Re: 兄と娘と恋人と |
- 日時: 2014/11/21 01:37
- 名前: タッキー
- ハヤッス!!タッキーです。
時系列的にもうすぐナギちゃんの誕生日です。アテネの誕生日は・・・と、取り敢えずヤマもオチもない普通の誕生日だったのでカットしました。ちゃ、ちゃんと祝ってるんですよ!!べ、別に忘れていたわけじゃないんだからね!!! ということで今回はナギちゃんの誕生日前日のお話。 それでは・・・ 更新!!
12月2日、ハヤテは商店街の店の前で一人頭を悩ませていた。明日は大切なお嬢様の誕生日。プレゼントとして手作りのクッキーなりカップケーキなり贈ろうとは思っているものの、あと一つ形のある物を贈りたい。そんな気持ちで放課後に商店街に来てはみたものの、やはりこの執事に女の子が喜びそうな者を一人で選べるはずもなく、以前ヒナギクの誕生日プレゼントを選んだときのように誰かにアドバイスでももらおうかと考えていた。彼女であるヒナギクに聞けば解決する話なのだが、あいにく今日は生徒会の仕事で遅くなるらしい。
「こんなところで女心が分からないから僕ってダメなんだろうなぁ〜。」
「おっ!!ハヤテくんだ。何してるの〜?」
ハヤテのことを「くん」付けで呼ぶ女性は多いが、今回はその中でも一番ハヤテと接点が少ない人物だった。
「レナ・・・さん?」
「うん。」
ハヤテが振り向いた先でニコニコと笑っていたのは岳の彼女であるレナだった。彼女は帰る途中で夕食の買い出しにと商店街に寄っていたらしい。
「ところで何してたの?男の子が女物の店の前にいると結構違和感があるから気になってるんだけど・・・。」
「え?ああ、今はお嬢様の誕生日プレゼントを選んでるんです。でも、どうも男の僕では喜びそうな物を選べなくて・・・。」
「ナギちゃんの?だったら私が手伝ってあげようか?」
「え?」
ハヤテはこのとき思った。この人にアドバイスを貰えば女の子が喜ぶプレゼントをちゃんと選べるんじゃないかと・・・。
「そ、それじゃ、ご迷惑でなければお願いします。」
「あはは、別に迷惑とかじゃないよ。ガウスは遅くなるみたいだから帰っても暇なだけだったし。」
こうしてハヤテはレナと一緒にプレゼント選びをすることになったのだが、彼はこの時点で既に死亡フラグが建っていることには気づいていなかった。
第36話 『Do you love me』
「えっ!?岳さんとレナさんって誕生日一緒なんですか!?」
「そうだよ〜。まぁ、まだ一緒に祝ったことはないんだけどね。」
ハヤテとレナは今、貴金属を取り扱っている店のショウウィンドウの前で話していた。しかしハヤテにお金があるはずもなくここでプレゼントを買うことはなかったのだが、レナはお構いなしに指輪やネックレスなどの商品を手にとっている。ハヤテにはどちらかというと自分が欲しい物を選んでいるようにも見えた。
「おっ!!これなんかナギちゃんに似合うんじゃない?」
「いや、だから僕、お金が・・・」
「男だったらこれぐらい出せないでどうする!!っと言いたいところだけだけど一番大事なのはやっぱり気持ちだからね。本当はさっき言ってたクッキーとかでも十分だと思うよ。」
そう言われてもハヤテの何か贈りたいという気持ちは変わらなかった。そんなハヤテにレナも満足そうに微笑んだのだが、その後二人は1時間近く商店街を回ってもプレゼントをなかなか決めることができなかった。ナギと付き合いの短い、というか彼女が学校を休んだりするのでほとんどないレナが良いアドバイスを出せないのも原因かもしれない。
「プレゼントを選ぶって難しいですね・・・。」
「そうだね・・・。そ、そういやハヤテくん?」
ハヤテが呼びかけに応じてレナのほうを見ると彼女は少し顔を赤らめていた。
「ヒナちゃんとキスしたときって・・・どんな感じだった?」
「ちょっ!?な、なんでそんなこといきなり聞いてくるんですか!?」
