想いよ届け 〜病篤き君に |
- 日時: 2014/08/02 21:16
- 名前: どうふん
- 初めまして。
管理人さん、よろしくお願いします。 そもそもSSを投稿するのが初めてですので、規約は読みましたが、何かミスや不都合があれば遠慮なく指摘して下さい。
ハヤテのごとく454話において、ハヤテのため(だけではないにせよ)頑張ったヒナギクさんが、何かに取りつかれてダウン。ここを話の起点にします。 本作では姉に悪霊を移したようで、元気になっていると思いますが、そうならなかったとしたら・・・。 ハヤテは兄との再会を無事に終えて仲直りし、石を手に入れ、ナギお嬢様は遺産とお屋敷を取り戻すことができましたが、ヒナギクさんの具合は一向に良くなりません。そんな中、何が起こるか、私なりの視点でSSを書いてみようと思います。
ストーリーの行方はまだ漠然としていますが、基本的なコンセプトとして、ヒナギクさんには幸せになってほしい、と思っています。本作でヒナギクさんがハッピーエンドを迎えるのは難しいと思いますので、その分も含めて。
<第1話>
「まだ、熱が下がらないんですか」ハヤテが心配そうにヒナギクの顔を覗き込む。 「え、ええ。でも大分楽になってきたし大丈夫よ」 しかしその声は相変わらず弱弱しく、やつれた顔に生気は感じられなかった。
ここは海岸近くの病院。7階の病室にヒナギクは寝ていた。 伊澄も付きっきりで看病しているものの、1週間が過ぎてもヒナギクはベッドで寝込んだままだった。 「もうそろそろ良くなるはずですが・・・。余程たちの悪い悪霊にとりつかれたのでしょうか。私は一旦お家に戻ってもっと効き目のある道具を探してきましょう」 すぐに発とうとする伊澄を全員で阻止し、千桜とカユラが一緒に家まで送り届けることとなった。
「他のみんなもずっとここにいるわけにいくまい」 ハヤテの兄イクサは、ヒナギクに病院を手配しただけでなく、ハヤテとその仲間をずっと自分のホテルに泊めてくれていた。 「ここは、この賢そうな子だけ残して、後はいったん東京へ帰れ。面倒は俺が見る」
まだヒナギクの名前を憶えていないイクサの記憶力も恐るべきものがあるが、言っていることはもっともである。全員夏休みの宿題や学校の準備もしなければならないし、ナギやマリアには屋敷に早く戻るようクラウスから催促が届いている。
「しかし、ここにヒナギクさんを一人で残すわけには・・・。僕のためにこんなことになってしまったんですから。僕は残ります」 「私にも関係がある。私も残る」ハヤテとナギが口々に言ったが、マリアは首を振った。 「ハヤテ君は残ってヒナギクさんの面倒を看て下さい。原因は無人島に付き合わせたハヤテ君にあるんですから。ナギは一旦戻ってヒナギクさんのご両親をお呼びしましょう」 「な、なぜ、ハヤテ一人なのだっ」 「ナギはヒナギクさんに早く元気になってほしいんでしょう。だったらハヤテ君が一番です。ハヤテ君なら身の回りの世話が誰より上手ですし」
歩もハヤテとヒナギクを代わる代わる見ていたが、思いつめたような顔で 「ナギちゃん、そうしよ。ハヤテ君、ヒナさんをお願いします」と言った。 不承不承ナギは頷いた。 「まあいい。ハヤテ、ヒナギクは任せたぞ」
ハヤテは、というと、マリアの先ほどの一言が効いたのか俯いていた。
そのハヤテを、ナギはじっと見ている。 その瞳の中には、困惑とも怒りともつかないものが込められていた。
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