Re: 兄と娘と恋人と |
- 日時: 2014/11/12 02:44
- 名前: タッキー
- ハヤッス!!タッキーです。
実のところ、この話はアカリちゃんが帰るところで終りじゃないです。といってもちょっと続くだけなんですけどね。 ま、それは置いておいて今回は普通にハヤヒナやっていくつもりです。・・・たぶん。 それでは・・・ 更新!!
ヒナギクが目を覚ますともう見慣れてしまった綺麗な天井。フカフカのベットと毛布に挟まれている彼女が寝返りをうち、最初に目に入ったのは未来から来た自分の娘。しかしそれを見てしまったことでヒナギクの目は一気に覚醒した。
「ア〜カ〜リ〜!!」
「ま、ママ!?なんでもう起きて・・・!!じゃなくて、これはその・・・丁度いい位置にパパが寝ていたから・・・」
「だからってあんなに顔を近づける必要はないでしょ!!普通に抱きつくのも禁止!!」
「え〜!!」
それが寝ているだけなら微笑ましい光景ですんだのだが、アカリはわざとハヤテにすりより、ハヤテの方も親としては自然なのだろうが、彼女の背に手を回していたのだ。いくら自分の娘といえど同じ女性としてヒナギクも危機感のようなものを感じた。
「ま、まぁアカリもまだ7歳なんですから、甘えたい年頃なんですよ。」
「そうだそうだー!!」
「こら!!!」
「「はいっ!!!」」
ヒナギクの喝にハヤテとアカリはびくりと肩を震わせ、どちらとも言われてもいないのにベットの上で正座していた。
「アカリはもっと自重しなさい!ハヤテ君も娘だからって甘やかさない!!分かった!!!??」
「「あい・・・」」
アカリが来てから、三千院家の朝は少し賑やかになっていた。
第35話 『キミとボクが出逢う確率』
時は少し経って12月1日、ヒナギクが昼休みにレナと昼食をとっていると、少し離れた場所で男子勢と話している岳の姿が目に入った。ちなみにハヤテはナギとアカリの付き添いで学校には来ていない。ヒナギクの知っている岳は人付き合いもとても上手く、現に今も輪の中心になって談笑しているようだった。
「やっぱり相変わらずだな〜。」
「え?」
どうやらレナも岳のほうをみていたようだ。と言っても彼氏である岳を目で追うのはレナには自然なことなのだが、そんな彼女は少しいたずらな表情をしていた。
「相変わらずって・・・何が?」
「いや、ガウスも私と同じで人とちゃんと接するのが上手じゃないなぁ・・・て。」
「そ、そうなの!?私にはむしろ上手いようにしか見えないんだけど・・・。」
「ま、上手くごまかしてるからねぇ。本当は私以上に人見知りなはずなんだけど、あんなふうにできるまでに何百年かかったんだか・・・。」
ヒナギクはハッとした。こうして日常にとけ込んでいるからこそ分からないが、岳とレナは本当は人間ではなく、当然生きる年月も違う。ヒナギクはせっかくできた親友からいつか忘れられると思うと怖くなった。しかしそれを見透かしたかのようにレナはヒナギクに微笑みかけ、そっと手を握った。
「大丈夫。私もガウスも、ヒナちゃんたちのことを絶対に忘れないよ。だって友達でしょ?」
「・・・そうね。ありがとう。」
ヒナギクがレナに岳と似たようなものを感じたのは決して気のせいではないだろう。彼女の言葉に笑顔を取り戻したヒナギクは再び岳のほうを見て、そしてふと疑問に思った。
「レナはさ、ガウくんのどこが好きなの?いや、カッコいいとは思うし何でもできるから好きになるのは分かるんだけど・・・なんというか・・・その・・・」
「ヒナちゃん今、ガウスって高嶺の花すぎて好きになる前に諦めちゃうからって思ったでしょ?」
「・・・うん。そういうのはいけないとは思うんだけど、ガウくんにはやっぱりそんな感じになっちゃうから・・・ごめんなさい。」
レナの言ったように、どんな人にとっても岳の存在は高嶺の花そのものなのは確かだった。ヒナギクはそんな岳を心から好きになれるレナをすごいと思うと同時に不思議に思っていたのだ。