脳内で再生されている映像によってハヤテの顔の温度はどんどん上がっていく。簡単に言うとハヤテはこれ以上ないほど取り乱していて、もじもじとしているレナの可愛らしい仕草も当然彼の視界には入っていなかった。
「いや、だって気になるし・・・。ガウスそういうこと全くしてくる素振りないし・・・。」
「え!?まだなんですか!?」
「っ!!!!な、なんで女の子にそういうことを言うかな!?君は!!」
「そうそう・・・。人の彼女に何言ってんだ?・・・ハヤテ。」
「「!!!」」
取り敢えず・・・フラグは回収した。
「ったく、ヒナに見つかってたらこの程度じゃ済まないってこと分かってんのか?」
「はい・・・。」
「それから、彼女がいるんなら気安く別の女とイチャつくな。」
「はい・・・。」
「最後に、レナに手を出したら殺す。いいな?」
「あい・・・。」
まるでボロ雑巾のようにされてしまったハヤテは現在岳の前で正座させられていた。人目につかない場所だからよかったとか、体のあちこちが痛いとか考える前に目の前に仁王立ちしている人物がとてつもなく怖かった。
「ガウス?さすがにやりすぎなんじゃ・・・。」
「レナも!!帰ったらたっぷり説教だからな。」
「はい・・・。」
そのあと岳はレナは引きずるようにして連れて帰ってしまい、ハヤテは一人取り残される形になったのだが、岳は帰ってしまう前に一言だけハヤテに言い残していった。
「今のうちにちゃんと話しとけよ。」
「へ?」
「あれ?ハヤテくん?こんなところでなんで正座なんかしてるのかな?」
「に、西沢さん!?」
気づけばもう岳の姿はなく、代わりにハヤテの後ろに立っていたのは歩だった。彼女もナギの誕生日プレゼントを選びに商店街まで来ていたらしく、これまでの流れをざっくり説明すると彼女は苦笑いを浮かべていた。
「相変わらずなんだね・・・。」
「ホント・・・岳さんからこってり絞られましたよ。」
結局二人でプレゼントを選ぶことになり、ハヤテたちは取り敢えず小物売り場でも見て回ることにした。実を言うとハヤテは歩、つまりはヒナギク以外の女の子と一緒に買い物をすることをためらったのだが、時間が無かったのと歩なら大丈夫だろうという死亡フラグ建ちまくりな考えで買い物することに賛同していた。
「あっ!!これなんかいいんじゃないかな!?」
ハヤテは歩の選んだネックレスを見てため息をついた。それはレナがナギに似合うと言ってきたものとほぼ同じデザインだったからで他意はなかったのだが、歩の目にはどうも否定されたように見えたらしい。
「ダメ・・・かな?」
「い、いえ!!別にそういうわけじゃなくて!!ただ、考えることはみんな同じなんだなぁ・・・て。」
「?」
それは値段こそ格段に安かったのだが質はそれなりのもので、歩はそれを買うことにし残るはハヤテの買い物だけとなった。しかしこちらは歩のものとは違ってなかなか決めることができず、ようやく決まったころにはもう日が完全に沈んでいた。
「すいません。遅くまで付き合わせちゃって。」
「いいよ。なんだかんだで結構楽しかったし。」
さすがに遅い時間だったのでハヤテはヒナギクやアカリのことが気になりはじめ、それは隣にいた歩にも伝わってきた。ハヤテはアパートまで送ってくれると言ってくれたが、それは単なる‘優しさ’であって特別な‘想い’ではない。分かっていたはずなのに、それでも歩の顔はどんどん曇っていき、その胸の内からは悔しさが込み上げてきていた。
「西沢さん・・・大丈夫ですか?」
俯いてしまった歩は名前を呼ばれても顔を上げようとしなかった。辺りが暗くなっているのも重なってハヤテからは彼女の表情が読めなかったが、歩は彼からもう一度呼びかけられる前に口を開いた。
「ハヤテくん・・・?」
「は、はい。なんでしょう?」
その瞬間ハヤテは手を握られ、顔を上げた歩に少しドキッとしてしまった。彼女の顔はこれ以上ないほど赤くなっていたが、その目には迷いなんて微塵も感じられなかった。
