Re: 解のでない方程式 |
- 日時: 2015/08/02 02:20
- 名前: タッキー
- どうも、夏休みに入ってダラダラしているタッキーです。
あ、ちなみに前回からでてきたリナちゃんですけど、一応イラスト載せてます。普通のフリーイラスト掲示板のほうではなくイラスト合同本のほうで載せているので、よかったらそちらも覗いてみてください。キャプションを考えたりなど、絵描きさん以外も参加できますので気が向いたらぜひ(宣伝 それから、載せているリナちゃんは幼女ではなく、一応中学生設定です。双子のルナちゃんは載せてないです(描きたいんですけどね…
それでは、なんだかんだで第5話です。なんとか10話くらいで終わらせられそうです。 ということで… 更新!!
「幸せって、どんな色してるんだろう…?」
「へ?」
「ねぇ、ママはどう思う?」
「え、え〜と…」
突然だった。ヒナギクは自分の娘が口にしたもはや哲学的な疑問に驚いたが、学校でそういう絵の課題でも出ているのだろうと思い、深く考えずに答えてやることにした。
「そうね〜。答えになっていないと思うけど、人それぞれなんじゃないかしら」
「人…それぞれ?」
「そう。例えば私には私の幸せがあるし、アカリにはアカリの幸せがあるでしょ?」
「………」
ヒナギクはそう言ったものの、その話を聞いているアカリは不服そうな顔をしていた。もっとも、彼女がそうしていたのは母親の話がよく理解できなかったからではなく、自分とヒナギクの幸せが別々だと言いまわされたことに納得がいかなかったからなのだろう。それを察したヒナギクはアカリの頭を優しく撫でてあげた。
「拗ねなくたっていいじゃない。どうであれ、私はアカリのこと大好きよ」
「でも…どうせママは自分の幸せはお父さんにあげちゃったからだ、とか言うんでしょ?」
ヒナギクはため息をついた。アカリの母親好きも大概だが、それと同じくらいに父親嫌いもなかなかのものだ。アカリがその父親であるハヤテのことをほとんど知らないというのが大きな原因なのだが、ヒナギクはその状況を作ったのが自分であることを自覚している。彼女は胸が締め付けられる思いだった。
「ほら、また辛そうな顔してる」
「…!」
「どうしてママはそんなにお父さんのこと………」
「………」
それからは何も言わずに黙り込んでしまったアカリを、ヒナギクはそんな彼女をただ静かに抱きしめた。
「ねぇ、アカリ…。幸せって最初から決まっていて、絶対に塗り替えることができないものなんだと私は思う。だからね……」
ヒナギクは娘を抱きしめる腕に少しだけ力を入れ、アカリは複雑な気持ちを抱えながらも母親の言うことをただ黙って聞いていた。
「私の幸せの色も…きっと決まっているの」
第5話 『 Sky-blue Hppiness 』
「生き返らせるって…どういうことよ……」
「いや、そのまんまの意味だけど?」
声が震えているヒナギクに、岳は澄ました顔で肩をすくめてみせた。
「まぁ、もう少し正確に言えばお前の願いを叶えてやるってことだよ。いかにも神様らしいだろ?」
「だから…そうじゃなくて……!」
ヒナギクはすごく混乱していた。岳の提案はたしかに嬉しかった。またハヤテに会えるかもしれないのだ。嬉しくないはずがなかった。ただ、自分たちの事情をすべて知っているであろう岳が、なぜ自分にそんな話を持ち掛けてくるのか見当もつかなかった。
「どうして?……とか思ってるだろ?」
「…!!」
「ま、アカリちゃんも過去に行ってしまったからな。寂しい思いをしているんじゃないかと俺は思ったわけだ」
「え!?アカリが過去にってどういう…!?………っ!!」
ヒナギクはアカリが過去に行って、一ヵ月ほどいなってしまうことをすっかり忘れていた。彼女がまだ高校のときに未来からアカリがきて、それから随分と時間が経ったというのもあるだろうが、やはりハヤテのことがあったのが忘れていた一番の原因だろう。
「なんだ…やっぱり忘れてたのか」
「……」
ヒナギクはうつむき、何も答えなかった。そんなヒナギクに岳はどこかイタズラ気だった口調を緩め、今度は優しげに彼女に質問した。
「で、お前はどうしたいんだ?」
「私…私は………」
ヒナギクが喉まで言葉を持ってきたときだった。突然彼女の後ろでドアが勢いよく開き、その音でヒナギクは自分が言おうとしていた言葉を忘れてしまった。
「おっ!!ヒナちゃん久しぶり〜!!」
