Re: 想いよ届け 〜病篤き君に |
- 日時: 2014/08/27 20:50
- 名前: どうふん
- サプライズパーティには意表を突かれたハヤテとヒナギクさん。
何だかんだといっても天然ジゴロのハヤテは女性陣のアイドル的存在。 それを勝ち取ったヒナギクさんは、歓喜の絶頂にあっても友の失意を思いやれる人でした。 誰からも愛されるヒナギクさんは、予想外の仲間の祝福に感涙を流しています。 でも、あと一人、気に掛ける相手が残っています。
第12話
一方のハヤテはパーティの主催者であるはずのナギの姿を探していた。
(お嬢様はどこにいるんだろう)
「何をきょろきょろしているのだ」 その声に振り向くとナギはパーティの隅っこに手と足を組んで座っていた。 見るからに不機嫌オーラが漂っている。
「お嬢様、ご挨拶が遅れました。只今戻りました。長いこと留守にして申し訳ありませんでした」 「まったく、ヒナギクにばかりかかりきりで。 お前の主人は私だということを忘れていないか」 「いえ、決してそのような。ただヒナギクさんに早く元気になってほしい一心で、長いこと留守にしてしまいました。すみません。」 「ふーん・・・。まあ、ヒナギクに比べれば、私などどうでもいいからな」 ずいぶんと突っかかるナギにハヤテはちょっと困惑していた。
「それと。私に言うことは他にもあるんじゃないのか」 「あ、忘れていました。今日はヒナギクさんのためにこんな盛大なパーティを開いてくれて御礼の申し上げようもありません」 ナギは、血管がブチ切れそうになるのを押さえ「他には」と聞いた。
「お嬢様、本当にありがとうございました。」 「・・・?何のことだ?」 「お嬢様は知っていたんですね。僕がヒナギクさんのことが好きなのに自分で気づいていなかったということを」 「・・・???」 「だから、チャンスをくれたんでしょう。僕がヒナギクさんを看病しているうちに自分の気持ちに気づくように」
「・・・ 。で、どうだったのだ」 「僕は馬鹿ですから、凄く時間が掛かっちゃいました。 実はその時ヒナギクさんも僕に愛想が尽きかけていたそうでして、後で背筋が寒くなりました、あはは。
それでも、ぎりぎり間に合ったみたいで、告白した時、ヒナギクさんにはちょっと怒られましたけど涙を流して喜んでくれました。
もうとにかくその時のヒナギクさんが可愛くて可愛くて・・・」
いい加減目の前の相手の顔色を見ればいいものを、ハヤテはすっかり自分の世界に入りこんでいた。
盛大な打撃音とともに、ハヤテは床に這いつくばった。 「全く、主を放り出して色恋に現を抜かすばかりか、目の前でのろけまくるとは言語道断の極みだ。 成敗してやろうと思っていたが、そんな呆けた顔を見ていると腹も立たんわ」 「い、今、思い切りぶん殴られたような気がするんですが・・・」 「気のせいだ」 「・・・そ、そうでしょうか」
「もうお前はクビと言いたいところだが、そんな簡単に私と離れられるとは思うなよ。 お前は私の執事としてまだまだこき使ってやる。そのつもりで覚悟しておけ」 「い、いえっさー」
「ただし・・・、たまには休みをやるからヒナギクとはデートしてやれ」 「お、お嬢様」
後は何も言わず、ナギはハヤテに背を向けて会場から立ち去っていった。
「ナギ。ナギー」 まだ周囲を囲まれていたヒナギクは、会場を離れようとするナギに気づき、呼び掛けたがナギは足早に去って行った。
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