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対象スレッド 件名: Re: 兄と娘と恋人と
名前: タッキー
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Re: 兄と娘と恋人と
日時: 2014/06/07 23:53
名前: タッキー

ハヤッス!タッキーです。
毎回同じ入り方ですいません。
さて、今回は前回のハヤテサイドの話からです。
ちなみに前回の題名「Feeling ugly yourself」は「醜い自分を感じて」という意味です。知っていられたらすいません。
あと題名は日本語、英語で交互にまわしているわけではないです。
それではなんだかんだで・・・
更新!





「何故僕はあんなことを・・・」

帰り道、ハヤテは学校でのことを後悔していた。特にヒナギクにきつく当たってしまったことは、ハヤテのアパートへ向かう足取りをより重くさせていた。

「もう完全に嫌われたかな。まぁ、いっつも迷惑ばかりかけてたし嫌われるのは当然か・・・」

そんな時、昨日のアテネからの質問をふと思いだし、ハヤテは歩みを止め空を仰いだ。

(あなたにとって、一番大切で守りたい人は誰?)

「ヒナギクさんは・・・」

ハヤテは、一昨日の夕方に、ヒナギクと時計塔からの景色をみた時から、自分の中にもやもやした感情があるのに気づいていた。

ヒナギクといると楽しい・・・

ヒナギクが笑うと嬉しい・・・

ヒナギクが他の男といると面白くなくて、ヒナギクが悲しそうな顔をすると胸が張り裂けそうなほどつらい・・・


そしてなにより・・・


ヒナギクの隣にずっといたい・・・

(僕はもしかしてヒナギクさんのことを・・・)

自分の何か大切な気持ちに気づきかけた時、ふいに後ろから声をかけられて、何を考えていたのか分からなくなってしまった。

「な〜に陰気臭い顔してるの?ハヤテ君。」

「ルカさん・・・」





  第6話  『月の祈り』





国民的アイドル、水蓮寺ルカ。ラスベガスライブ以降さらに有名人になった彼女が何故こんなところにいるかというと。

「明日の夕方までオフだから、久しぶりにアパートに戻ろうと思って。」

ということらしい。一時的とはいえアパートに住人が戻ってくるのは執事として嬉しいことなのだが、ハヤテは今はそういう気分にはなれなかった。

「どうしたの?悩み事があるなら聞くけど。」

「え?いや・・・別に・・・」

「何かあるならそれを我慢しちゃダメだよ?それに私は一兆万人のファンがいるアイドル!つまり相談のプロなんだよ!どんなお悩みだって速攻で解決なんだから!」

ハヤテは正直話したくなかったが、ここまで来ると引き下がってくれそうにないと思ったのと、何より元気ずけられたので、胸の内を話すことにした。
まぁ、一兆万人ファンがいるアイドル=相談のプロという方程式はあまり理解できなっかたが。

ハヤテの話を聞いたルカは驚きを隠せず、思わず声を上げてしまった。

「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

「そ、そんなに驚かなくてもいいじゃないですか!僕だってむしゃくしゃする時もありますよ。」

「あ、あぁ。ごめん、ごめん。つまり・・・その・・・」


ルカはハヤテが普段と違う態度を取ったことに驚いているのではない。ハヤテがヒナギクに嫉妬している驚いたのだ。星が五つ点くほどの鈍感といっても過言ではないあのハヤテが誰かに嫉妬している、彼を知っている者ならばこの事実に驚くなという方が無理だろう。しかし、肝心の本人はそれを嫉妬だとは気づいていない。さすが星五つである。
そんな中、ルカにもハヤテと同様に嫉妬の気持ちが生まれていた。以前告白した相手が自分ではない人に好意を寄せている。悔しくて仕方なかった。けどそんな醜い自分を感じたからこそ、あえて自分の気持ちを押さえ込んだ。
それに塞ぎ込んでいるハヤテに、今だけはそっと寄り添い、助けてあげたかった。

「ハヤテ君はヒナに悪いと思ってる?謝りたいと思ってる?」

「も、もちろん!
・・・でも、ヒナギクさんは僕のことを完全に嫌いになってるはずだから・・・」

「だったら・・・!!」

その瞬間、ハヤテはこの会話に既視感を感じた。そしてその先をルカに言わせてはいけないと直感したが、口が開かず、ハヤテはただ立っていることしかできなかった。

「だったら、確かめて来ればいいじゃない!!
本当に嫌われているか確かめずに悩むより、まずはキチンと気持ちを確かめて来ればいいじゃない!!
それに、たとえ嫌われていたって、悪いと思ってるんでしょ!謝りたいと思ってるんでしょ!」

「・・・・・・」

「だったら、その気持ちだけでも相手に伝えて、その後どうしたらいいか考えたらいいじゃない!!」

「そんな風に悩んでるハヤテ君・・・・!


