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対象スレッド 件名: Re: 兄と娘と恋人と
名前: タッキー
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Re: 兄と娘と恋人と
日時: 2014/09/30 15:24
名前: タッキー

ハヤッス!タッキーです。
このSSもやっと完結が見えてきました。自分でもここまで長くなるとは思わなかったです。アフターまで書き終えたら後日談の一話完結を少しやって、別スレに入ろうと思います。まぁ、これも後日談の続きみたいなものですけど。
さて、今回はクライマックスです!
それでは・・・
更新!





11月21日、ヒナギクはいつも通り学校に行き、昼休みを利用して生徒会の仕事を片付けていた。正直、昨日の今日で生徒会室に行くのは抵抗があったが、何かをして気を紛らわせていないとどうにも落ち着かなかった。

「私、どうしたらいいのかしら・・・?」

ヒナギクがそうつぶやくのと、ノックの音が聞こえたのは同時だった。そしてヒナギクの返事を待たずに扉は開き、意外というか、予想通りというか、岳が軽く挨拶をしながら入ってきた。

「おっす。別に無理してここに来なくても仕事なら俺がやっといたのに。俺のせいでもあるんだからさ。」

「これは生徒会長である私の仕事だからガウ君にしてもらうわけにはいかないでしょ。ていうか、今日も欠席じゃなかったの?」

実のところ、ハヤテと同じで岳も一週間ほど学校には来ていなかった。だからここに来たのは何か理由があるんじゃないかとヒナギクは踏んだのだが、その件は岳にあっさりと流されてしまった。

「そんなことよりハヤテが今公園にいるんだけど・・・行かなくていいのか?」

「は、ハヤテ君が!?」

岳はヒナギクの予想通りの反応にふっと微笑んだ。いや、ニヤニヤしていたの方が正しいようだ。

「もしかしたらヒナに用があって待ってたりしてな〜。」

「ちょ!?そんなこと早く言ってよ!てか私はなんの連絡も受けてないんだけど!?」

「ま、ハヤテが公園にいること以外ウソだけどな。」

「ウソ!?なんでそんなウソつくのよ!?」

ノリのいい返しをしてくれるヒナギクの頭に手を置き、岳は今度こそちゃんと微笑んだ。そんな彼にヒナギクはすっかり大人しくなってしまっていた。

「そりゃ、お前たちを応援してるからだよ・・・。」

「え・・・?」

「え?じゃねぇよ。でもまぁ、お前らがくっつくないと個人的にしっくりこないからだけどな。」

岳はそう言ってヒナギクを撫でていた手を離し、扉の方へ向かった。

「じゃ、俺は先に行ってるから。」

「え!?ちょっと!!」

最後にニコリと微笑んで、岳は扉を閉めた。生徒会室に取り残されたヒナギクはしばらくつっ立っていたが、やがて扉のとってに手をかけて少し乱暴に開け放った。

「私だってこんなのらしくないって分かってるわよ!もう!」

声をかけてくる生徒たちを軽く流しながら、さらには校舎を全速力で駆け抜けたので、校門を出るときには既に呼吸が肺に追いつかなくなっていた。それでもヒナギクが自分の体が軽いと感じるのは、いろんなものがふっきれたからだろう。






















「ヒナギクさん・・・。」

「ハヤテ君・・・。」

ヒナギクが公園についてからハヤテを見つけるのには、あまり時間はかからなかった。





  第31話  『Paenitet〜そして〜』





ハヤテとヒナギクはしばらく何も言わず向かい合っていたが、その沈黙を破って先に口を開いたのはハヤテの方だった。

「ヒナギクさん・・・僕は・・・!」

「ま、待って!!」

ハヤテの言葉を止めたヒナギクは少しだけ悲しい顔をしていた。ハヤテの言おうとしていたのは十中八九、告白だろう。だからそれを止めることに戸惑いもしたし、後悔もした。しかしヒナギクにはその前にはっきりさせておきたい事があった。

