2014年6月みらおうぜ企画 伊澄と初穂さんののどかなコント |
- 日時: 2014/06/22 20:58
- 名前: ネームレス
- それはいつもある日常で
それは毎日見る光景で 当たり前のようなそれが微笑ましくて、 そして
「お母様。それはiPodです」 「違うわよ伊澄ちゃん。これはiPhoneよ」 (それはiPadじゃ)
たまに呆れる。
「お母様。そんな大きいiPhoneはありません。消去法でiPodです」 (そんな大きいiPodも無いがの) 「甘いわね伊澄ちゃん。これはiPhoneの機能と酷似している。よってiPhoneよ」 (それはそれでどうなんじゃ)
家の中をぶらぶらしていたら、偶然部屋の中で会話が聞こえると思ったら、また見当違いな会話を……。
「ならお母様。証拠を見せてください」 「証拠?」 「はい。見せてくれたら私も納得しましょう」 「いいでしょう。なら見せてあげましょう! このiPhoneの力を__」
そう言って起動させようとするが、
「……付きませんね」 「付かないわね」
充電が0じゃったか。
「どうしましょう」 「落ち着いて伊澄ちゃん。まだ慌てるような時間じゃないわ」 「そうですね」 「とりあえず……建御雷神を撃てば大丈夫かしら」 (っ!?) 「大丈夫ですかお母様」 「平気よ伊澄ちゃん。私は伊澄ちゃんほど力は無いし、伊澄ちゃんが生まれる前は私が妖怪と戦っていたのよ? 力の調整ぐらい、えい」
瞬間、光が部屋を埋め尽くし、晴れた瞬間iPadは画面がヒビ割れ煙を出していた。
「……壊れましたよお母様」 「ええ。壊れたわね伊澄ちゃん」
……寿命が縮むわい。
「しょうがありません。ハヤテ様に確認を取りましょう」 「頼むわね伊澄ちゃん。だけど、あなたにそのスマフォを使いこなす事が出来るかしら」 「ふっ、見せてあげましょう。私のスマフォ力をッッッ!」
トゥガチャ
『はいもしもし』 「もしもしハヤテ様?」 (電話出るの早っ!) 『伊澄さん。どうかしましたか?」 「いえ。実はハヤテ様に聞きたい事があるんです」 『なんでしょう』 「目の前にある大きい板上のものがiPhoneなのかiPodなのかをお聞きしたくて」 『ああ、多分iPadですよ』 「わかりました。ありがとうございます」
ぴっ。
「見ましたかお母様。私のスマフォ力を!」 「くっ、やるわね伊澄ちゃん」
たしかにあの伊澄がスマフォを扱えるようになるのは感慨深いものがあるな。しかし……
「もう私が教えられることは何も無いわね」 「そもそも何も教えてもらってませんよお母様」 「ふふ……いつから私に教えてもらってないと、錯覚していたのかしら」 「なん……ですって……」 「砕けなさい。鏡花水げ」 「ジャ◯プネタはダメですよお母様」 「最近サン◯ーはから面白い作品が減りつつあるのよ。神のみ面白かったのに」 「最後にあの方を選ぶとは予想外でした」 「図書館の娘、伊澄ちゃんになんか似てたわよね」 「そうでしょうか? 」 「ええ。物静かなところとか。でも伊澄ちゃんは物静かというより無口なだけよね」 「実の娘に酷くはありませんかお母様」 「伊澄ちゃんがそう思うんならそうなんでしょう。伊澄ちゃんの中ではね」 iPhoneなのかiPadなのかの談義はいいのだろうか。 「お母様。最近覚えたからと言ってネタを会話に織り交ぜるのはやめてください」 「なぜなの伊澄ちゃん」 「周りが置いてかれて行くからです」 「伊澄ちゃんの迷子ほどではないわ」 「私のあれは少し寄り道してるだけです」 「外国への不法侵入を少しと済ませるあたり。流石ね伊澄ちゃん」 「私の一歩は海を跨ぎます」 「少しは自重してね伊澄ちゃん」 「お母様だって迷子するじゃないですか」 「私は目的地にはつかなくても家にはちゃんと帰れるわよ。伊澄ちゃんは帰れるのかしら」 「お母様。それは幾らなんでも馬鹿にしすぎですよ。