Re: 兄と娘と恋人と |
- 日時: 2014/07/10 07:13
- 名前: タッキー
- ハヤッス!タッキーです。
今回はやっとオリキャラが出ます。何だか本当にやっとですね。 あと一人は一応名前だけは出ているのですが、もうちょっと先です。多分・・・ そ、それでは・・・ 更新!
これはまだ岳が白皇に転入して三日だった頃の話。 その日の放課後、岳は生徒会室に遊びに来ていた。ハヤテも連れてきたかったが、昼休みにナギにさらわれてしまったので、一人だけだった。 ヒナギクは本棚の整理をしていた。何冊かの本を抱ええてあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている姿や、高いところのファイルを取ろうとしている姿がなんだか可愛らしくて、岳は無意識のうちに微笑んでしまっていた。
「ハヤテも結構単純かもなぁ。」
「へ?何で?」
ヒナギクはよく分かっていないようだ。モテるやつらの大半が無自覚だということはよく理解しているので、軽くため息をついた後、岳はいじわるも含めて質問に答えてやった。
「ヒナがもっと積極的にいけばハヤテは簡単に落ちるかもってことだよ。」
「なっ!!!そ、そんなに簡単にいくわけ無いでしょ!ハヤテ君はそんなに簡単に口説けるような人じゃないんだから!」
「やっぱり自分の好きになった人は一味違うって言いたいんだろ?分かってるって。」
「もぉーーー!」
岳にかかれば、どんな発言でもからかいのネタにされそうだったので、ヒナギクはそれからだんまりを決め込んでいた。しかしそれを無視して岳は話を続けていく。
「そういえばヒナってさ・・・」
「?」
「やっぱりハヤテと結婚したりすることとか想像すんの?」
ヒナギクは急に顔を真っ赤にさせ、持っていた本も全部落としてしまった。何か言おうとしているが呂律が回っておらず、ついには俯いて頭から蒸気を出し始めた姿に岳は図星なんだと察した。
「じゃぁ、子供の名前とか考えたりしたのか?」
ヒナギクはもう言い訳しても無駄と悟ったらしく、俯いたまま小さく頷いた。さすがに可哀想だったが、ここまできたのなら聞いてみたいという好奇心には勝てず、思い切ってその名前を聞いてみると、やっぱり無理ー!と火照った顔を両手で覆ってふさぎこんでしまった。
「さっきのことハヤテにバラしちゃおうかなぁ〜。」
「!!!」
我ながら酷いとは思いながらも岳はあえてヒナギクに答えさせるほうを選んだ。なんだかんだでS気があるのは自覚していたりする。
「うう、意地悪ぅ。」
「はは、まぁ別に減るもんでもないんだから。ほら。」
「私の自尊心とかが減るわよ!バカ!」
ヒナギクは涙目になりながらも必死に粘っていたが、とうとう折れて、一回だけものすごく小さな声で教えてくれた。
「アカリ・・・」
「ふ〜ん。いい名前なんだし恥ずかしがることなかったじゃん。」
「恥ずかしいものは恥ずかしいの!」
彼女のネーミングセンスには正直微妙なのだが、自分の子供には当てはまらなかったようだ。岳はたとえ想像でも真剣に考えていたことが分かって、安心したようにフッと笑った。
「アカリちゃん・・・か・・・」
第19話 『アイリスの花言葉』
「それじゃ綾崎君、これからよろしくね。」
「はい。よろしくお願いします。」
ハヤテはバイトの面接を終えて、日の沈みかけた街を歩いていた。面接で一番問題だった住所は岳の家を使わせてもらっている。どうやらヒナギクとの会話を聞かれていたらしいが、それを聞いていてなお、自分に協力してやると言われたときは頭が上がらなかった。
ハヤテは丁度、ヒナギクと別れた公園の前に来ていた。無意識のうちに湧き上がってくる後悔や自分への怒りに頭を悶々とさせていると、自販機の前で一人の少女が立っているのが見えた。ヒナギクと同じ綺麗な桜色の髪をしているので一見彼女かと思ったが髪型が違っていて、年も小学生くらいだったので、すぐに彼女ではないと分かった。ヒナギクに似ていたからなのか、それとも単純に困っていたからなのか、ハヤテは何故かその少女を放っておくことができなかった。
「どうしたの?」
「あ・・・」
振り向いた少女の顔を見てハヤテは固まってしまった。なんとなく似ているとは思っていたが、少女の顔立ちは本当にヒナギクに瓜二つで、唯一違う点があるとするならば少女の瞳が意志の強そうな琥珀色ではなく、優しい青色をしていたことだ。少女の方も驚いた顔をしていたが、ハヤテが口を開くよりも先に質問をしていた。
「もしかして・・・綾崎ハヤテ?」
「へ?」
どうしてヒナギクに似ているのか、どうして自分の名前を知っているのか凄く気になったが、少女は真剣な表情をしていたので、ハヤテは先に質問に答えるしかできなかった。
「そうだけど・・・。君は?」
「そんなことよりママは?」
話が噛み合わないことにハヤテは少し面食らった。迷子だとは分かったが、いきなり母親の居場所を教えろと言われても無理な話である。それに少女は少し怒っているようで、なかなか答えないハヤテを睨みつけている。
(あれ?僕、怒らせるようなことした?)