「こんな時に言うことじゃないかもしれないけど・・・なんで、私たちから距離を取ったの?」

ヒナギクはハヤテの事情について、本人はもちろん、アカリや岳からも聞かされていなかった。実際には岳がアカリに口止めをして、ヒナギクには知られないようにしていたのだが、ハヤテはてっきり知っていると思い込んでいたため、驚きで最初は上手く説明できなかった。
それでも落ち着きを取り戻してちゃんと事情を話したが、申し訳なさでハヤテは思わず俯いてしまった。

「・・・だから、せめてヒナギクさんの居場所だけでも守ろうと・・・していたんです。」

「・・・」

また無言の時間が始まった。ハヤテは俯いたまま顔を上げず、ヒナギクの反応を待っていた。怒られることや、叩かれるかもしれないことは覚悟していたし、嫌われたかもしれないということも考えた。それでも気持ちだけは伝えたくて・・・ただ、待っていた。
そしてついにヒナギクの口が開いたとき、ハヤテは思わず目をギュッと閉じてしまった。

「私もハヤテ君のやり方が正しいとは思えない。現にナギや歩や・・・私も、たくさん傷ついた・・・。」

「そうです・・・。だから僕は何を言われても、殴られたとしても・・・仕方ありません・・・。」

「そう・・・。」

ヒナギクはゆっくりとハヤテに近づいてきた。ハヤテは目を開けることができず、足音でそのことを感じ取っていた。
自分たちの立っている場所がコンクリートだからなのか、ヒナギクのスニーカーの音がコツコツと響き、それが一つ聞こえる度にハヤテの心臓はその鼓動を速くしていた。やがて足音が聞こえなくなり、ヒナギクがすぅ、と小さく息を吸い込む音が聞こえて、ハヤテはつむっている目にさらに力を込めた。

「それじゃ・・・










































 ありがとう・・・。」







「!!!!!!」

ヒナギクはハヤテを抱きしめていた。いや、抱き寄せていたの方がより正確だろう。

「な、なんで・・・?」

「なんでって、ハヤテ君が私を守ろうとしてくれたからに決まってるじゃない・・・。」

「で、でも!!僕はヒナギクさんや、お嬢様!ほかにもいろんな人に迷惑をかけて!傷つけて・・・!なのに・・・なんで、僕を責めないんですか・・・?何を言われても、殴られたって構わないって・・・さっき、言ったじゃないですか・・・。」

今にも泣き出してしまいそうなハヤテに、不謹慎にもヒナギクは微笑んでいた。

「だって・・・」

別にヒナギクはその台詞を知っていたわではない。本当に彼女の本心そのものだった。しかしそれはハヤテにとって一番といっていいほど嬉しかった言葉であり、そして、もしかしたら今この状況で彼が一番言って欲しかった言葉だったのかもしれない。




































「ハヤテ君の心が・・・

助けてって叫んでいることも、聞こえてたから・・・。」





「!!!!!!」

これはヒナギクの「ありがとう」以上に衝撃だった。
ヒナギクは自分の背中に手が回され、そして肩がだんだんと濡れ始めているのを感じて、再び微笑んだ。彼女があやすように後頭部を撫でてきたときにはもう、ハヤテは泣くのを抑えることすらやめてしまっていた。

「僕・・・ずっと謝りたくて・・・でも、どうしていいか分からなくて・・・。」

「うん、分かってる。でも一番つらかったのはハヤテ君だって私知ってるから・・・別にいいのよ。」

「それでも・・・!」

ハヤテの腕に力が入った。少し痛いくらいだったが、それでもヒナギクはハヤテの頭を撫でるのを止めなかった。

「それでも・・・

































 ごめんなさい・・・。












ごめんなさい・・・ヒナギクさん・・・。ゴメン・・・なさい・・・。」






ヒナギクをギュッと抱きしめながら泣いているハヤテはまるで子供のようで、少し頼りない感じがした。それでもヒナギクはそれをカッコ悪いとは思わず、むしろこうやって自分の心をさらけ出してくれていることを嬉しく思っていた。

