(主にハヤテのこととか、胸のこととか)もしていますが、なんだかんだ言って母親が一番好きだったりする。相変わらずハヤテには甘えっぱなしだし、妹は可愛すぎてしょうがないしでなんだかんだ楽しく過ごしてます。まぁ、今作はそういうところを書けたらって思ってます。









竜堂 心(シン)

年齢 17才

誕生日 10月14日

血液型 A型

身長 181.8p

体重 64.2s

家族構成 父,母,妹ふたり

好き、得意 特になし

嫌い、苦手 特になし


実はアカリちゃんとは1歳年上。そして背が高いイケメンで細マッチョ。もうビジュアルだけなら無敵。学校で筋トレしてたのは趣味とかじゃなくてただ単に習慣になっているだけです。
それはそうとして実は彼も主人公的な立ち位置だったりする。サブ主人公的な?アカリちゃんとか妹たちとかともっと絡ませたい。
物静かで、あまり友達はいないです。一応転校してきたっていう設定あるしね。ちなみに超理論の剣道部長とは今後仲良くなっていくかも。部長っていっても大会終わってるので同学年なので。
まぁ、特徴としてはイケメソぐらい。着やせするタイプで脱ぐとムッキムキ。終了。
剣道ができたりしていたのはまぁ、色々とお話があるんですが、多分やらないんじゃないかなぁ〜って。あくまでハヤヒナ後日談ですので(とか言って思いっきりオリキャラブッ込んでいくスタイルww
お店のお手伝いでアカリちゃんと一緒に働いているので多分ちょくちょくでてきます







ちなみにちらっと出てきた霞アヤカちゃんなんですが、苗字からお察しの通り愛歌さんの娘さん。彼氏の梢くんは執事だから婿養子なんじゃないかなぁ〜って(あと苗字分かんないし
名前の漢字表記は「愛彩夏」。珍しく普通の漢字。だけど「愛」を入れるのは忘れない徹底ぶり(ドヤァ
まぁ、おいおいちゃんとプロフィール載せます。取り敢えずアカリちゃんの親友で生徒会副会長です。もちろん同学年










なんかオリキャラどんどん増えてくね。でもまだまだ増えるよ☆
あとオリキャラのイメージとかフリー掲示板に載せてます。よかったら見てってくださーい
それでは