すると、もう我慢の限界なのか、少女が声を張り上げた。
「もぉー!だからママはどこって言ってるの!ちゃんと聞いてるの?お父さん!」
「へ?」
ハヤテは再び固まってしまった。しかしそうしてばかりでもいられないので、目の前でこちらを凄い形相で睨んでいる少女と彼女の発言について頭をフル回転させた。
(え〜と、まずは落ち着け。この子はなんて言った?そう、僕のことをお父さんと言った。この年で自分の親を間違えるなんてありえないし、取り敢えず僕の子どもだと仮定しよう。でも僕はそんな経験ないし、年齢的にも子どもがいるわけないし、未来から来たみたいな可能性も・・・あるな。だったらこの子の言うママは?この子の容姿からして多分・・・いや、それはもっとないだろ!だって今日、僕はヒナギクさんと決別したんだぞ。借金もあるんだから絶対に無理だろ!)
結局考えはまとまらず、コンマ2秒でだした答えはこちらも質問する、だった。
「えっと・・・、まず君の事情から説明してくれない?」
さすがにハヤテの言っていること正論だとは分かるらしく少女はしぶしぶだが口を開いたが、それも別の声に遮られてしまった。
「おっ!こんなところにいたのか。全く、用事が終わったら早く家に来いっていただろ?」
「え?ちょっと岳さん!引っ張らないでくださいよ!」
少女はその光景に呆気にとられた様子だったが、急に掴まれた手首の感触と自分を呼ぶ声によって現実に引き戻された。
「ほら、君も。」
「え?あっ!急に引っ張らないでよ!」
ハヤテたちの抵抗をものともせず、岳は半ば強引に二人を家まで連れて帰った。
ハヤテは岳の家についてから、まず少女の事情を聞いた。少女はふてくされていたが、情報の提供は必要だと判断し、順を追って説明した。
「私は綾崎アカリ。お父さんがそこにいる綾崎ハヤテでお母さんが綾崎ヒナギク。たしか旧性は桂だったっけ? 信じられないかもしれないけど、今日、学校から帰る途中で公園によったら、いきなり周りが真っ白になったの。最初は気のせいかと思ったんだけど、なんだか違和感を感じて落ちてた新聞で日付を確認したら10年前になってから本当にびっくりしたわ。それで結局どうしようか迷っているところにお父さんが来たっていうことよ。」
ハヤテは予想はしていたとはいえ、本当にそれが当たるとは思っていなかったため、アカリの説明に言葉をなくしていた。しかし、それとは裏腹に、岳はあまり驚いていないようで、彼女にいくつか質問をしていた。ハヤテは実際、過去に行ったことがあるので、アカリが未来から来たことはまだ信じられたが、ヒナギクとの子どもという点がどうしても信じられなかった。もう自分はヒナギクに告白できる状態ではなかったし、それを無視して彼女と一緒にいようとしても彼女を傷つけるのは分かっていたから。
「ハヤテ!」
「ひゃい!」
考え事をしていたためかハヤテは変な声を上げてしまったが、岳はそれを笑うようなことはしなかった。ハヤテはその表情から今度は自分が話す番だと察した。
ハヤテはまだ6歳の誕生日を迎えたばかりの頃、彼の父親の手伝いである喫茶店に行ったことがあった。父親がそこの経営者の人と話をしている間、その人たちの娘である同じ年の女の子と遊ぶことになったが、その前にハヤテは父親に耳打ちされた。ちゃんとやるんだよ、と。言われたとおり、父親からもらった書類を取り出し、一緒に遊んでいた女の子にその子の親の名前を書かせた。後から分かったことなのだが、字が上手く、自分の家族の名前を漢字で書けるということは事前に調べてあったらしい。
「こうやってできたのがヒナギクさんたちに押し付けられた八千万の借金です。」
