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対象スレッド 件名: 【ワイ杯リクSS】部屋と着ぐるみと私たち
名前: ロッキー・ラックーン
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【ワイ杯リクSS】部屋と着ぐるみと私たち
日時: 2014/12/09 03:47
名前: ロッキー・ラックーン

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
今回はチャットルームで開きましたクイズ大会の景品として、RIDEさんよりリクエスト頂いたものとなります。
大会自体は夏にやりましたが、リクエストのやり取りや、なによりネタ出しが難航した事でこんなに時間がかかってしまいました。
RIDEさん、お待たせしました。
内容はヒナ一人称でのコメディです。勢い任せな部分が多々です。

それではどーぞ!


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ピンポーン

「はいはーい」

「こんにちはーヒナさん、今日はお世話になりまーす!はいコレ、つまらないものですが…」

「あら、そんな気遣い大丈夫なのに…では、ありがたく頂きます」


最後に元気の良い挨拶でウチにやってきたのは親友の歩。手土産に持ってきてくれたのは、あの店の人気のプリン。後で皆に出してあげたら喜ばれるわね。
上機嫌に靴を脱いで上がっていく様子は他の参加者たちと同じだった。




【部屋と着ぐるみと私たち】




こんばんは、桂ヒナギクです。今日はアパートを離れ、私の実家でお泊り女子会です。
はじまりは今週の月曜日、ハル子とお泊り会をしたいなと話していたら剣野さんがどうしても参加したいと言ってきてくれた。という訳で急遽週末に、歩とアリスを誘っていざ決行という形に。
普段からアパートで顔を合わせたりはするけど、組み合わせとしてはとても珍しいメンバー。お互いあまり絡んだ事のない人とコミュニケーションを取る良い機会だと思う。


「今日はお招きにあずかりまことにありがとうございます。感謝の気持ちと言ってはナンですが、皆にお配りしたいものがあるのです!」


歩が部屋に入ってメンバーが揃うなり、剣野さんが挨拶と共に、持っていた大きな紙袋の中身を皆に配っていく。
新品のビニールのテープを剥がして開けてみると…動物の着ぐるみ?のようなパジャマがそこにはあった。



「コレは…?結構高そうね…」

「昨日、千桜とゲーセンに行って取って来たのです!全部で1000円で取れたのでご心配なく」

「え"!?5人分で1000円って、ひとつ200円で取ったの?すごいわね…」

「カユラはクレーン上手いんだぞ、ヒナ」


可愛らしいパジャマに、部屋の中のテンションは一気に上がっていく。
女同士なので、皆恥ずかしげも無く着替え始めた。(私は恥ずかしくて出来なかったけど)


「わぁい、私わんわんだー!かぁわいいーー!」

「それは犬の着ぐるみが可愛いんですか?それとも、それを着た歩さんが可愛いという意味ですか?」

「ぐはっ!!…もちろん、前者に決まってるんじゃないかな…?」

「冗談ですわよ。歩さんもとっても可愛いですわ」

「え、そうかなそうかな!?アリスちゃんのカエルさんも可愛いよ、まぁ私ほどじゃないけど」

「(イラリ)歩さん、お手ですわ!」

「わん!」

「おかわり!」

「わん!」

「ちんちん!」

「わん!」

「土下座!」

「わん…って、犬は土下座なんかしないんじゃないかな?」

「細かい事を気にしていたら素敵なレディにはなれませんことよ?(ふぅ、少しはスッキリしましたわ」


楽しそうにコントに励むアリスと歩をよそに、私は未だに封を開けたばかりのパジャマを広げられずにいた。


「ホラ、無敵センパイも」

「えぇ〜、なんか恥ずかしいわ…」

「女同士で恥ずかしがる事なんて無いだろ?さぁ着替えた着替えた!」

「んもぅ、ハル子ったら強引なんだから…」


渋ったせいで逆に皆に注目を集めてしまった事に後悔をしつつ着替える。
私のは…羊のパジャマね。


「うわぁ、ヒナさん可愛すぎぃ〜!」

「なかなか似合ってますわよ、ヒナ」

「もう、なんてゆーかベストマッチだな…」

「この私が無敵センパイのために選んだのだから当然だ!」

「うぅ…恥ずかしいわねコレ…」


褒められて悪い気はしないものの、かなり恥ずかしいので話を逸らそうと、他の話題を必死になって探す。
気付いてみたら、持ってきてくれた剣野さん自身はまだ何もしてないじゃないの。


