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対象スレッド 件名: Re: 想いよ届けA〜恋人はアイドルでヒーローで
名前: どうふん
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Re: 想いよ届けA〜恋人はアイドルでヒーローで
日時: 2014/11/01 20:28
名前: どうふん

原作の魅力は何といっても、個性的で魅力的なキャラクターが多いことかと思います。
少し多すぎますが。
話の展開の緩慢さなど、いろいろと不満はありますが、やはり読んでしまうのは気に入っているからでしょうね。

私自身は言うまでもなくヒナギクさんのファンですが、他にも気に入っているキャラクターはいます。

私の作品で登場の多いナギは、欠点というより欠陥だらけのような人物ですが、心に純粋なものを持ち守ってあげたくなります。
それとマリアさん。その卓越した能力だけでなく、優しくて天然でこんなお姉さんが欲しくなります。
前作も含め、マリアさんの直接の出番は少ないですが、ストーリーの展開上、陰では結構重要な役割を果たしています。

前回、この二人のお話にしたのは、ナギはともかく、マリアさんの出番を作りたかったからです。


実はもう一人、好きなキャラクターはいるんですけどね。
残念ながら、本作の中では出番はなさそうです。



<第三話:追いかける執事>


9月1日
案の定、というか。昨日屋敷に戻ってきたハヤテは、真夜中まで掛けて作り上げたナギ特製のディナーを腹に詰め込んだ後、明け方までナギにゲームに付き合わされた。
当然、始業式に行くどころか、起きることもできずナギは爆睡している。

ハヤテも眠くて堪らなかった上、正直に言えば腹の具合も少々悪かったが、始業式に向けて自分の準備を済ませた。
ナギはやはり目を覚ます気配もない。

「ハヤテ君、こうなってしまうともう無理ですよ。全く始業式から・・・。
ハヤテ君に久しぶりに会ったのがよほどうれしかったんでしょう。後は私が面倒を見ますから学校に行って下さい」
良く見るとマリアも軽く手で腹を押さえて顔色が青白い。
「まだ、もう少し待つ時間はありますけど」とは言いながら、ハヤテの視線は秒単位で時計に向けられる。
「構いません、行って下さい。早く行かなきゃいけないでしょう」
マリアから意味ありげな微笑みと共に言われて、ハヤテは屋敷を飛び出した。


ハヤテは白皇学園まで待ちきれないかのように走り、校門であたりを見回した。
ヒナギクの姿は見えなかった。
別に約束したわけではないが、ヒナギクがハヤテを待っているような気がしていた。
まだ登校時刻までは30分ほどあるが、次第に他の生徒が増え始めている。

早すぎたかな・・・。
しかし、相手は朝早くから10キロのマラソンを欠かさないヒナギクだ。
よりによって始業式に寝坊は考えられない。それに、学校の有名人、というより注目の的であるヒナギクが、生徒の溢れだす登校時刻直前の時間帯に校門でハヤテを待つなど目立つ行為をするだろうか。

ということは・・・
(ヒナギクさんは校門で僕を待ってたけど、人が増えだしたのを見て生徒会室に向かったのかな)

ハヤテは生徒会室へと駆けこんだ。しかしヒナギクの姿はない。
部屋を一回りすると、明らかについ先程まで人が居た気配があった。
流しには一人分のティーセットが水に浸かっている。そして未使用のティーセットが一人分、応接セットのテーブルに置いてある。

生徒会長の机の上には常に生徒会長の決裁が完了した書類が山積みされている。
一番上の書類を手に取ると、決裁日は今日、9月1日となっていた。
「やはり、ヒナギクさんは来てたんだ」
そして一仕事終えて教室に向かったということか。
(やはり、ヒナギクさんは凄い・・・)
ハヤテには、未使用の一人分のティーカップが胸に痛かった。

(来るのがちょっと遅すぎたみたいだ。ずっと早ければ、ヒナギクさんが校門で待っていてくれたかもしれないし、もう少しでも早ければ、お手伝いできたのに・・・。)
ハヤテは生徒会室を出て教室に向けて歩き出した。

(ヒナギクさんに何て挨拶しよう。「間に合わないですみません」って謝った方がいいのかな。いや、今、教室にはヒナギクさん一人じゃないだろうし、やはり「お早うございます」が自然かな。
で、どういう態度をとればいいだろう。あまり馴れ馴れしいのはまずいだろうし・・・、といってよそよそしいとヒナギクさんから怒られそうだし・・・)

そんなことを考えながら歩いていたハヤテの足が止まった。
「もしかして・・・」


ハヤテは向きを変えて走り出した。
その先に、大きな桜の木がある。
ハヤテがヒナギクと初めて会った場所。
その下に佇んだ少女が木を見上げていた−遠くからでも、後ろ姿でも一目でわかる。

「ヒナギクさん!」ハヤテは駆けながら大声で少女を呼んだ。
ゆっくりと振り向いたのはまぎれもなくヒナギクだった。
その時強い風が吹いて、ヒナギクの髪が空中に広がった。

朝日を受けて輝くヒナギクの髪は、ハヤテの目に桜の花びらが舞うように見えた。
(まるで桜の精・・・?それとも天女?)
本当にそう見えた。

「遅かったわね、ハヤテ君」(ハヤテにとって)懐かしい笑顔が胸に沁みこんでくる。
「す、済みません」
(久しぶり(半日ぶり)に会って第一声がこれか。かっこよく挨拶できなかったな・・・。)
ちょっとした失望感 ・・・ それと大きな安堵がハヤテを包んだ。