いくら妻とはいえ、タイミングの悪すぎる…というか全く空気を読まない登場の仕方に岳は思わずため息をついた。薄い桜色の髪と明るい黄色の目はヒナギクの記憶とまったくといっていいほど変わっておらず、岳の時とは違って、ヒナギクには会話に割って入ってきた女性が誰なのか一目で分かった。
「8年くらいだっけ?ホント久しぶりだね〜!」
「そ、そうね…。レナのほうこそ、久しぶり…」
レナは随分とテンションが高かったが、ヒナギクは状況が状況なだけに上手く親友との再開を喜べず、作り笑顔もどこかぎこちなくなってしまった。だからここで岳がレナに話を振ってくれたのはとてもありがたかったが、当然それだけでヒナギクの心の内が晴れることはなかった。
「なぁ、レナ。リナはどうした?タオル持っていかせたはずだけど…」
「ん?あぁ、半ば無理やりだったけど、取りあえずルナと一緒にお風呂に入らせてるよ。でもまぁ、それよりも……」
岳のほうを向いていたレナはクルリと体を回してヒナギクと向き直り、彼女の浮かない表情を覗き込むように顔を近づけた。
「ヒナちゃんは…また、ハヤテくんに会いたい?」
言い方が変わっただけなのに、少しだけ質問の内容が変わっただけのはずなのに…ヒナギクにはレナの言葉がやけに重くのしかかった。
「そ、そりゃ…会えるのなら……」
「それじゃあ、なんでまた会いたいの?」
「そ、それは……」
レナは優し気に微笑んでいたが、ヒナギクにはそれが自分に情をかけてくれているからでも、ましてや反応を見て面白がっているからでもないことはすぐに分かった。しかし彼女が何を考えて自分に微笑みを向けているのか見当もつかず、そんなレナをヒナギクは正直に怖いとすら思った。
「ねぇ、ヒナちゃん…」
少し間を空けてレナが口を開いたとき、ヒナギクはその声に思わず身を震わせた。
「べつに、ヒナちゃんがガウスに頼み事をするのを止めるわけじゃないけど……
ヒナちゃんは、自分のしたことを理解しているよね?」
「…っ!!」
背筋に走る寒気。フラッシュバックする思い出したくもない自分の台詞。ヒナギクはまるで金縛りにあったかのように、身体が動かなくなってしまった。レナはそんな彼女にそれ以上何も言わず、ただ、怖いくらいに優しげな表情は一切崩さずに一度だけヒナギクの肩をポンと叩くと部屋を出ていってしまった。ヒナギクは一気に力が抜けてしまい、その場にへたりと座り込んだ。
「すまないな…。でもまぁ、今回のレナは大目に見といとくれないか?あれでも意地悪をしていたわけじゃないし、一応お前のことを考えてのことだから…」
ヒナギクもそれは分かっていた。だから岳にはきちんと頷いて見せたが、それでもレナの言葉が彼女の胸を大きくえぐったのは事実だった。
暗い沈黙にしばらく俯いていた後、ヒナギクは自分でも情けなくなるほど、力のない声を出した。
「ねぇ……?私、どうしたらいいの…?」
「………」
岳は何も言ってくれなかった。慰めの言葉も、非難するような言葉も、手を差し伸べるようなことも…何も。彼はしばらくすると部屋の出口へと向かい、ドアに手をかけたところでやっと口を開いた。
「12月12日、午後3時頃に喫茶どんぐりに来い。俺たちそこで店始めることになったから、美味しいコーヒーでも出してやるよ」
そう言って最後に少しだけ微笑んで、岳はドアを閉めていった。さっきまでかすかに聞こえていたシャワーの音や子どもの話し声も、まるで最初から何もなかったかのように…一緒に消えてしまっていた。
1ヶ月後、ヒナギクは岳に言われた通り、喫茶どんぐりまで来ていた。当然と言えば当然なのだが、マスターが変わったからと言って外見までは変わっておらず、ドアを開けると聞き慣れていた鈴の音色が店内に響いた。
「おっ!ちゃんと来てくれたみたいだな。よかったよかった」
「もう…。自分が来いって言ったんでしょ…」
カウンターにはこの店のエプロンをしている岳だけが立っていて、レナや子供たちは見当たらなかった。
「はは。ま、いいじゃねぇか。それで来て早々だがヒナ…」
「ん?」
なんとなくカウンター席に座ったヒナギクに、岳は洗練された手際でコーヒーを淹れ始めながら彼女に話しかけた。
「取り敢えず…最初の質問だ」
どうも
取り敢えず次はヒナさんが質問漬けになる感じです。ダラダラと更新していますけど、次回も楽しみしていただけたら嬉しいです
それでは
|
|