「つ、剣野さんはまだ着替えてないじゃない。どんな服にしたのかしら!?」

「フハハ、私のはとびっきり可愛いですよ?…けい○ん!でベースのみ○ちゃんが着ていたウマの着ぐるみ(馬面マスク付き)です」

「なにそのチョイス…」


得意げな表情(を多分しているんだと思う)で馬の着ぐるみに身を包んでエアベースを奏でる彼女にハル子がツッコミを入れる。
こんな人が出歩いてたら速攻で職務質問されちゃうわね。


「セクスィーなこの私のポーズを見よ!」

「……はいはい、セクシー過ぎて鼻血がブーしてしまいますわ」

「ぐぬぬ…」


とりあえずひと段落。変わらずにコントに励むアリスと歩の輪に入る。


「歩、それはセクシーにはちょっと見えないわよ?」

「そうかな…?じゃ、ヒナさんもやってみてよ」


普段ならこういったフリにはほとんど反応しない。特に美希たちがこんな事を言ってきた時には。
だけどこの場はいつもと違ったメンバーで集まってる事、皆が可愛い(一人は不審な)服に身を包んでいるから恥ずかしいのは自分だけじゃないという事などから、完全に油断してしまっていた。


「そうねえ…こんな風かしら?」

カシャ

「ファッ!?」


自分でもかなり頑張ってしまったと思えるくらいの表情で歩とアリスの方向にポーズを決めた。
最初に歩と目を合わせてしまったのが失敗だった。ポーズを決めた2秒後にアリスへと視線を移すと、待ってましたと言わんばかりにケータイのカメラで私を狙っていたのが見えた。ハッと気付いた時には完全に遅かった。


「なかなか可愛く撮れましたわ。ハヤテに送って差し上げますわね♪」

「ちょっ、アリス!?」

「はーい、送信完了ですわ!」


アッと言う間にメールを送ってしまう。ナギと仲良くなったおかげで、良くも悪くも見違えるほど電子機器の扱いに慣れていたのだった。


ピロリロリーン♪

「ん、メール?って、ハヤテ君!?リアクション早いわよ!!」


いつもなら嬉しいはずのハヤテ君からのメール。ただ、今日に限っては私を発狂させるかもしれない地雷でしかなかった。


「ヒナさん、ハヤテ君からメールですか!?いいなぁ…見せて見せて!」

「ちょっ、歩…」


歩の勢いに負けて、まだ自分でも確認していないのにメールを見せてしまう。


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from:綾崎ハヤテ
件名:アーたんからのメール見ました♪

ヒナギクさん、とっても可愛いお姿ですね♪
もし良かったら、アパートに帰ってから生で見せてもらってもよろしいでしょうか?
ではでは、女子会楽しんでくださいね〜(はぁと

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パタン…


「……」



うわぁああああああああああ
ハヤテ君に見られたハヤテ君に見られたハヤテ君に見られたハヤテ君に見られたハヤテくんに



「おーいヒナさん、ヒナさーん!…ダメだ。立ったまま気絶してるよ…」

「まったく、ヒナったらだらしが無いですわね!もっと自分に自信を持てばよろしいのに…」

「フハハ、この私の無敵センパイプロデュースは108式まであるぞ。この程度、まだまだ序章に過ぎないのだ」

「あんまり困らせて怒られてもしらんぞ、カユラ…」


この後、気絶した私のケータイでアリスが好き勝手に(それはもう鳥肌が立つほどに乙女チックな感じで)ハヤテ君に返信をし、なぜかアパートに帰ったらファッションショーをやらされる事となったのでした。
とほほ、もう女子会はこりごりよ…。


おわり


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【あとがき】

RIDEさんから頂いたリク「羊のパジャマ的な服を着たヒナから想像したSS」でした。
言わずもがなアリスちゃんが撮った写真が、イラストに相当するものとなります。

普段誰かに向かってああいう格好で可愛らしい決め顔+ポーズなどするキャラではないヒナを、どうやってもらったイラストに持って行こうかと考えたところ…大人気百合系漫画『ゆるゆり』にたどり着きました。
お泊り会・着ぐるみパジャマを着る流れ→3巻
ポーズを決めた瞬間を撮られてメールで送られる→8巻を参考にしています。
メンバーに関しては3人娘+ヒナという組み合わせの方が簡単に出来たのですが、ムダに頑張って絡みの少ないヒナとカユラをしゃべらせてみました。
アリスちゃんに「ち●ちん」と言わせられたのには自己満足も出来ました。
ちなみに唯一、なんの動物の着ぐるみか分からないせ千桜さんの格好は…皆様のご想像にお任せします。(ニッコリ

勢い任せの作品にはなりましたが、なんとか形に出来ました。
改めてRIDEさん、ワイ杯優勝おめでとうございました。