Re: 朝風が吹く頃に |
- 日時: 2015/05/31 19:09
- 名前: ネームレス
「おーい。おーいってば。聞こえてるかー」
僕はその日の朝にあった出来事を思い返し、魂が抜けたようにぼーっとしていた。 まるで全てが夢だったように感じられる。 ああ、あの人の名前はいったいなんて言うにだろう。風のように飄々とした人……なんというか、かっこよかったなー。女の人に対する評価じゃない気もするけど。
「おいってば!」 「うるさいぞモブEX。愛しの田中とでも喋ってろ」 「誰が愛しのだ誰が。ったく、せっかく昼飯誘おうと思ったのにやな奴」 「田中はどうした」 「太郎は自主練だよ。だからこの時間暇でさー」
目の前にいるのはモブEX。本名は元木忍(モトキ シノブ)。ナンパスキルが高くそこらの女なら数日もあればヤれるというクズである。さらに地味に他のスキルも高いから手に負えない。なんでこんな奴の友達やってるんだろう。 そして田中太郎という奴はこの金持ち学校白皇学園で、部活動に真面目に取り組む変わり者。野球の期待のエースらしい。最近、テストが終わって少ししてから凄い頑張りを見せているらしい。何があったのやら。
「いいだろう。俺とお前の仲だろ?」 「気味の悪いこと言うなよ」 「連れねーなー佐藤紅蓮之王(サトウ スカーレットキング)親にDQNネームを付けられ何もやってないのに問題児指定されクラスからは敬遠され俺と太郎以外の友達がガチでいないという可哀想な奴はっぶね!?」 「チッ、仕留め損なったか。ていうかなんだよそのめちゃくちゃ説明口調なのは」 「いや、お前だけまだ自己紹介されてないと思って」 「はぁ?」
こいつは何を言ってるんだ。
「さて、まあこの恋の達人「ナンパのだろ」である元木しの「モブEXだろ」がお前がなぜ今抜け殻のようになっているか当ててしんぜよう」
こいつ怯まねえな。
「どうせ「恋、だろ?」とかドヤ顔で言うんだろ。わかってるからどっか行けよ」
モブEXは自分のナンパだけでなく、人の色恋沙汰にも手を出したがるクソ迷惑野郎なのだ。 そういえば太郎の恋がとか言ってたような気がするけど、まあいいか。あいつの恋愛模様など知らん。
「はぁー、つまんねーなお前」 「だったらどっか行け。読者の皆様が「ハヤテSSでいつまでハヤテキャラ出さねえんだよ」って少しずつフラストレーション貯めてきてんぞ」 「はぁ? 読者の皆様って誰だよ」 「多分、お前が僕だけ自己紹介されてないことを気にしたのと同じもんだ」 「???」
文字通り、次元が違う、ていうことだからなんとも言えない。
「でよう紅蓮之王(スカーレットキング)。昼飯」 「お前怯まねえなホント……勝手に食え」 「じゃ、お席を借りて。いっただきまー」
「ああ、また泉の奴がスカート捲られたのか?」
「っ!」 「す。って、どうした」
今の声。聞き間違い? いや、そんなはずはない。でも、まさか。
「どうしたんだよ紅蓮之王」 「……モブEX。この学校に長身で黒髪を短くまとめている少し目つきの鋭いいつも口元に悪いこと考えてそうな笑みを浮かべているような女子生徒って、いるか」 「おいおい紅蓮之王。幾ら何でもそんな女子生徒……あ、いる」 「誰!?」 「お、おいなんだよ。落ち着け。えーっとたしか、朝風理沙。動画研究部っていう部活の一人で、いつも花菱美希、瀬川泉っていう生徒と連んで悪巧みしてるっつー噂だ」
泉……さっきのはやっぱり。
「おいおい。まさか朝風理沙のことが好きなのかー?」 「ああ。だから今用事できた」 「は? いや、まじ?」 「じゃあなモブEX! 持つべきものは便利な駒だな!」 「それは酷くねえか!?」
さらばだ便利な駒。 おれは件の朝風理沙氏を探すべく廊下へ飛び出した。
◯
「さて。どうしたものか」
教室から飛び出したはいいものの、ノープランだ。 あー、どうしようかな。なにも考えずに飛び出しちゃったよホント。見失っちゃうしさ。どこですか朝風さん。 ……。一度戻るか。
「ネタの匂いがする!」 「うわぁ!」
なんだ曲者か!?
「っと、済まん済まん。ついなにか事件の匂いがしてな。……む?」 「は、はぁ。それはどうも。……え?」
この人は……。
「今朝の不審者」 「え、えええええええ!?」
どうやらラブコメの神様は俺を見放してはいなかったようです。 ……どうすんのこれ。
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一ヶ月以上経ってようやく投稿。お久しぶりのネームレス。 少し、頑張ろうかと思います。
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