「ガウスはさ、寂しがり屋なんだよ。」
「え?」
「長く生きすぎて、強くなりすぎて、誰かに認められたかったのに逆に見向きもされなくなって・・・。多分私もそうなっちゃうんだろうし、そんなガウスを支えてあげられるのは私だけで、私を支えてくれるのもガウスだけだからって・・・そういうのがあるかな、やっぱり・・・。」
ヒナギクには何も言うことができなかった。彼女がどう頑張っても、どうあがいても絶対に解決できず、諦めることしかできない・・・そんなレベルの話だった。
「でもね、これが一番の理由じゃないんだ。ガウスはね、とても強いけど逆にとっても弱いの。」
「は?」
正直理解が追いついていないヒナギクはスルーでレナは話を進めていく。その表情はとても穏やかで、とても嬉しそうで、とても楽しそうだった。
「泣かないけど泣き虫で、甘えないのに甘えん坊で、欲がないのに欲張りで、カッコいいのにかわいくて・・・」
ヒナギクには意味が分からなかった。すべて矛盾しているし、後者の方の岳は見たこともなかった。しかしそんな中で唯一理解できたとすれば「カッコイイけどかわいい」だろうか。丁度ハヤテに当てはまる。
「でも・・・絶対に優しいの。」
「!!」
「多分、私がガウスを好きな理由はこれ。へん・・・かな?」
レナもさすがにおかしいことを言っていたのは自覚しているのだ。不安そうにしているレナにヒナギクは微笑んだ。
「そんなことないわ。とても素敵な理由だと思う。」
「ホント!!??」
「ええ。よく考えてみれば私だって同じ・・・ハヤテくんは絶対に優しいもの。」
「あ、ヒナちゃんが惚気けた〜。」
「なっ!!今まで惚気けてたのはそっちじゃない!!」
それからは普通のガールズトークに戻ったのだが、このとき岳が席を立ち、少し赤い顔で教室から出て行ったのにレナは気づかなかった。 昼休みが終わるころには岳もレナも、そしてヒナギクも全員がちゃんと授業の準備を始めていたのだが、その前にヒナギクはあと一つだけレナに質問していた。
「そういえばレナって・・・どんな感じでガウくんのこと好きになったの?」
「え?そりゃ、もちろん・・・」
「一目惚れ・・・か。ま、私もそうなんだろうけど。」
放課後、部活と生徒会の仕事を終えたヒナギクは昼休みに聞いたレナの言葉を思い出していた。ヒナギク自信も歩に対してハヤテには一目惚れだったと告げているのでレナの気持ちはよくわかるつもりなのだが、どうにもモヤモヤした気持ちが消えなかった。
「そういえばハヤテくんと出逢ったのってこの木だったわね。チャー坊は・・・もう巣立っちゃったか。」
本当は「再会した」のほうが正しいのだろうが、それでもここで出逢ったというのは二人にとって変わらない事実なのだろう。少し思い出に浸っているとヒナギクはモヤモヤの原因が分かったような気がした。
「あ、ヒナギクさん。ここにいたんですね。」
「ハヤテくん!?なんでここに?」
「一緒に学校に行くことができなかったので、せめて迎えぐらいはと。」
「そうなんだ。ありがとう。ところでさ、ハヤテくん?」
「はい、なんでしょう?」
ここでハヤテが来たのは運命なんじゃないか、ヒナギクがそう考えるほどにハヤテが来たのはいいタイミングだった。
「ハヤテくんは・・・なんで私のことを好きになってくれたの?」
その質問にハヤテは豆鉄砲をくらったような顔をした。まるで「今更?」とでも言うような顔だったが、ハヤテはすぐにヒナギクに微笑みかけると彼女に腰掛けるよう促した。
「怒られちゃうかもしれないですけど・・・僕は多分、彼女が欲しかったんですよ。」
これはヒナギクには結構ガツンときた。まるで誰でもよかったとでも言ってるかのような感じだったが、どうせ続きがあるのだろうとヒナギクは白桜でハヤテを殴るのを必死に我慢して続きを待った。
「ご、誤解しないでくださいよ!?なんというか・・・いつも支えてくる人が欲しかったんだと思います。」
