Re: 兄と娘と恋人と |
- 日時: 2014/10/18 23:45
- 名前: タッキー
- ハヤッス!タッキーです。
なんだかんがでシリアス気味になってしまった前回。しかしそんな雰囲気も今回で脱却!ま、今回も明るい話ではないんですけどね。 それでは・・・ 更新!!
ハヤテとヒナギクは今、小さな山小屋の中に二人っきりだった。外は土砂降りでアパートに帰ることもできず、曇天に重なって黒いカーテンが日の光をほとんど通さない中、ハヤテの目の前にあったのはまるでガラス細工で出来ているかのようなきめ細かい白い肌。暗闇のなかで聞こえる息遣いとともにほんの少しだけ上下するそれは、ベッドの上で初めて体験する感触に怯えているようにも見えた。 ハヤテがゆっくりと手を近づけると、ヒナギクはギュッと目をつむった。ハヤテのことを信頼していないわけではないが、ただ、初めての刺激が少しだけ怖かった。しかしいつまで経ってもハヤテの手がヒナギクの肌に届くことはなく、不思議に思って目を開けてみるとハヤテが手を下ろして顔をうつむかせていた。
「ごめんなさい・・・ヒナギクさん。」
「え・・・?」
ヒナギクに頭に最悪のビジョンがよぎった。昨日せっかく結ばれたのに、もう別れるなんてことは嫌だった。
「な、なんで?やっぱり胸が小さい子は嫌だとか・・・」
「い、いえ!!そんなことは全くないです!!」
ヒナギクの不安そうな声にハヤテは慌てて弁明した。ヒナギクは自分の考えが勘違いだったと分かると、今の状況を思い出し、顔を赤く染めながら毛布に身をくるんだ。
「ただ・・・」
申し訳なさそう顔をしているハヤテの口が動き出すのを、ヒナギクは黙って待っていた。
「初めて・・・ヒナギクさんのありままの姿を真剣に見ました。とても・・・とても綺麗でした。でも抱きしめたら壊してしまいそうで、触れたら無くなってしまいそうで・・・そんなことを考えていたらどこに触れていいのか、本当に僕が触れていいのか分からなくなってしまって・・・。」
「ハヤテ君・・・。」
「やっぱりヒナギクさんを傷つけるのが怖いんです。どう守っていけばいいか分かっていないんです・・・。」
情けない話だっただろう。いろんなことを間違って、そして学んだ今でも踏ん切りがついていない。ハヤテはそんな自分がいることが悔しかった。しかし、それでも前へ進まないといけないことも分かっていた。
「だから・・・もう少し待っててくれませんか?僕がもっとヒナギクさんと向かい合えるようになったとき、その時はヒナギクさんを・・・ちゃんと抱きしめてもいいですか?」
ハヤテの中には、不思議と不安はなかった。
「うん・・・。待ってる。」
現に、ヒナギクはハヤテに笑ってくれたのだから・・・。
第33話 『Proof』
俺が目を覚ますとまず最初に視界に入ったのは無数の木の葉とその間から漏れてくるうっすらとした早朝の太陽の光。そういや昨日ハヤテたちを山小屋まで連れてきた後はなんか家に帰る気がしなくて木の上で寝たんだっけ?寝心地があまりいいとは言えないその太い枝から飛び降りるときにハヤテが山小屋から出てくるのが見えた。まだ朝の5時にもなってないのに、相変わらず早起きだな。
「あ、岳さん!」
「よう。昨日はやっぱりお楽しみだったか?」
「してません!なんでこんなところに連れてくるんですか!?」
まぁ、そういうことはしないってのは分かってたけど・・・ハヤテって本当に男かよ?普通我慢できなくなるもんじゃないの?