お母様は私が飛び級してることを忘れましたか?」 「馬鹿ね伊澄ちゃん。忘れるわけないじゃない。そもそも誰が勉強教えたと思ってるの?」 「たまに私は本当にお母様から教わったのか不思議に思います」 「失礼じゃないかしら伊澄ちゃん。それにバカ◯スでも言ってたじゃない」 「なんと?」 「勉強が出来ると頭がいいは違うと」 「お母様。自分は馬鹿だと認めてるようなものですよ」 「そうだったの」 「この流れでどうやったら自画自賛の言葉になるんですか」 「ふふ、でも甘いわね伊澄ちゃん。こんな言葉を知らないのかしら」 「なんと?」 「馬鹿な子ほど可愛い」 「なるほど。自画自賛ですね」 「流石に否定してほしかったわ伊澄ちゃん」 「してほしかったらもっとしっかりしてください」 「精進するわ。伊澄ちゃんも頑張って力をコントロールしてね」 「……はい」 「伊澄ちゃん?」 「……たまに、私がなぜこんなに力を持っているのか不思議に思うのです」 「どうして?」 「私は鷺ノ宮の光の巫女。闇に巣食うものを浄化する使命があります。……ですが、私は過去に自分の力を過信し、大切の親友を傷付けてしまいました。私は怖いのです。自分の力が」 「伊澄ちゃん。それは当たり前の事なのよ」 「当たり前?」 「そうよ。だって、伊澄ちゃんの力は私の目から見ても強大だもの。年に一度、コントロール出来ず一時的に力を失う時期もある。私の時はそんな事は無かったわ。それに、自分の力で大切な人が傷ついたと言うなら、恐れるのが普通よ」 「お母様……」 「でもね伊澄ちゃん。それは母親としては嬉しくもあるの。自分の中にある力の強大さを理解し、無闇に振るおうとせず、何より、大切な人を傷つけたことにちゃんと心を痛める。そんな真っ直ぐな子に育って、とっても嬉しいの。だから伊澄ちゃん。その怖さを忘れないで。その気持ちを忘れないで」 「……はい」 「大丈夫よ。伊澄ちゃんがナギちゃんを傷付けてしまったあの日から、実は隠れてずっと力の制御の練習をしては泣きそうになってるのを私は知っているから」 「お母様!?」 「どうしたの伊澄ちゃん」 「み、見ていたのですか?」 「なんのことかしら」 「さっきのセリフですよ!」 「さっき……?」 「私の感動を返してください!」 「それより伊澄ちゃん。そろそろナギちゃんのところに行く予定じゃなかったかしら」 「それは本当ですか?」 「ほら。時間を見なさい」 「お母様。その時計だとまだ約束の時間まで三時間あるのですが」 「ふ、馬鹿ね伊澄ちゃん。……いつからこの時計が正常に機能していると思っていたの?」 「っ!!!」 「砕け」 「その下りはいいです」 「余りにもピッタリ三時間ズレていたものだからそのままにしていたわ。大丈夫よ伊澄ちゃん。分針と秒針には一秒の狂いも無いわ」 「そうですか。なら私はそろそろナギのところへ行きます」 むっ、こっちに来るな。儂も行くかの。 それにしても、初穂も立派になったもんじゃ。もう一人前の母親じゃの。 伊澄も自分の力を制御出来るようになるのは時間の問題かもしれんな。 「大ばば様」 「む、初穂か」 「少しお伺いしてもいいでしょうか」 「なんじゃ」 「先ほどから伊澄が見当たらないのですが、存じないでしょうか」 「へ?」 途端、家の中がざわつく。
「お嬢がいないぞー!」「どこだー!」「屋敷の中にはいませーん!」「門で車の用意をしていた者からは報告ありません!」「また迷子だ!」「探せ! 運が良ければ日本県内にいる!」「三千院のお嬢様の元まできちんと送り届けろ!」
あ、あの一瞬で? 「大ばば様。私も探して来ます」 「待て初穂! お前も伊澄ほどではないにしろっていないし!」 こうして鷺ノ宮の一日はのどかに過ぎていく。
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