「最初からそう言いなさいよ。ホントに誤解しちゃうじゃない。」
「はは、すみません・・・。」
ハヤテの緩んだ笑顔にヒナギクは少しイラついていたのだが、今回はまだ我慢できた。
「11月の初め、ヒナギクさんは僕にあの時計塔から風景を見せてくれましたよね。ヒナギクさんのことを好きになり始めたのは多分そこからなんですよ。でも・・・。」
「でも?」
ハヤテは俯き、ヒナギクと目を合わせなかった。いや、合わせられなかったのほうが正しいのかもしれない。
「僕って、結構単純なんですよ。特別優しくされるとすぐ好きになっちゃうっていうか・・・。だからあの時、もしあの景色を見せてくれたのがヒナギクさんじゃなかったら・・・僕は別の人を好きになっていたのかもしれません。」
「え・・・?」
「もしかしたら西沢さんだったかもしれないし、ルカさんだったかもしれない。マリアさんだって有り得るし、お嬢様からだったら絶対に好きになっていたでしょう。」
正直聞いているのが辛いくらいだった。でもちゃんと理由を聞きたくて、ヒナギクが顔をあげるとハヤテも顔をあげていて、お互いに見つめ合う状態になった。
「こんなことを言ってごめんなさい。でも、あの時、あの場所にいたのはヒナギクさんじゃないですか。」
「!!!」
「だから・・・ヒナギクさんがここにいること、それが僕がヒナギクさんを好きな理由です。少しギザ過ぎたでしょうか?」
「・・・ううん。ありがとう、ちゃんと話してくれて。」
不思議だった。さっきまで悲しかったはずなのに、今はとても胸が温かい。ヒナギクはハヤテのことで一喜一憂してしまう自分が大きくなっていることに戸惑い、そして嬉しく思った。差し伸べられたハヤテの手をとり、立ち上がった拍子にヒナギクは彼に抱きつき、ギュッと抱きしめた。
「ヒナギクさん・・・。地球がこの宇宙に生まれた確率って知ってます?限りなくゼロに近いんです。だから・・・僕たちが出逢って、こうして愛し合えていることって・・・奇跡なんじゃないでしょうか。」
「ハヤテくん、ギザ過ぎ・・・。」
「はは、すいません。でも・・・大好きですよ。」
「私だってハヤテくんのこと大好きよ。」
どれぐらいたった頃だろうか。ヒナギクはふと顔をあげ、そしてハヤテの鼻先を指で軽くついた。
「それから、私たちが出逢った確率は「奇跡」。でも・・・「絶対」よ。」
ハヤテは目をパチクリさせたあと、ヒナギクの少し赤い顔を隠すように強く抱きしめた。こんなふうにいつも最後の一本をとってくる、そんなヒナギクも大好きだった。
「それじゃ帰りましょうか。アカリも待ってますし。」
「そうね。それにしてもあの子ったら、明日はどんな手でハヤテくんにくっつこうとするのかしら?」
「まぁ、僕は別にいい・・・」
ドカッ!!!
「娘だからって甘やかさない。分かった?」
「あい・・・。」
この時できたたんこぶをアカリに心配されたのが嬉しくて、つい甘やかしてしまったハヤテをヒナギクがまた叱ったりしたのだが、それはまた別のお話。
どうも。少し遅いですがハヤテくんと桂先生、誕生日おめでとうです。
さて、今回は前々から温めていた話で、結構スラスラと書けました。いつもこれぐらいのペースでかければいいのですがなかなか、ねぇ。岳くんの話はこんな感じかなぁと設定上で考えていただけだったので本編で出すつもりはなかったのですが・・・取り敢えず後悔はしていません。 個人的には冒頭のほのぼのとしたやり取りをもっとやりんですけど、気がついたら少しシリアスな方向だったりするんでなんとかしたいです。やっぱりそういう性格なんでしょうかね。 そういえば今回のサブタイは「GARNIDELIA」の「キミとボクが出逢う確率」からです。「魔法科高校の劣等生」のオープニング、のカップリング曲です。お金があったんで買ってみたら結構いい曲でした。それにしても歌詞ネタって結構久しぶり?かも。 次回は多分ナギちゃんの誕生日プレゼントをハヤテが買いに行く話です。 それでは ハヤヤー!!
|
|