「そうだなぁ〜、なんとなく?」
「なんとなくで僕たちをこんなところに連れてこないでください。アカリの年齢とか考えたらそうしなきゃいけないかもとか思っちゃったじゃないですか。」
「わるいわるい。、まぁ二人の距離がさらに縮まったってことでいいじゃねぇか。あと、アカリちゃんの誕生日は12月12日で今年で8歳になるから、お前らがそういうことするのは一年後ってわけだ。」
ハヤテが今着ているのはいつもの執事服ではなく白のプリントTシャツ。山小屋にあったやつに着替えたみたいだな。
「そういやヒナは?」
「まだ寝ていますよ。岳さんのせいで昨日は僕たち、なかなか眠れなかったんで。」
あくまでも俺のせいと言い張るハヤテを少しいじってやろうかと思ったが、なんだかそういう気分にはなれなかった。
「だから悪かったって。帰り道はわかるんだろ?だったらヒナが起きたあとすぐに帰ればいいじゃねぇか。」
「言われなくてもそうしますよ。それより、岳さんはどうするんですか?別に僕たちを待ってなくてもいいんですよ?」
「ほう。で、俺がいなくなったあとにヒナとキャッキャウフフしようと?」
「違います!!」
どうやらハヤテは勘違いしていたらしいが、俺は別にハヤテたちを待つためにわざわざ木の上で寝たわけじゃない。ぶっちゃけ気分だ、気分。そのことを伝えようとしたらハヤテは急に真剣な顔をして、頭を下げてきた。
「・・・おいおい、お前も男なら簡単に頭下げんな。謝罪の言葉なら随分と聞いたぞ?」
「・・・ありがとうございました。」
少し意外だった。いや、本当はハヤテが礼を言ってくることは分かっていた。それでも・・・意外だった。
「岳さんにはいろんな所で助けていただいて、本当はもっと何かをしないといけないんでしょうけど・・・。」
「何もやれることがないと?」
「はい。だから・・・本当にありがとうございました。」
こういうところまで真面目だと逆に呆れてくるな。多分俺がコイツの両親を何とかしたのも感づいてるんだろう。ま、さすがにベガスで一生遊べるようにしてやったことまでは考えられないだろうし、言って驚かせてやってもいいんだが、あいにくそんな雰囲気でもないからあえて黙っておいた。
「俺は自分ができなかったことを目の前でまた繰り返させたくなかっただけだ。それでも、一応気持ちはもらっとくよ。」
とりあえずハヤテに顔を上げさるとハヤテは難しい顔をしていて、そのことを言うとさらにその表情が難しくなった。
「出過ぎたことを言うのかもしれませんが、レナさんは・・・岳さんにだけは絶対に生きていて欲しかったんだと思います。だから・・・」
ガラにもなく少しイラついてしまった。ハヤテの言っていることが正しいことは分かっていたが、それでも妙にしゃくにさわった。
「命を捨てるようなことはするなと?そんなことは痛いくらいに分かってるし、現に俺は死んでない。」
どうやら俺はとても怖い顔をしているみたいだ。ハヤテは動揺していないフリをしているが目が完全に怯えている。
「今回はたまたま俺が消えるかもしれなかった結果・・・つまり手段だったわけで、別にそれ以上でもそれ以下でもない。言っただろ?俺は手段を選ぶつもりはないって。ま、お前はそのことをを注意してくれたんだろうが、今更壊せないから・・・苦しいんだ。」
俺だって会いたくないわけがない。でもそれが叶わないとすればレナだけでもと考えるのはおかしいのだろうか?。それに、もし立場が逆でもレナはきっと俺と同じことをしただろう。って、それは少し自意識過剰すぎたか?最後に聞こえなかった声は俺が想像しているのと違うものなのかもしれないのに・・・。
「俺ってホント何やってるんだろうな・・・?」
「え?」
「いや、なんでもない。帰るんなら気をつけて帰れよ。じゃぁな。」
ハヤテはまだ何か言いたげだったがそれを無視して俺はまた森の中に足を向けた。少し逃げたような感じもしたがあまり気にならなかった。
「レナ・・・。」
俺に名前をくれたレナ・・・。
俺に感情をくれたレナ・・・。
俺に大切なものをくれたレナ・・・。
随分とたくさんのものをもらったのに、レナは俺のために消えてしまった。
-私のこと、忘れないで欲しいの-
「忘れられねぇよ・・・。」
普通こういうときって泣くもんなんだろうけど、相変わらず俺の頬をつたうものは何もない。どんなに目をこすってもその指が濡れることはなかった。
-ガウス・・・今までありがとうね-
「レナ・・・ごめん・・・。」
少しだけ、自分の言っていることに違和感を感じた。ふと歩みを止めて考えてみると、案外簡単にその答えが見つかった。
「そういや、俺っていつも謝ってばかりだな・・・。」
別にその言葉を言うことが遅いことも、今さら意味の無いことだってことも分かっていたのに、何故か言わなきゃいけない気がした。 思えばちゃんと言えてなかった言葉。本当はもっと早く・・・いや、レナが消えてしまう前に言わないといけなかった言葉。 とても短くて・・・とても簡単で・・・とても難しい・・・
「ありがとう・・・。」
「やっと言ってくれた・・・。」
「!!!」