「ハヤテ君って、結構泣き虫よね・・・。」

独り言のようにつぶやいとたき、ヒナギクは自分も少し泣いていることに気づいた。しかしヒナギクはその理由について考えるようなことはせず、ハヤテを抱きしめる手に力を入れるだけだった。ハヤテと同じくらいに・・・ギュッと・・・。



















やがてお互いの体を離し、ハヤテは赤くなった目を擦りながら、ヒナギクも少しだけ涙を拭いながら・・・そして両方とも笑顔を作った。作ったと言っても作り笑いなどではなく、心の底から笑っていることはどちらも分かっていた。
その後はまるで最初のような沈黙があったが、それを破ったのもまたハヤテだった。

「ヒナギクさん。」

「あら、もう泣いちゃダメよ。前にも言った通りハヤテ君には笑顔が一番似合うんだから。」

ヒナギクの茶々入れでハヤテは顔は苦笑いになってしまったが、すぐに元の笑顔にもどした。

「ははは・・・。でも、最後にもう一回言わせてください。」

ハヤテはそう言って深く頭を下げた。ヒナギクも今度は何も言わず、ただそれを見ていた。

「ヒナギクさん、ごめんなさい。そして・・・































 好きです・・・。」





顔を上げたハヤテにヒナギクは見とれてしまっていた。さっきまでの笑顔とは比較にならないほどの笑顔で、とっても綺麗だと、そしてこれを見ることができるは世界で自分一人だけではないかとすら思った。
そして自分の顔がどんどん熱くなっていくのに気づくと同時に、ハヤテが返事を待っていることにも気づいた。ゆっくりと一歩を踏み出し、少しだけあどけない足取りで再びハヤテの傍まで行き、今度は彼の右手を掴んだ。












こんな風に告白されたら泣いてしまうかもと考えたこともあったが不思議と涙は出てこないで、その代わり、ヒナギクはハヤテと同じくらい笑っていた。


















「私も、ハヤテ君のことが・・・好き・・・です。」

とぎれとぎれになってしまったのはやっぱり恥ずかしかったからだが、それでも今はちゃんと気持ちを伝えることができたのが嬉しかった。
気づくと頬に手が添えられていて、ヒナギクが顔をあげるとハヤテがじっと覗き込むような形で見ていた。

「リベンジ・・・してもいいですか?」

この前はアカリに邪魔されて良かったと考えていたが、今はそんな気は微塵もなかった。
ヒナギクが小さく頷くと、前と同じようにハヤテが顔をゆっくりと、本当にゆっくりと近づけてきた。しかし今回は怖い気持ちはなく、ヒナギクもそっと目を閉じることができた。
ヒナギクが目をつむる前に見たハヤテの顔は相変わらず最高の笑顔で、ヒナギク自身も最高の笑顔をしていたと自負していて、本当に、ほんとうに幸せだと思った。だから決して泣いていなかったはずなのに・・・



























ハヤテの唇は・・・ヒナギクのファーストキスは・・・

少しだけ、しょっぱい味がした・・・。








































どうも!どうも!!どうもです!!!
いやぁ〜、やっとくっつきましたよ。
あ、ちなみにサブタイの「Paenitet」というのはラテン語で「ごめんなさい」という意味です。もちろん翻訳サイトで調べました。
ハヤテが謝っているのは原作25巻4話の「木の芽風」みたいな感じをイメージしていただけたら嬉しいです。
さて、次回からはほのぼのとした感じに・・・なりません。すいません、まだ岳君とレナちゃんの話があるのでもうちょっとかかりそうです。でもハヤヒナの話に混ぜてやるつもりなので庭城の話のときみたいにはならないと思います。
取り敢えず次回は結局やれなかったハヤテと岳君の誕生日会のリベンジと、ハヤテとヒナさんへのお祝いを兼ねたパーティーです。
それでは  ハヤヤー!!