「私と・・・付き合ってください!!」
「へ!?な、なに言ってるんですか!!僕にはヒナギクさんが・・・」
「ヒナさんは関係ない!!!」
彼女の目には少しだけ涙が浮かんでいた。それはこの恋が叶わないと知っているからなのか、自分の親友を傷つけるかもしれないことをしているからなのか、それとも両方なのか・・・。
「ヒナさんが恋人だからとかそんな前提がないとしたら・・・ハヤテくんは私と付き合ってくれる?」
「そ、それは・・・。」
こんなことを言われるとは思っていなかったハヤテは歩のいつもとは違う真剣さに戸惑っていた。ちゃんと答えなければと頭の中で次の言葉を考え出すたびにそれが消えていき、目の前にいる少女の表情を見ているとどんなに抑えようとしても胸の鼓動は鳴り響くのをやめてくれなかった。
「ハヤテくんは・・・
私のことが、好きですか・・・?」
その言葉はまるでハヤテの脳を溶かすかのように、彼の頭を真っ白にしてしまった。
「ちょっとガウス?痛いよ・・・。」
帰る途中、岳はずっとレナの手を強く握っていた。ドアを少し乱暴に開け放った彼は家に入ったとたん覆いかぶさるようにレナを自分と壁の間に挟んだ。
「え!?ちょっとガウス・・・!?」
「レナは・・・俺のことが好きか・・・?」
レナは突然の質問に戸惑ったが、目の前にいる恋人の目を見た瞬間何も考えることができなくなってしまった。そこには彼が今まで微塵も見せなかった不安、何かを失ってしまう恐怖がありありと映っている気がした。
「俺のこと・・・好きか?」
もう一度尋ねてきた岳の声は震えていて、レナはそんな彼を見ることで序々に落ち着いていった。
「好きだよ。・・・愛してる。だからそんな不安そうな目をしないで。それに・・・私がガウスじゃなきゃダメだってこと知ってるでしょ?」
「・・・そっか。」
「うん。気持ちは分かるけど・・・今はそんな顔をしちゃダメ。もう私はどこにも行ったりしないから・・・だから、安心して。」
レナは岳の後ろに手を回し、まるで泣きそうな子供を落ち着かせるかのようにその背中を優しくさすった。岳は俯いていたが体はもう震えておらず、むしろ安心したように呼吸に合わせて体を少しだけ上下させていた。
(まさかガウスが嫉妬してくれるなんてね・・・。ちょっと嬉しいかも・・・。)
「レナ・・・。」
「ん?」
部屋はほぼ真っ暗で、レナは顔を上げた岳の表情がよく分からなかった。
「ずっと・・・ずっと俺だけ見てろ・・・。」
レナが何かを言う前に、その唇は無理やり塞がれてしまっていた。
どうも・・・。 なんか・・・えっと・・・い、いかがだったでしょうか?今回はなんかいろいろ詰め込み過ぎたような・・・そうでないような・・・。とにかく自分としては少し微妙な感じになってしまいました。 ハヤテとレナちゃんの絡み、そして西沢さんとの決着をつけようかなぁと思っていたんですが、後者のほうは次回に持ち越しですね。 ハヤテも驚いた通り岳くんとレナちゃん、実はまだ進展してなかったんですよねぇ。岳くんが意外と奥手というかそんな感じなんですよ。まぁ、今回で思いっきり階段上っちゃいますけどね!!!(テヘッ☆ ベットインするところまで書いても良かったのですがなんか抽象的にしたくなったので、その後はお好きなように想像してください。あ、子供は想像しちゃダメだぞ?
それは置いておいて西沢さんなんですが、彼女らしく粘ってくれるんじゃないかなって感じでこんな話になりました。納得はするけど理解はできない、みたいな?そんな悶々としている西沢さんを書いてみたいです。出来るかどうかはわかりませんけど。
次回はちゃんと西沢さんと決着をつけさせます。 それでは ハヤヤー!!
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