しかし、ハヤテの父親の方も自分で借金を作らせていたのだ。その額はここ十年で二億まで膨らみ、そして今も増え続けている。
「なるほど。それで自分たちの借金を返さなければヒナにその二億を押し付けると言われたわけか。」
「はい。多分ヒナギクさんのお義母様たちなら、なんとしても返済してくれるかもしれません。ですが、額が額です。それにヒナギクさんの性格上、学校をやめて働きだすでしょう。それだけは絶対にさせてはいけないんです。」
ハヤテは短い間とはいえ学校に通えない寂しさや、友だちと触れ合うことができない孤独感を経験している。だからこそヒナギクにはそんな風にはなって欲しくなかった。 それなら三千院家の力を使ったらどうだ、と岳が解決策を出してみるが、その案にハヤテは首を横に振った。
「たしかに三千院家に頼めば一瞬でなんとかしてくれるでしょうが、それだとまた僕の両親は借金を作ってここに戻ってきてしまいます。だから完全にアイツらを遠ざけるのには僕が借金を返すしかないんです。」
岳にはハヤテの話がそれなりに理解できたが、アカリはまだ幼い。彼女には誰も幸せになれないこの方法が間違っているとしか思えなかった。だから彼女は彼の話が終わった後、すぐさま立ち上がり、小さな体からは信じられないほどの大声を出した。
「やっぱりお父さんなんて大嫌い!!」
そう叫ぶと彼女は奥の部屋に引きこもってしまった。泣き声とそれと一緒に聞こえてくる母親を呼ぶ声は矢のようにハヤテの心に突き刺さり、元からあった傷口を広げていった。
ハヤテには分からなかった。自分がどうしたいのかも、何をやるべきなのかも。 だから、後悔したし、悔しかったし、怒りが湧いた。そして自分とヒナギクの間にアカリがいる未来を作ろうとしていない自分がどうしても許せなかった。 でも分からないから、この決断を変えようとはしない。
「ヒナギクさん・・・」
岳は小さく呟いたハヤテにかける言葉を見つけることができなかった。
どうも、 今回やっと出ましたね。アカリちゃん。 なぜアカリなのかは・・・まぁ、いろいろあるんです。 今回はなんだかグダグダになってしまいました。ハヤテの回想とか、アカリの説明とか・・・ちょっと詰め込みすぎたんでしょうか?アドバイスとかあったらよろしくお願いします。それではプロフィール(1)です。(1)ですよ。
綾崎 愛虹(アカリ)
誕生日 12月12日
身長 133.2cm
体重 29.7kg
年齢 7歳
血液型 O型
家族構成 父(ハヤテ)
母(ヒナギク)
好き、得意 ママ,オムライス,勉強,運動(剣道)
嫌い、苦手 お父さん,暗い場所,お化け
ハヤテとヒナギクの間に生まれた綾崎家の長女。性格はヒナギク程ではないけど負けず嫌いで、何事に一生懸命取り組みます。困っている人を見たら見過ごせないところも両親から受け継いでいて、真っ直ぐな女の子です。髪は本文に書いた通りヒナギクと同じ桃色ですが、長さは肩を少し過ぎるくらいで、左側でサイドテールにしています。そしてハヤテのことがあまり好きではありません。
プロフィールは以上です。アカリちゃんには一応モデルになった同じハヤテとヒナギクの子どもがいるんですが、とりあえず伏せておきます。多分検索したらすぐに出てくると思いますよ。ちなみにその人のSSはめちゃくちゃ面白いです。 ハヤテの子どもといったらファザコンのイメージが強い・・・ていうかそのイメージしかないですね。しかし今回はあえてそれを崩していきました。自分ひねくれものですのでその点はご了承下さい。ハヤテが好きじゃない理由は多分、次スレになると思います。 さて、次回はアカリちゃんとヒナギクさんたちがご対面する話です。ハヤテが嫌いと分かる要素も出していこうと思います。 それでは・・・ハヤヤー!!
|
|