Re: 想いよ届けA〜恋人はアイドルでヒーローで |
- 日時: 2014/11/16 18:31
- 名前: どうふん
さて、ハヤテがヒナギクさんを好きになった経緯ですが、これは私の創作部分だけでなく、原作ベースに少々イマジネーションを膨らませてみました。
第7話(愛が生まれた日:ハヤテ編)
「え、うーん。まあ当然の流れじゃないですか。こんな素敵な女性が身近にいれば好きにならない方がおかしいですよ」 「当然か偶然かはともかく、私をさんざやきもきさせたんだから種明かしはしてもらいたいわ。 それにあれだけ私に話をさせといて自分は何も、ってことはないわよね」 ヒナギクは満面の笑みをうかべてはいたが、その瞳には焔が揺れている。
殺気は感じないので、怒りではなく好奇心を燃え上がらせていることは想像がついた。 いずれにせよ逃げられそうにない。
「え、えーと。はっきりヒナギクさんを好きと意識したのは、あの病院です。 入院したヒナギクさんが、やつれていくのが本当に心配で、これでヒナギクさんが元気にならなかったら、と思うと胸が締め付けられるようでした。 でも一番苦しいはずのヒナギクさんが、誰より周囲を気遣っていて・・・ そして僕の知らないところまで含めて、僕はどれだけヒナギクさんに助けられていたのかと言うことにも気づきました。 恥ずかしくなったんです。それに引き換え、僕はヒナギクさんに何をしてきたのかと思うと・・・
せめてヒナギクさんに元気になってもらえるまでお世話すれば、少しは償いになるかと思ったら、お返しなんかいらない、と言われて頭が真っ白になりました。 一体僕はどうしたらいいんだろうと思いながら結論が出せず、ただ苦しくて・・・。
最後の最後に、ヒナギクさんから愛想を尽かされかけていることに気づいて、その時やっと、僕はヒナギクさんのことが大好きなんだ、とはっきりわかりました。 今まで僕は必死になって自分の気持ちに目を逸らそうとしていたんだと思います。
そうなるともう居ても立ってもいられなくなって・・・。
病院でヒナギクさんと一緒に居て、十倍も百倍もヒナギクさんのことを好きになったのは間違いありません。 だけど、その時に好きになったというよりは気づいたわけで、本当はもっと前からだと思います」
「それ、もっと知りたいわ。いつから、と思っていいの」 「うーん、それは自分でも良く分からないですけど」
ヒナギクでなくとも多くの女性はそんな回答で満足しない。 「分かっていることだけでも良いから言ってみて」 ヒナギクはハヤテの眼をずっと覗き込んだまま動かない。 「わ、わかりました、ちょっと待って下さい」
ややあって・・・
「あの・・・、正しいかどうかはわからないですが、一つ思い浮かぶことがあります」 ヒナギクは身を乗り出した。 「僕は昔から、あの両親のために誰からも受け入れてもらえませんでした。 ただ一人受け入れてくれたあーたんともヒドい別れをして、人に嫌われたり蔑まれることに慣れました。 いつも心を空っぽにして何も気にしないようにしていました。
その後、お嬢様から助けてもらって、やっと自分を認めてくれる人の中に居ることができるようになりました。 だけど最初は・・・、お嬢様から追い出されたと思い込んだり、高校に不合格だったり、そんなことばかりでした。 ただ、落ち込むことはあっても、悲しいとか辛いとか感じなかったんです。 仕方ないとか、やっぱり、とかばかり考えていました。まだ僕の心の肝心なところは空っぽだったんでしょう。
でも、一つだけ、これだけは辛くて・・・苦しくて・・・。何とかしたいと思ったことがあったんです。」
ヒナギクは引いていた。こんな重い話になるとは思わなかった。 「あ、あの、辛いことなら話さなくてもいいのよ」
「いや、ここまで言ったんですから聞いて下さい。 あの頃僕はヒナギクさんに嫌われている、と思っていて、これだけは本当に辛かったんです。」 「・・・・・・・」 「恥ずかしいですが、友達に相談というか愚痴というか、悩みを聞いてもらったこともあります」 (あ、歩のことね・・・) 「あの頃は気づきませんでしたが・・・。まあ実際、僕は色々なことを抱え込んでいましたし、気付いても多分それどころじゃなかったでしょうが・・・。
だけど僕はその時にはもうヒナギクさんに魅かれていたんだと思います」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヒナギクは言葉が出ない。そんなことは想像もしていなかった。
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