少しだけ、風がふいた気がした。その優しい風が運んできた言葉は俺が知っているものと全く同じで、声も、その高さも、俺の耳に響くその心地よさも、全てがそのままだった。 足音が聞こえた。この音も知っていた。だんだん近づいてくるのが分かるにつれて俺の鼓動も速くなっていく。こんなにドキドキするのはいつ以来だろう? 足音が止まり、後ろから俺は抱きしめられた。強く・・・もう離さないとでも言ってるかのように。 俺の体は震えていた。頭の中で無意味だった日々が走馬灯のように通り過ぎていき、そして無くなっていった。 チラリと俺の視界の隅に映った髪の色は、白と見間違えそうなほど透き通るような桜色で、背中に感じる温もりは信じられない程優しくて、ふと顔に手を当ててみると、どんな時でも流れなかったはずの涙が・・・その頬をつたっていた。
「えへへ、ガウスの泣き顔ゲット〜。」
「レナだって泣いてんじゃねぇか。」
どうしてここにいるのか?そんなことはどうでもよかった。今、レナがここにいる。その事実だけで胸がいっぱいだった。
「寂しかった?」
「すごく・・・。」
「悲しかった?」
「すごく・・・。」
「どれくらい待った?」
「すごく・・・。」
すごく・・・すごく長い間、このことを夢見ていた。もしかしたら不可能なのかもしれない。そう思ってしまうのが嫌で、必死に強くなった。それでもやっぱり俺は全然前に進んでなくて、大切なものに震えて、失ってしまうのが怖くて、でもここに居てくれることがすごく嬉しくて、溢れ出した涙が止まらなかった。まるで今までの分も流しきろうとしているくらいに・・・・。
「私もね・・・真っ暗で何もない場所で、ずっとガウスのこと待ってた。すごく寂しくて、すごく悲しくて、もう忘れられたんじゃないかと思うとすごく怖かった。」
「・・・」
レナと手と俺の手が重なった。お互いが指を絡ませていく光景は驚くほど自然で、結びついたことでさらに感じられるレナの温もりは、俺の不安をことごとく打ち消していった。
「ガウスの手・・・すごくあったかい・・・。」
セリフを取られてしまった。きっとレナも俺と同じ気持ちなんだろう。今まで寂しかった分、こうしていることですごく安心できて、深くなっていた心の傷がどんどん癒えていく。
「ねぇガウス・・・?」
「ん?」
レナはどうやら疲れているみたいだ。体を倒し、俺にさらに寄りかかってきた。
「ただいま・・・。」
「ああ・・・。おかえり・・・。」
これからは何をしよう?レナは俺が成長していることに驚いてくれるだろうか?そばにいることを喜んでくれるだろうか?おっと、その前に家を少し綺麗にしないとな。
「ねぇガウス・・・?」
「ん?なんだ?」
「私ね・・・ガウスのこと・・・」
そういや、家の掃除なんかよりまずやることがあったな。
「大好きだよ・・・。」
やっと聞けた・・・。そして・・・
「ああ、俺も・・・俺もレナが大好きだ・・・。
愛してる・・・。」
やっと・・・言えた・・・。
どうも、すっかり更新が遅くなってしまいましたがちゃんと生きてます。ほら、モンハン買ったけど寮生活だからオンラインでプレイできる回線がなくてソロハンターで頑張ってたんですよ。でもやっぱラスボスは体力が多くてソロじゃ火力が足りないです。
さて、今回はMELLさんの『Proof』を使わせていただきました。ハヤテ一期のエンディングですね。いい曲なのにハヤヒナの絡みで若干エロい(書いてみるとそうでもなかったけれども)方向にもっていっちゃたのでなんだか申し訳ないです。 ちなみにあの展開はまず放課後に岳君がハヤテたちを上手く説得して山小屋(ダーク虹の里)に連れて行ったあと、なんだかんだで大雨を降らせて二人を閉じ込めてそれっぽい雰囲気にさせる、そしてその気になった二人が取り敢えず脱ぐところまでいったといった感じです。ちなみ最初に誘ったのはヒナさんという設定もあるんですが、それやると長くなりそうだったのと、どこまでOKなのか基準がよく分からなかったのでカットしました。勝手に想像していただいて構わないです。
ま、なんだかんだで今回書き上げて思ったことは「あれ、ハヤヒナより力入ってね?てか、やっぱりハヤヒナやってないじゃん俺。」ということですね。次回からは!ちゃんと次回からハヤヒナやりますから!ほら、レナちゃんも戻ってきたので彼女との絡みもありますし!ね!ね!!
と、取り敢えずレナちゃんのプロフィール載せます。
竜堂(りんどう) 恋愛(れな)
誕生日 11月20日
身長 163.5cm
体重 46.7kg
年齢 17歳(もう何も言いません)
血液型 O型
家族構成 なし。
好き、得意 ガウス,料理、洗濯、掃除などの家事全般,
嫌い、苦手 たくさん人がいるところ,人前で何かを言うこと
竜堂というのは彼女が勝手につけた名字。岳君と同じ「初神」でもよかったんですが、名字が違うと恋人っぽくなるかなぁ、と。漢字のほうは思い切ってDQNでいってみました。アルファベット的にRE(レ)NNA(ナ)Iでいいかなぁと。ちなみにCカップ。自分は別に貧乳好きではないんですよ?まぁ、余計にあるよりかは少し小さいくらいでも・・・。取り敢えず容姿と性格ともに自分が好きなキャラになっています。 それから家事スキルはハヤテ君なみでなんでもできます。まぁ、一応庭城にいた設定ですからね。 岳君以外には結構人見知りだけど打ち解けてからは人懐っこかったり、少しだけ天然っぽいところがあったりでこれからはいろいろと活躍してもらうつもりです。
次回はヒナさんとオリキャラ三人のお話です。も、もちろんハヤヒナですよ!
それでは ハヤヤー!!
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