           私は嫌いだよ!!」

「っ!!!!!!」

それはゴールデンウィークにアテネのことで悩んでいた時、ヒナギクから言われた言葉とほぼ同じだった。あの時、大事なことを教えてもらったはずなのに、また同じ過ちを繰り返えしていた自分に無性に腹が立った。

「私が告白したのはいつも優しくて、たとえ不幸にあって挫けてしまっても、すぐに立ち直ってそれに向かって行く。そんなハヤテ君なんだから。
だから・・・
そんな風に悩んでないで、まずはハヤテ君の気持ちをきちんと伝えてあげて・・・、ね?」

ルカの目に涙が浮かんでいるのにハヤテは気づいていた。だからこそ彼女の想いを無駄にしないために・・・
ありがとうございます、
そう一言だけ言ってハヤテは元来た道を走っていった。

まるで、疾風のごとく・・・




「ごめんね、お父さん、お母さん。
これじゃいっとき・・・高くは飛べないかな。」

今のルカにはもう、泣いてはいけない、という縛りはない。その縛りから解放してくれた少年をルカは全力で応援したいと思った。



たとえ、この想いが報われなくても・・・



何度となく救われて、いつの間にか誰より大切になっていた少年を絶対に幸せにしてあげたい・・・
そう思っていた。





お互い大切なことに気づかされたハヤテとヒナギクは初めて逢った木の下にいた。何故ここなのかというと、なんだかここに行けば会えるような気がした、だからだそうだ。そして相手の姿を確認するや否や、二人は同時に頭を下げた。

「「ごめんなさい!」」

「え?何でハヤテ君が謝ってるの?」

「ヒナギクさんこそ、
全部僕の方に非があるというのに、何で謝ってるんですか?」

そこにシリアスな雰囲気はなく、二人とも頭に?を浮かばせたような状態で、オロオロしていたが、そのうちなんだか可笑しくなり、同時に笑い始めた。

「ふふ、まぁお互いどっちもどっち、てことね。」

「そんな、悪いのは僕の方ですよ〜。
ヒナギクさんと岳さんが楽しそうにしているのが面白くなかったからって、あんな態度を取ってしまったんですから。」

「えっ/////!!!???」

ヒナギクはハヤテの言葉に急に顔をスモモのように赤くさせた。ハヤテはそれに気づかずまだ笑っていた。少し腹まで抱えている。

(つ、つまりあの態度はハヤテ君が私に嫉妬したってことで、
ということはハヤテ君はも、もしかして私のことを・・・・


って!!そんなことあるわけないじゃない!!!だってハヤテ君よ!ハヤテ君!
まったく自意識過剰もいいところだわ。)

せっかくの一世一代のチャンスを自分からフイにしてしまうヒナギク。彼女も十分鈍感である。我に返ったヒナギクガハヤテの方を見るとまだ笑っていた。変なところにツボでもあるんだろうか。

(でも、ハヤテ君がこんな風にお腹を抱えて笑うのって初めて見たかも・・・
いつも笑っているけど、それは全部他の人に対する笑顔で、ハヤテ君が自分の為に笑うのって凄く珍しいのかも・・・)

「ねぇハヤテ君?」

「はははは。あ、すいませんヒナギクさん。何でしょうか?」

「実は来週の水曜日、学校休みなんだけど
その日、お姉ちゃんの誕生日プレゼント選ぶの手伝ってくれない?」

「え?何でですか?」

「もぉーーー!!!何でもいいでしょ!いいから付き合いなさい!」

「は!はい!」

素直に遊びに行こうと言えばいいのに、それができなくて結局怒ったような感じになってしまう。今はそうだとしてもその日だけは絶対に素直になろうと思った。




彼に笑って欲しいから・・・



他の人のためではなく、自分自身のために笑って欲しいから・・・

そう思うと不思議と素直になれる気がした。





彼のためなら・・・・







「さぁ、帰りましょ。ハヤテ君!」

「はい!ヒナギクさん。」












どうも!お付き合いいただきありがとうございます。
ハヤテたちは無事に仲直りすることができました。初めて逢った木の下というのは前からここで何かさせたいと考えていたのもありますが、ぶっちゃけここ以外の場所が見つからなかったからです。
ハヤルカ派の人たちには非常に申し訳ないことをしました。本当にすいません。でも誰かを傷つけて、自分も傷ついて、それが恋というものなんじゃないかと西沢さんも言っていました。
ハヤテはこれからも誰かを傷つけてしまうかもしれません、でも自分への想いを断るということはとても辛いことなのです(恋愛経験0、恋人いない歴=年齢、談)。
自分はこの作品で一番傷つくのはハヤテだと思っています。だからこそハッピーエンドを目指しています。
長くなると思いますがお付き合いよろしくお願いします。
ところで今回岳君は出ませんでしたね。まぁ前回ヒナさんの方に行ってしまいましたからね。実は二人の光景を遠くで見守ってたりします。妹思いなんですよホント。
これは書き忘れた事なんですが、岳君の容姿、というより顔の雰囲気は原作26巻の9話で西沢さんの誕生日に出てきた宗谷君を想像してもらいたいです。この回の宗谷君、ホントにイケメンでしたからね。でも本当はもっとイケメンという設定なんですが表現するのが難しくて・・・
あと今回はルカのアルバム『福音』から『月の祈り』を使わせて頂きました。ソレっぽい雰囲気が出せてたらいいなと思っています。それと『まるで、疾風のごとく・・・』これ前々から凄く使いたいと思ってたんですよ。上手く使えていたでしょうか?
次回は千桜とナギそしてカユラを絡ませたいと思っています。
いつも後書きが長くてすいません。
それじゃ!  ハヤヤー!